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秋田県

なまはげとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

生剥  / ナマハゲ

人型の妖怪神になった妖怪 各地の伝説

大晦日に家々を回り、怠け者を戒める秋田県男鹿の来訪神。

なまはげの姿を描いた図

Douglas P Perkins 「なまはげ館の藁装束(秋田県男鹿市)」 2010年 / CC BY 3.0 出典

なまはげとはどんな妖怪か

なまはげはひとことで言えば、年に一度、家を訪ねてくる鬼です。

秋田県男鹿半島に伝わる年中行事の主役で、大晦日の夜、鬼のような面をかぶり蓑をまとった若者が家々を訪ね、大声を上げながら上がり込みます。

泣く子はいねがー。悪い子はいねがー。

名の由来は「ナモミ剥ぎ」とされます。ナモミとは、囲炉裏にあたってばかりいる者の手足にできる火だこのこと。それを剥ぎ取る、つまり怠けを戒めるという意味になります。

重要なのは、なまはげが追い払う相手ではないことです。各家では膳を用意して丁重に迎え、主人がなまはげと問答を交わします。

荒々しく見えて、なまはげは迎える相手です。年に一度訪れて福をもたらす来訪神の一種であり、恐ろしさと有り難さが同居しています。

2018年、来訪神の行事のひとつとしてユネスコの無形文化遺産に登録されました。

なまはげの漢字表記と読み方

読みは「なまはげ」です。仮名書きが一般的で、漢字の「生剥」は当て字にあたります。

語源は「ナモミハギ」とされます。ナモミは、囲炉裏にあたってばかりいる者の手足にできる火だこのこと。地方によってアマ・アマメ・ナモミと呼び方が変わります。

これを「剥ぐ」。怠けの証拠を剥ぎ取るという、たいへん具体的な名です。

同じ型の行事は東北から北陸にかけて広く分布し、山形のアマハゲ、能登のアマメハギなど、呼び名は違っても語源は共通しています。

なまはげ(なまはげ)

もっとも一般的な表記。仮名書きが正式に近い。

生剥(なまはげ)

漢字を当てた表記。「ナモミを剥ぐ」の意による。

ナモミハギ(なもみはぎ)

語源とされる語。東北各地に同型の呼び名がある。

アマハゲ(あまはげ)

山形県遊佐町などに伝わる同型の行事の呼び名。

アマメハギ(あまめはぎ)

石川県・福井県などに伝わる同型の行事の呼び名。

なまはげの姿と特徴

なまはげの姿は、次のように整えられます。

… 木や紙、あるいは笊で作る。角のあるもの、無いもの。赤と青が代表。
… ケデ(ケラ)と呼ばれる藁の蓑。
手足 … 藁で編んだ脚絆と手甲。
持ち物 … 出刃包丁と手桶。あるいは御幣。
… 「泣く子はいねがー」の大声。

面は集落ごとに違います。 男鹿半島の各地区がそれぞれの面を持ち、同じ顔のなまはげはいないといってよいほどです。角の有無、色、表情がすべて異なります。

藁が落ちるのも大切です。家に上がったなまはげの蓑から藁が落ち、それを拾って体に巻くと病をしないとされます。恐ろしいものの持ち物が、そのまま護符になります。

出刃包丁を持つ姿は恐ろしいものですが、これはナモミを剥ぐ道具です。人を傷つけるためのものではありません。

なまはげの伝承物語

  1. 大晦日の夜 ─ 行事の流れ
  2. 来訪神とは何か ─ 迎える鬼
  3. 子供にとってのなまはげ ─ 教育の装置
  4. なまはげは鬼か ─ 由来の諸説

