『古事記』で黄泉国から逃げるイザナギを追い、黄泉比良坂で桃を投げられて退いた千五百の軍勢。
黄泉軍とはどんな妖怪か
黄泉軍の漢字表記と読み方
読みは「よもついくさ」です。『古事記』では音を表す予母都伊久佐と記され、黄泉軍、黄泉戦は意味を漢字で表した書き方です。
黄泉軍(よもついくさ)
黄泉に属する軍勢を表す一般的な漢字表記。
黄泉戦
「軍」を戦いの意味を持つ「戦」で記した異表記。
予母都伊久佐
『古事記』で音を表すために用いられた万葉仮名。
黄泉軍の姿と特徴
『古事記』本文は軍勢の人数と行動を記しますが、全員の顔、角、武器、甲冑を描写しません。後世の挿絵で鬼や武者の姿を与えられても、それを古い本文の共通設定にはできません。「千五百」は追手の圧倒的な多さを示します。
黄泉軍が登場する古典の物語
ヨモツシコメの次に放たれた追手
イザナギが山葡萄と筍でヨモツシコメを足止めすると、イザナミは自らの体に生じた八雷神へ、千五百の黄泉軍を添えて追わせます。追手が女たちから雷神と大軍勢へ変わり、死者の国から帰ることの難しさが一段と強まる場面です。
ヨモツシコメ、八雷神、黄泉軍はそれぞれ別に記されます。黄泉軍は、その最後の大規模な追跡を担う集団です。
桃を三つ投げて退ける
イザナギは黄泉比良坂の麓にあった桃を三つ取り、追手を待ち構えて投げます。八雷神と黄泉軍は桃によって退きました。
イザナギは桃に対し、葦原中国の人々が苦境に陥ったときにも助けるよう告げ、意富加牟豆美命の名を与えます。桃が邪を退ける力を持つという古代の観念が、逃走の結末と神名の由来を結びつけています。
黄泉比良坂を塞ぎ、黄泉からの逃走が終わる
八雷神と黄泉軍が桃に退けられた後、最後にはイザナミ自身が追ってきます。イザナギは千人がかりで引くほどの大岩を黄泉比良坂へ置き、生者の世界と黄泉国の道を塞ぎました。
岩を挟んで二神は別れの言葉を交わし、黄泉からの逃走は終わります。黄泉軍はこの結末の直前に現れ、数でイザナギへ迫りながら、桃の力によって退却する最後の大軍勢です。
黄泉軍の伝承地域
黄泉軍が追跡する舞台は、神話上の黄泉国から黄泉比良坂までです。黄泉比良坂に結びつく伝承地は各地にありますが、千五百の軍勢が現れた現実の地点として採録されたものではありません。
黄泉軍の正体と考えられているもの
黄泉軍は一人の鬼や神の固有名ではなく、死者の国に属する千五百の軍勢です。生者の世界へ戻ろうとするイザナギへ数で迫り、黄泉比良坂の桃によって退くことで、生死の境界を守る最後の追手として描かれます。
黄泉軍をめぐる妖怪のつながり
黄泉軍が記録された資料
黄泉軍が登場する『古事記』の場面は、ヨモツシコメの追跡に続きます。八雷神と千五百の軍勢が黄泉比良坂まで迫り、イザナギが投げた三つの桃によって退きました。
この後、桃は意富加牟豆美命の名を受け、人々が苦境にあるとき助ける存在となります。黄泉軍の退却は、黄泉国からの逃走譚を終わらせると同時に、桃の辟邪の力を説明する神話でもあります。
黄泉軍が記録された原典・記録
『古事記』上巻「黄泉国」の段に記された予母都伊久佐
千五百の軍勢、八雷神との追跡、黄泉比良坂で桃に退けられる場面を記します。
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黄泉軍についてよくある質問
黄泉軍とはどんな妖怪ですか。
『古事記』で黄泉国から逃げるイザナギを追い、黄泉比良坂で桃を投げられて退いた千五百の軍勢。
黄泉軍は何と読みますか。
「よもついくさ」と読みます。
黄泉軍はどの資料にありますか。
『古事記』上巻の黄泉国段に、予母都伊久佐の表記で記されています。八雷神とともにイザナギを追う千五百の軍勢です。
黄泉軍の正体は分かっていますか。
神話上の黄泉国に属する軍勢です。一人の固有名ではなく、各兵士の姿や武器も『古事記』には記されていません。
黄泉軍と併せて覚えたい言葉・用語
黄泉軍(よもついくさ)
『古事記』で黄泉国から逃げるイザナギを追い、黄泉比良坂で桃を投げられて退いた千五百の軍勢。
八雷神(やくさいかづちのかみ)
イザナミの体に生じ、黄泉軍とともにイザナギを追う八柱の雷神。
意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)
黄泉軍を退けた桃に、イザナギが人々を助けるよう命じて与えた名。
黄泉軍の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。