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香川県

高坊主(たかぼうず)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

高坊主  / タカボウズ

狐と狸 各地の伝説怪談・百物語

路上に現れて人を脅かす、背の高い坊主。タヌキが化けるという。

高坊主の姿を描いた図

速水春暁斎 「絵本小夜時雨 高入道」 1801年 / パブリックドメイン 出典

高坊主とはどんな妖怪か

高坊主は、路上に現れる背の高い坊主です。

主に四国や近畿地方に伝わります。香川県木田郡、徳島県のほか、大阪南御堂、奈良県生駒郡、和歌山県にも現れたといわれます。

香川では、途方もなく背の高い坊主で、四辻に現れます。

四辻は、道の交わるところです。

そして、香川の長尾町(現・さぬき市)の駒足峠では、両側の山をまたいだ姿で笑いながら現れ、これに遭遇した人が思い切って刀で斬りつけると、それ以来出没しなくなったという話もあります。

山をまたいでいます。

徳島の俗信では、麦の穂が出た時期、夕方遅くまで遊んでいると高坊主に化かされるといわれました。

高坊主の漢字表記と読み方

読みは「たかぼうず」です。

高い坊主。 背丈が名前になっています。

『三好郡志』では、高坊主のことを徳島の山城谷村(現・三好市)では「高入道」と呼ぶとされています。

見越し入道と同じ系統です。

見上げれば見上げるほど背が高くなるが、高いところから見下ろしたり、驚かずに気持ちを落ち着けて見下ろせば背が低くなるともいいます。

見下ろせば、小さくなります。

似た特徴を持つものに、乗越入道、入道坊主があります。

どれも「入道」がつきます。

高坊主(たかぼうず)

もっとも一般的な表記。

高入道(たかにゅうどう)

徳島の山城谷村(現・三好市)での呼び名。

高坊主狸(たかぼうずだぬき)

徳島市新浜本町の化け狸の名。

高坊主の姿と特徴

高坊主の姿は、土地によって違います。

香川 … 途方もなく背の高い坊主。四辻に現れる。
香川・駒足峠 … 両側の山をまたいだ姿で、笑いながら現れる。
奈良・橿原市 … タヌキが真っ黒な高坊主に化けた。
奈良・生駒郡 … 腹を膨らませ、目も鼻も口もない身長2メートルの姿。