大晦日の夜 ─ 行事の流れ

なまはげの行事は、決まった手順で進みます。

夕方、集落の若者が神社などに集まり、身を清めて面と蓑を着けます。この時点で、若者はなまはげになります。

夜、集落の家々を回ります。玄関で四股を踏み、大声を上げて上がり込む。

泣く子はいねがー。親の言うこと聞かね子はいねがー。

家の中を歩き回り、子供を探します。子供は泣き叫んで逃げ、大人の陰に隠れます。

そこへ主人が進み出て、なまはげをなだめ、膳へ案内します。酒と料理でもてなし、問答が交わされます。

主人は、家族が一年よく働いたことを述べます。なまはげは帳面を見ながら家族の行いを確かめ、納得すると去っていきます。

去り際にも大声を上げます。 家には藁が散らばり、それを拾い集めるところまでが行事です。

来訪神とは何か ─ 迎える鬼

なまはげは、来訪神と呼ばれる存在です。

来訪神とは、年に一度、決まった日に他界から訪れて福をもたらす神を指します。日本各地に同じ型の行事があります。

アマハゲ(山形)、アマメハギ(石川・福井)、トシドン(鹿児島)、パーントゥ(沖縄・宮古島)、アカマタ・クロマタ(沖縄・八重山)。

これらに共通するのは、次の点です。

恐ろしい姿をしている。
年に一度、決まった日に来る。
家々を回る。
もてなされて帰る。
福を置いていく。

恐ろしいものを迎え入れることで、災いを退ける。この発想は、節分の鬼や宇和島の牛鬼にも共通します。

2018年、これら十の行事がまとめてユネスコの無形文化遺産に登録されました。

子供にとってのなまはげ ─ 教育の装置

なまはげは、子供にとって本気で恐ろしいものです。

行事の映像を見れば分かりますが、子供は本当に泣き叫びます。演技ではありません。

これには意味があります。なまはげは、親が直接言えないことを代わりに言う役目を負っています。

言うことを聞かないと、なまはげが来る。

一年のあいだ、この言葉が効力を持ちます。そして大晦日、実際になまはげが来る。予告が実現するのです。

主人となまはげの問答では、家族の一年の行いが読み上げられます。子供の名前が出て、何ができるようになり、何が足りないかが語られます。

しかも、最後は許されます。主人がとりなし、なまはげは納得して帰ります。

恐怖と赦しが、同じ夜に一続きで起こる。 これが、なまはげという行事の設計です。

なまはげは鬼か ─ 由来の諸説

なまはげは鬼の姿をしていますが、鬼とは呼ばれません。

由来については、いくつかの説が伝わります。

漢の武帝の鬼とする伝説があります。武帝が連れてきた五匹の鬼が男鹿の里で乱暴を働き、村人と賭けをした。一夜で千段の石段を築けたら娘を差し出すが、できなければ二度と来るな──という賭けです。鬼が九百九十九段まで積んだところで、村人が鶏の鳴き真似をして夜明けを装い、鬼は去った。

山からの使いとする説もあります。真山・本山に籠もる修験の行者が里に降りてきた姿だ、というものです。

漂着した異国人とする説もありますが、裏づけはありません。

どの説も決め手を欠きます。ただ、なまはげが鬼ではなく神として扱われていることは、行事の形そのものが示しています。

なまはげの伝承地域

なまはげの伝承地は、秋田県男鹿半島です。ここだけです。

ただし、なまはげと同じ型の行事は各地にあります。 山形のアマハゲ、石川・福井のアマメハギ、鹿児島のトシドン、沖縄のパーントゥ。これらは名も姿も違いますが、同じ来訪神の行事です。

なまはげは行事として生きている妖怪であり、伝承地とは今も行事が行われている土地を意味します。

なまはげ館(なまはげかん)

なまはげの資料館

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なまはげ館の所在地:秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢

男鹿半島の真山地区にある、なまはげだけを扱う施設です。

最大の見どころは、男鹿の各地区から集められた実物のなまはげの面です。集落ごとに面がまったく違うことが、並べて見ると一目で分かります。角の有無、色、表情、材質。同じ顔のなまはげはいません。

公式の案内では「なぜこの風習がこの地に生まれ根付いたのか、そこには今なお多くの謎が残されています」と述べられており、由来が定まっていないことを隠さない姿勢が取られています。

隣接する施設では、大晦日の行事を再現して見ることができます。

公式サイトで所在地と展示の内容を確認した。男鹿駅から距離があり、車での移動が現実的。

真山神社(しんざんじんじゃ)

