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石川県

あまめはぎとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

あまめはぎ  / アマメハギ

人型の妖怪神になった妖怪 各地の伝説

石川県能登に伝わる来訪の行事。囲炉裏でできる火だこを剥ぎに来るとされる。

あまめはぎの姿を描いた図

Indiana jo 「白米千枚田(石川県輪島市)」 2016年 / CC BY-SA 出典

あまめはぎとはどんな妖怪か

あまめはぎは、怠け者の印を剥ぎに来ます

石川県の輪島市鳳珠郡能登町に伝わる行事であり、そこに現れるものの名でもあります。

囲炉裏や火鉢に長く当たっていると、脚などに網目状の赤い斑ができます。これを火だこといい、この土地では「アマメ」と呼びました。

長く火に当たっていた証し、つまり怠け者の印とされたのです。

これを剥ぎ取りに来るのが、あまめはぎです。

正月と小正月に輪島市の各地区で、節分の日に能登町で行われ、若者や子どもが仮面をかぶって家々を回ります。

一九七九年に「能登のアマメハギ」として重要無形民俗文化財に指定され、二〇一八年にはユネスコの無形文化遺産に認定されました。

あまめはぎの漢字表記と読み方

読みは「あまめはぎ」です。

名は二つの言葉からできています。

アマメ」は、囲炉裏や火鉢に長く当たっているとできる火だこ、医学でいう温熱性紅斑のことです。この土地の言葉です。

はぎ」は剥ぐこと。

つまり「火だこを剥ぐもの」が、そのまま名前になっています。

同じ発想の行事は日本各地にあり、特に日本海側に多くあります。秋田県男鹿のなまはげ、山形県遊佐町のアマハゲ、福井県のあっぽっしゃなどです。

「なまはげ」の「なま」も、同じ火だこを指す言葉とされます。名の作りがそろっていることが、これらの行事の近さを示しています。

あまめはぎ(あまめはぎ)

もっとも一般的な書き方。

アマメハギ(あまめはぎ)

文化財としての指定名称での書き方。

アマメ(あまめ)

火だこのこと。名の前半にあたる。

あまめはぎの姿と特徴

あまめはぎの姿は、行事のなかで人が身につけるものとして定まっています。

… 鬼のような形相の仮面。
装い … 蓑などを身につける。
演じる者 … 若者や子ども。
動き … 家々を戸別に回り、大声で家人を戒める。
… 夜。

演じるのが子どもである地区が少なくないことが、この行事の特徴です。

秋田のなまはげがよく知られているため、この種の行事はすべて恐ろしい大人が来るものと思われがちですが、輪島市の一部や、かつての新潟県村上市の大栗田集落では、子どもの行事として行われていました。

面の形は地区ごとに違います。統一された姿はありません。

恐ろしいものが来るという形式が共通しているだけで、細部はそれぞれの土地のものです。

あまめはぎの伝承物語

  1. 火だこを剥ぐという戒め
  2. 火だこの印を剥ぎ取りに来る
  3. いつ、どこで行われるか
  4. 一度絶えて、また始まった行事
  5. 二〇一八年、ユネスコへ

火だこを剥ぐという戒め

あまめはぎが剥ぎに来る「アマメ」とは何か。

囲炉裏や火鉢に長くあたっていると、脚や腕に網目状の赤い斑ができます。医学では温熱性紅斑と呼ばれるものです。

これをこの土地では「アマメ」と言いました。

そして、長く火に当たっていた証しであることから、怠け者の印とされました。

冬の農閑期、囲炉裏のそばから動かない者の脚には、この印がつきます。働かない者の体には、それが目に見える形で現れる。

火だこの印を剥ぎ取りに来る

あまめはぎは、その印を剥ぎ取りに来ます。

この行事の由来については、次のように伝えられています。

農閑期の終わりを前に、農民を管理していた当時の役人が、農民たちの怠惰を戒めるために、鬼のような形相で各戸を訪問してきたことがもとになっている、というものです。

つまり、この行事の原型には実際に人が来ていたという理解があります。

恐ろしいものが家に来て、怠けている者を名指しする。その記憶が、面をかぶった訪問という形で残されました。

いつ、どこで行われるか

あまめはぎが行われる日は、地区によって異なります。

輪島市 … 正月と小正月の一月六日・十四日・二十日に、各地区で行われます。
能登町 … 節分の日に行われます。

いずれも、若者や子どもが仮面をかぶって家々を回ります。

正月と節分という、年の変わり目に置かれている点が共通しています。

年が改まるとき、あるいは季節が改まるときに、外から恐ろしいものが訪れる。これは日本各地の行事に見られる形です。

こうした存在をまとめて「来訪神」と呼びます。定まった時期に外から訪れ、家々を回るものを指す言い方です。

類似の行事は日本各地に伝わっており、特に日本海側に多くあります。

秋田県男鹿 … なまはげ
山形県遊佐町 … アマハゲ
福井県 … あっぽっしゃ

名も日も違いますが、冬に、面をかぶった者が、家に来て、家人を戒めるという骨格は共通しています。

一度絶えて、また始まった行事

あまめはぎは、一度絶えてから立て直された行事です。一度絶えたものが復活した例があります。

新潟県村上市の大栗田集落では、正月の一月六日に、子どもの行事として「あまめはぎ」が行われていました。

しかし、集落内に子どもがいなくなり、伝承が途絶えてしまいます。

二〇〇五年九月、「村上市あまめはぎ保存会」が発足しました。そして村上市内の小学生の参加を得て、行事が復活します。

この行事は村上市の市指定無形民俗文化財となっています。

能登の側では、一九七九年に「能登のアマメハギ」として重要無形民俗文化財に指定されました。

二〇一八年、ユネスコへ

さらに二〇一八年十一月二十九日、大きな出来事がありました。

「アマメハギ」は、「男鹿のナマハゲ」(秋田県男鹿市)や「宮古島のパーントゥ」(沖縄県宮古島市)などを含めた、八県の十の行事からなる「来訪神 仮面・仮装の神々」として、ユネスコの無形文化遺産に認定されたのです。