顔が無いこともあります。

生駒郡の五左衛門狸は、腹を膨らませ、目も鼻も口もない身長2メートルの高坊主に化けました。

ところが、相手が悪かったのです。

ある猛者がそれを見ても驚かなかったので、これでもかとばかりにどんどん腹を膨らませた挙句、しまいには破裂してしまったといいます。

自分で破裂しました。

高坊主の伝承物語

  1. 見下ろせば小さくなる
  2. 脅かすだけか、病気になるか
  3. 祀られた狸
  4. 自分の影

見下ろせば小さくなる

高坊主には、確実な対処法があります。

『三好郡志』には、見下ろせば小さくなるものとあります。

見越し入道と同じです。

見上げれば見上げるほど背が高くなるが、高いところから見下ろしたり、驚かずに気持ちを落ち着けて見下ろせば背が低くなるといいます。

気持ちの問題です。

驚かなければ、大きくなりません。

奈良の生駒郡の話が、それを示しています。

五左衛門狸という狸が高坊主に化けましたが、ある猛者がそれを見ても驚かなかったので、どんどん腹を膨らませ、しまいには破裂してしまいました。

驚かせられないと、自滅します。

香川の駒足峠では、刀で斬りつけると、それ以来出没しなくなったといいます。

脅かすだけか、病気になるか

高坊主の害については、土地によって差があります。

一般には、脅かすだけです。

人を脅かすだけで直接的な危害は加えないものとされます。

しかし、例外があります。

見上げた人の喉笛に噛みつくという伝えがあります。

そして、香川の寒川町(現・さぬき市)では、出遭った人が後に必ず病気になるという言い伝えもあります。

和歌山県では、子どもが狙われます。

山から村へ来て、夕方遅くまで遊んでいる子供をさらうといいます。

徳島でも同じです。

麦の穂が出た時期、夕方遅くまで遊んでいると高坊主に化かされるといわれました。

子どもを早く帰らせるための話でもあります。

祀られた狸

高坊主の正体は、主にタヌキが化けたものとされます。

そして、祀られた例があります。

徳島市新浜本町には高坊主狸という化け狸がいたといわれ、現在では「高坊主大明神」の名で祀られています。

明神になりました。

奈良でも、タヌキが化けるといいます。

橿原市では、タヌキが真っ黒な高坊主に化けた。
生駒郡では、五左衛門狸が身長2メートルの高坊主に化けた。
郡山町(現・大和郡山市)では、カドヘ狸が高坊主に化けた。

狸に名前がついています。

五左衛門、カドヘ。 土地の人は、どの狸が化けたかまで知っていました。

自分の影

高坊主には、身も蓋もない説明があります。

江戸時代の怪談集『古今百物語評判』です。

京都の大宮四条坊門付近に現れたとあります。

そして、こう解説されます。

臆病者が遭遇しやすく、必ず後ろから現れることから、臆病者が自分の影の長く伸びた様子を見誤ったものである。

自分の影です。

夕方、灯りを背にすれば、影は前に長く伸びます。

振り返れば、後ろにいます。

そして、見上げれば長く見えます。

大阪では、南御堂に月夜の晩に限って現れるといいます。

月夜。影のできる晩です。

高坊主の伝承地域

高坊主は、主に四国や近畿地方に伝わります。

香川県木田郡、徳島県のほか、大阪南御堂、奈良県生駒郡、和歌山県にも現れたといわれます。

香川県さぬき市(旧・長尾町)の駒足峠では、両側の山をまたいだ姿で笑いながら現れたといいます。

徳島市新浜本町には、高坊主狸という化け狸がいたといわれ、現在では高坊主大明神の名で祀られています。

京都の大宮四条坊門付近にも現れたと『古今百物語評判』にあります。

いずれも広い範囲にわたる伝えであり、高坊主大明神を除いて碑や祠は確かめられていません。 この欄は空のままにしてあります。

高坊主の正体と考えられているもの

高坊主の正体については、次のように整理できます。

一つめは、タヌキです。正体は主にタヌキが化けたものとされ、徳島市新浜本町の高坊主狸、奈良生駒郡の五左衛門狸、大和郡山のカドヘ狸など、名前まで伝わっています。

二つめは、見越し入道の類です。『三好郡志』は見下ろせば小さくなるとし、見上げれば大きくなるが、落ち着いて見下ろせば背が低くなるといいます。

三つめは、自分の影です。『古今百物語評判』は、臆病者が自分の影の長く伸びた様子を見誤ったものと解説します。必ず後ろから現れるという点が根拠です。

四つめは、子どもを帰らせる話です。徳島では麦の穂が出た時期、夕方遅くまで遊んでいると化かされる、和歌山では夕方遅くまで遊んでいる子供をさらうといわれました。

高坊主が何であったかは、わかっていません。 ただ、驚かなければ大きくならないという一点は、どの土地にも共通しています。

高坊主をめぐる妖怪のつながり

高坊主が登場する作品

高坊主は、四国と近畿に厚く伝わる妖怪です。

香川、徳島、大阪、奈良、和歌山。土地ごとに正体の狸の名まで伝わっています。 徳島市では、いまも高坊主大明神として祀られています。

資料は江戸の怪談集と、各地の郡誌に分かれます。

高坊主が登場する古典

古今百物語評判

京都の大宮四条坊門付近の高坊主を記し、自分の影の見誤りと解説します。

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三好郡志

徳島の郡誌。見下ろせば小さくなるとし、山城谷村では高入道と呼ぶと記します。

高坊主が登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。各地の伝承と正体の説を整理しています。

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高坊主が登場する漫画・アニメ

ゲゲゲの鬼太郎

高坊主が登場します。背の高い坊主の姿で描かれます。

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妖怪をまとめて扱う作品

見越し入道の類として、大きさで怖がらせる妖怪と並べて取り上げられます。

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高坊主についてよくある質問

高坊主はどこに現れますか。

香川では四辻、和歌山では山から村へ、大阪では南御堂に月夜の晩に限って現れるといいます。香川のさぬき市駒足峠では、両側の山をまたいだ姿で笑いながら現れたといいます。

どうすれば消えますか。

見下ろせば小さくなります。 高いところから見下ろしたり、驚かずに気持ちを落ち着けて見下ろせば背が低くなるといいます。駒足峠では刀で斬りつけると出没しなくなったという話もあります。

正体は何ですか。

主にタヌキが化けたものとされます。 徳島市新浜本町の高坊主狸は、現在高坊主大明神の名で祀られています。奈良では五左衛門狸やカドヘ狸が化けたといいます。

自分の影という説は何ですか。

『古今百物語評判』の解説です。臆病者が遭遇しやすく、必ず後ろから現れることから、臆病者が自分の影の長く伸びた様子を見誤ったものとされます。

高坊主と併せて覚えたい言葉・用語

四辻(よつつじ)

道の交わるところ。境目として怪異が現れるとされた。

高入道(たかにゅうどう)

徳島の山城谷村での高坊主の呼び名。

高坊主大明神(たかぼうずだいみょうじん)

徳島市新浜本町で祀られる、高坊主狸の名。