なまはげ行事とつながる社

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真山神社の所在地:秋田県男鹿市北浦真山

男鹿の真山にある社です。なまはげ館・伝承館と同じ真山地区にあり、なまはげの行事と深く結びついています。

真山は修験の山として知られ、山に籠もる行者が里へ降りてくる姿がなまはげの由来だとする説があります。この説を採るなら、なまはげが生まれた場所ということになります。

冬には、なまはげを迎える行事が神社を舞台に行われます。

なまはげ館・男鹿真山伝承館と隣接しており、あわせて訪ねられる。

なまはげの正体と考えられているもの

なまはげの正体については、いくつかの説が伝わります。

山の修験者とする説が、もっとも支持されています。男鹿の真山・本山は修験の山であり、山に籠もった行者が里へ降りてくる姿がなまはげになったという見方です。行事の拠点が真山にあることは、この説をよく支えます。

漢の武帝の鬼とする伝説は、土地に伝わる由来譚です。武帝が連れてきた五匹の鬼が石段を積む賭けをして敗れ、去ったという話で、男鹿の五社堂の石段の由来として語られます。ただし、これは行事の由来を説明するために後から作られた話と考えられます。

漂着した異国人とする説もありますが、裏づけはありません。

より広く見れば、なまはげは来訪神という枠組みのなかにあります。年に一度、他界から訪れて福をもたらす存在。同じ型の行事が日本各地にあり、なまはげだけを切り離して起源を問うことにはあまり意味がないという見方が有力です。

行事そのものが答えです。 なぜこの姿なのか、なぜこの日なのかは、公式の案内も認めるとおりまだ分かっていません。

蓑には呪力があるとされ、石燕は蓑と草鞋が化けた蓑草鞋という妖怪を描いています。雪の竹林を、鍬をかついで歩く姿です。

なまはげをめぐる妖怪のつながり

なまはげが登場する作品

なまはげは、作品よりも現実の行事として生きている点で、他の妖怪と大きく違います。

大晦日の夜、実際に家々を回るなまはげがいます。子供は実際に泣きます。これは再現ではなく、続いている行事です。

作品での扱いは、その姿を借りたものにとどまります。

なまはげが登場する行事・文化

男鹿のナマハゲ

大晦日に行われる行事です。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

来訪神:仮面・仮装の神々

2018年、なまはげを含む十の行事がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

なまはげ柴灯まつり

冬に真山神社を舞台として行われる行事です。

なまはげが登場する漫画・アニメ

ゲゲゲの鬼太郎

なまはげが登場します。

Amazonで本・漫画を探す

日本の行事を扱う各種の作品

大晦日の場面で取り上げられることがあります。

なまはげが登場するゲーム

妖怪ウォッチ

なまはげを題材にした妖怪が登場します。

Amazonでゲームを探す

日本の妖怪を扱う各種のゲーム

鬼の系統として実装されることがあります。

なまはげの本を探す

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なまはげについてよくある質問

なまはげとは何ですか。

秋田県男鹿半島に伝わる年中行事の主役です。大晦日の夜、鬼のような面をかぶって家々を訪ね、怠け者を戒めます。追い払う相手ではなく、迎えてもてなす来訪神です。

なまはげの名前の由来は何ですか。

「ナモミ剥ぎ」とされます。ナモミとは囲炉裏にあたってばかりいる者の手足にできる火だこで、それを剥ぎ取る、つまり怠けを戒めるという意味です。

なまはげは鬼ですか。

鬼の姿をしていますが、鬼とは呼ばれません。年に一度訪れて福をもたらす来訪神とされ、各家では膳を用意して迎えます。

なまはげはいつ来るのですか。

大晦日の夜です。集落の若者が面と蓑を着けて家々を回ります。

なまはげを見られる場所はありますか。

秋田県男鹿市の真山地区にあるなまはげ館で、各地区の実物の面を見ることができます。隣接する施設では行事の再現を見ることができます。

なまはげは世界遺産ですか。

2018年に「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。なまはげを含む十の行事がまとめて登録されています。

なまはげと併せて覚えたい言葉・用語

来訪神(らいほうしん)

年に一度、他界から訪れて福をもたらす神。なまはげ、トシドン、パーントゥなどが属する。

ナモミ(なもみ)

囲炉裏にあたってばかりいる者の手足にできる火だこ。なまはげの名の由来。

ケデ(けで)

なまはげがまとう藁の蓑。落ちた藁を拾うと病をしないとされる。

男鹿半島(おがはんとう)

秋田県の日本海に突き出た半島。なまはげの行事が伝わる。