土地ごとにばらばらに続いてきた行事が、一つのまとまりとして世界に認められたことになります。

演じる子どもがいなくなれば絶える。人が集まれば戻る。この行事は、そういう形で続いています。

あまめはぎの伝承地域

あまめはぎの伝承地は、石川県輪島市鳳珠郡能登町です。

輪島市では正月と小正月の一月六日・十四日・二十日に、能登町では節分の日に行われます。

このほか、新潟県村上市の大栗田集落でも子どもの行事として行われていましたが、集落内に子どもがいなくなって一度途絶えました。二〇〇五年に保存会が発足し、市内の小学生の参加を得て復活しています。

行事そのものが行われる場所であり、あまめはぎを祀る祠のような施設はありません。

輪島市の各地区(わじましのかくちく)

あまめはぎが行われる地

地図で開く

輪島市の各地区の所在地:石川県輪島市

正月と小正月の一月六日・十四日・二十日に、市内の各地区であまめはぎが行われます。

若者や子どもが仮面をかぶり、家々を回ります。

一九七九年に「能登のアマメハギ」として重要無形民俗文化財に指定されました。

面の形や作法は地区ごとに違い、統一された姿はありません。

行われる日は地区によって異なります。

能登町(のとちょう)

節分にあまめはぎが行われる地

地図で開く

能登町の所在地:石川県鳳珠郡能登町

能登町では、節分の日にあまめはぎが行われます。

輪島市が正月と小正月であるのに対し、こちらは季節の変わり目にあたる節分です。

年や季節が改まるときに外から恐ろしいものが訪れるという形は、両者に共通しています。

同じ名でも日取りは市町によって異なります。

あまめはぎの正体と考えられているもの

あまめはぎの正体については、次のように考えられています。

役人の訪問がもとになったとする見方があります。農閑期の終わりを前に、農民を管理していた当時の役人が、怠惰を戒めるため鬼のような形相で各戸を訪問してきたことが起こりだとされます。この見方では、あまめはぎはもともと人でした。

来訪神とする見方が、現在では広く行われています。定まった時期に外から訪れて家々を回るものを来訪神と呼び、ユネスコの無形文化遺産にもこの枠組みで認定されました。

怠けを戒める仕組みとする見方は、名そのものが示しています。火だこという目に見える印を剥ぐという発想は、働かない者を名指しする仕掛けです。

冬をやり過ごす行事とする見方もあります。農閑期は仕事が無く、囲炉裏のそばで過ごす時期です。その終わりに、外から来るものが緊張を持ち込みます。

妖怪と行事の境目にある存在です。名は妖怪のようですが、実際にあるのは行事であり、面をかぶるのは近所の若者や子どもです。

あまめはぎをめぐる妖怪のつながり

あまめはぎが登場する作品

あまめはぎは、作品より行事そのものとして知られる存在です。

なまはげの知名度が高いため、その仲間として紹介されることが多くあります。

しかし名の作りを見れば、どちらも火だこを剥ぐという同じ発想から出ていることが分かります。

ユネスコの無形文化遺産への認定によって、日本各地に散らばっていた同じ形の行事が、一つのまとまりとして見えるようになりました。

あまめはぎが登場するそのほか

能登のアマメハギ

一九七九年に重要無形民俗文化財に指定された行事の名称です。

来訪神 仮面・仮装の神々

八県十の行事からなる枠組み。二〇一八年にユネスコの無形文化遺産に認定されました。

あまめはぎが登場する漫画・アニメ

来訪の行事を扱う各種の作品

なまはげと並べて紹介されることが多くあります。

あまめはぎが登場するゲーム

日本の妖怪を扱う各種の作品

面をかぶった来訪者の姿で登場することがあります。

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あまめはぎについてよくある質問

あまめはぎとは何ですか。

石川県の輪島市や鳳珠郡能登町に伝わる行事であり、そこに現れるものの名です。囲炉裏で長く火に当たるとできる火だこ「アマメ」を、怠け者の印として剥ぎに来るとされます。

いつ行われますか。

輪島市では正月と小正月の一月六日・十四日・二十日に各地区で、能登町では節分の日に行われます。若者や子どもが仮面をかぶって家々を回ります。

なまはげとの違いは何ですか。

同じ発想の行事で、名の作りもよく似ています。「アマメ」も「なま」も火だこを指す言葉です。日取り・面の形・呼び名が土地ごとに違いますが、冬に面をかぶった者が家に来て家人を戒める骨格は共通しています。

文化財に指定されていますか。

されています。一九七九年に「能登のアマメハギ」として重要無形民俗文化財に指定され、二〇一八年には「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に認定されました。

石川県以外でも行われていますか。

新潟県村上市の大栗田集落でも子どもの行事として行われていましたが、集落内に子どもがいなくなって途絶えました。二〇〇五年に保存会が発足し、市内の小学生の参加を得て復活しています。

あまめはぎと併せて覚えたい言葉・用語

アマメ(あまめ)

囲炉裏や火鉢に長く当たるとできる火だこ。怠け者の証しとされた。

来訪神(らいほうしん)

定まった時期に外から訪れ、家々を回るものを指す言い方。

なまはげ(なまはげ)

秋田県男鹿の同じ形の行事。「なま」も火だこを指す言葉とされる。

温熱性紅斑(おんねつせいこうはん)

火に長く当たることでできる網目状の赤い斑。アマメの正体。