白い坊主姿の妖怪。全身真っ白で、目鼻口のはっきりしないものもある。

土佐吉光 「百鬼ノ図 布のような妖怪」 江戸時代(17世紀) / パブリックドメイン 出典
白坊主とはどんな妖怪か
白坊主は、日本各地に伝わる妖怪です。
一般には白い坊主姿の妖怪とされますが、地方によって様々な伝承があります。
大阪の和泉の伝えが、もっとも細かいものです。
目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主とも、
風船のように大きくて丸い妖怪ともいいます。
顔がありません。
いずれも人を脅かすだけで危害を与えることはないといいます。
害はありません。
大阪南部では、それだけです。
夜道で人が出遭うといわれるのみで、それ以上の具体的な話は残されていません。
白坊主の漢字表記と読み方
読みは「しろぼうず」です。
白い坊主、というだけの名です。
「坊主」は、妖怪の名によくつきます。
色がつくものもあります。
黒坊主は、寝ている女の息を吸うとされる明治の怪異です。
そして、正体の説が分かれます。
タヌキが化けたもの(大阪南部)/キツネが化けたもの(和泉)/カワウソ(広島県)/滝で死んだ人の亡霊(和歌山県)。
白坊主(しろぼうず)
もっとも一般的な表記。
白坊(しろぼう)
短く呼ぶ形。
白坊主の姿と特徴
白坊主の姿は、土地によって違います。
大阪の和泉
目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主。
または風船のように大きくて丸い妖怪。
静岡県富士郡
白鳥山から「ほーい、ほーい」と呼ぶ。
広島県安芸郡倉橋町
カワウソが脚に継ぎ木をして2メートルもの大きさに化ける。
そして、絵巻にもあります。
『百鬼ノ図』(国際日本文化研究センター蔵)に、白い布から四肢が生えて歩くような、もしくは四肢を持つ動物が白い布をかぶっているような妖怪が描かれており、これが「白坊主」と呼ばれることがあります。
白坊主の伝承物語
キツネは縞の着物を着る
大阪の和泉には、理屈のある否定があります。
白坊主はキツネが化けたものともいわれます。
しかし、古老が違うと言います。
土地の古老によれば、この地方のキツネは藍染めの縞模様の着物を着て現れるため、キツネではないといいます。
着物が違います。
白坊主は、真っ白です。
絣の着物を着た全身真っ白な坊主とされます。
そして、見越入道とも違います。
見越入道に類するものとする説もありますが、見越入道のように出遭った人間の前で背が伸びてゆくといった特徴は見られません。
のっぺらぼうの一種とする説もあります。
顔がはっきりしないためでしょう。
どんど焼きをやめた
静岡県富士郡芝富村長貫(現・富士宮市)には、行事の中止につながった話があります。
その昔、どんどん焼きをしていると毎年のように、白鳥山から白坊主が「ほーい、ほーい」と呼ぶため、気味悪くなってこの行事をとりやめたといいます。
行事をやめました。
白鳥山の南にある大鏡山からも白坊主が現れ、この白坊主を見た者には災難が訪れるともいわれます。
そして、別の説明があります。
戦国時代のこの地には狼煙台があり、どんどん焼きは狼煙と見誤るために制限または禁止されたという説もあります。
そのことから、白坊主とはこの狼煙台の守備兵を指しているとの解釈もあります。
火を焚くなという命令が、妖怪の声になりました。
糸を紡ぐ音
熊本県天草郡本渡町(現・天草市)には、母の話があります。
本渡町の中央にあるクスノキの中に住み着いている白髪の老婆が白坊主の母親だといいます。
母がいます。
そのクスノキのそばを夜に通ると、老婆が白坊主の着物のための糸を紡ぐギーギーという音が聞こえたといいます。
糸車の音です。
子の着物を織っています。
そして、木を切った話があります。
この木を切ったところ、真っ赤な血があふれ出したといわれます。
血が出ました。
広島県には、対処法も伝わります。
安芸郡倉橋町(現・呉市)では、カワウソが脚に継ぎ木をして2メートルもの大きさに化けて人を脅かすといい、これに出遭ったときは地上1メートルあたりを殴ると良いといいます。
白坊主の伝承地域
白坊主は、日本各地に伝わります。
大阪府 … 南部では夜道で人が出遭うといわれるのみ。和泉では目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主とされます。
静岡県富士宮市(旧・富士郡芝富村長貫) … 白鳥山から「ほーい、ほーい」と呼び、大鏡山からも現れるといいます。
和歌山県伊都郡九度山町 … 山の中の阿弥陀滝で死んだ人の亡霊か、化け物の仕業といいます。
広島県呉市(旧・安芸郡倉橋町) … カワウソが化けるといいます。
熊本県天草市(旧・天草郡本渡町) … 中央にあるクスノキに白坊主の母親が住み着いていたといいます。
訪ねる際は、現地の案内をご確認ください。
白坊主の正体と考えられているもの
白坊主については、次のように整理できます。
一つめは、白い坊主です。一般には白い坊主姿の妖怪とされ、和泉では目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主とされます。
二つめは、害の無さです。和泉の伝えでは、いずれも人を脅かすだけで危害を与えることはないといいます。
三つめは、正体の諸説です。タヌキ、キツネ、カワウソ、滝で死んだ人の亡霊。 和泉ではこの地方のキツネは藍染めの縞模様の着物を着て現れるため、キツネではないとされます。
四つめは、狼煙台です。静岡県ではどんどん焼きは狼煙と見誤るために制限または禁止されたという説から、白坊主とはこの狼煙台の守備兵を指しているとの解釈もあります。
五つめは、母です。熊本県天草では、クスノキの中に住み着いている白髪の老婆が白坊主の母親だといい、糸を紡ぐギーギーという音が聞こえたといいます。
この妖怪は、白いという一点だけが共通します。 それ以外は、土地ごとにまったく違います。
白坊主をめぐる妖怪のつながり
白坊主が登場する作品
白坊主は、土地ごとに中身の違う名です。
白い坊主という一点だけが共通し、正体はタヌキ、キツネ、カワウソ、亡霊と分かれます。
資料は各地の民俗の記録が中心です。
白坊主が登場する古典
百鬼ノ図
国際日本文化研究センター蔵。白い布から四肢が生えた妖怪が描かれ、白坊主と呼ばれることがあります。
白坊主が登場する研究
白坊主が登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
坊主姿の妖怪として、黒坊主や高坊主と並べて取り上げられます。
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白坊主についてよくある質問
白坊主とはどんな姿ですか。
一般には白い坊主姿の妖怪です。和泉では目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主とも、風船のように大きくて丸い妖怪ともいいます。
害はありますか。
和泉の伝えでは、いずれも人を脅かすだけで危害を与えることはないといいます。
キツネが化けたものですか。
そういう説もありますが、土地の古老によれば、この地方のキツネは藍染めの縞模様の着物を着て現れるため、キツネではないといいます。
どんど焼きをやめた話とは何ですか。
静岡県富士郡で、どんどん焼きをしていると毎年のように、白鳥山から白坊主が「ほーい、ほーい」と呼ぶため、気味悪くなってこの行事をとりやめたという話です。
白坊主と併せて覚えたい言葉・用語
絣(かすり)
細かい模様を織り出した布。白坊主の着物とされる。
どんど焼き(どんどやき)
小正月に正月飾りを焼く行事。
狼煙台(のろしだい)
合図の煙を上げる施設。戦国時代に置かれた。