和尚に恋した雌の大蛇。斬られて寺の守り神になった。

蛇王姫とはどんな妖怪か
蛇王姫は、大阪府泉南市の伝説に登場する大蛇です。
多数のヘビを率いていたとされます。
寺に伝わる話です。
泉南市の長慶寺に伝えられており、蛇王姫は寺を守護してくれる存在として、寺の近くにあった池にまつられて来ました。
時代も語られています。
阿形賢一『泉州むかし話』では、文政年間(1818年〜1831年)ごろのことであると語られています。
姿は、大蛇です。
蛇王姫は、多数のヘビをしたがえた雌の大蛇で、長く池の中で暮らしていました。
蛇王姫の漢字表記と読み方
読みは「じゃおうひめ」です。
蛇の王の姫、という形の名です。
この名は、信仰から来ています。
蛇王・蛇王姫という名称は、日本各地の寺社における蛇王(蛇王権現)に関する信仰に見られたと見られます。
蛇王の最高位の存在が蛇王姫であるとも言われていたとされます。
ただし、由来は不明です。
長慶寺の蛇王姫の名称が何に由来しているのかについての記述は見られません。
同じ名の信仰は、岐阜にもあります。
岐阜県大垣市の明星輪寺を守護している存在として祀られている蛇王権現です。
蛇王姫(じゃおうひめ)
もっとも一般的な表記。
蛇王(じゃおう)
各地の寺社で祀られる蛇の神。
蛇王権現(じゃおうごんげん)
岐阜県大垣市の明星輪寺などで祀られる。
蛇王姫の姿と特徴
蛇王姫の姿は、大蛇です。
多数のヘビをしたがえた雌の大蛇です。
雌である点が、名に出ています。
そして、人にも化けます。
道に迷った旅の女の姿に化けて寺を訪ねました。
旅の女です。
住まいは、池でした。
長く池の中で暮らしていました。
蛇王姫の池は埋め立てられており、現存していません。
池は、もうありません。
蛇王姫の伝承物語
和尚の美しさに恋した
蛇王姫は、恋をしました。
あるとき、近くにある和泉国(現・大阪府)長慶寺の住職となった鐘山和尚の美しさに恋焦がれてしまいました。
和尚の美しさに、です。
そこで、人に化けます。
道に迷った旅の女の姿に化けて寺を訪ね、鐘山をたらしこもうとしました。
道に迷ったと言って、泊まろうとしました。
しかし、見破られます。
その挙動をあやしんだ鐘山によって刀で斬られました。
斬られました。
そして、最期に誓います。
虫の息の蛇王姫は長慶寺を守護しつづけることを誓って死にました。
斬った側が祀った
蛇王姫は、祀られました。
泉南市の長慶寺に伝えられており、蛇王姫は寺を守護してくれる存在として、寺の近くにあった池にまつられて来ました。
寺を守る存在です。
斬った寺が、祀っています。
この形は、各地にあります。
赤頭も、祟りを恐れた人々により「赤頭太郎明神」として祀られました。
討った側が祀る、という形です。
そして、池は失われました。
蛇王姫の池は埋め立てられており、現存していません。
祀った場所が、なくなりました。
話だけが、寺に残っています。
岐阜の蛇王権現
同じ名の信仰は、岐阜にもあります。
岐阜県大垣市の明星輪寺を守護している存在として祀られている蛇王権現です。
寺を守る点が同じです。
そして、話の形もよく似ています。
各国修行をしていた虚空蔵さまに恋焦がれた伊勢国(三重県)の娘が大蛇と化したという内容が見られます。
恋して、蛇になりました。
大垣の赤坂山まで虚空蔵さまを追いつづけたその大蛇を、寺の鎮守として祀ったのが明星輪寺の蛇王権現だと語られます。
追いかけた蛇を祀っています。
泉南は斬られ、大垣は追いつづけました。
どちらも、寺の守りになっています。
蛇王の最高位の存在が蛇王姫であるとも言われていたとされます。
蛇王姫の伝承地域
蛇王姫は、大阪府泉南市の長慶寺に伝えられています。
蛇王姫は寺を守護してくれる存在として、寺の近くにあった池にまつられて来ました。
ただし、蛇王姫の池は埋め立てられており、現存していません。
同じ名の信仰は、岐阜にもあります。
岐阜県大垣市の明星輪寺の蛇王権現です。
訪ねる際は、現地の案内をご確認ください。
金泉山 長慶寺(こんせんざん ちょうけいじ)
蛇王姫を祀ってきた真言宗の寺
金泉山 長慶寺の所在地:大阪府泉南市信達市場815
真言宗泉涌寺派の寺です。
境内のあじさいで知られ、あじさい寺とも呼ばれます。
蛇王姫を祀った池は埋め立てられており、いまはありません。
蛇王姫の正体と考えられているもの
蛇王姫については、次のように整理できます。
一つめは、姿です。多数のヘビをしたがえた雌の大蛇で、長く池の中で暮らしていました。
二つめは、恋です。長慶寺の住職となった鐘山和尚の美しさに恋焦がれてしまい、道に迷った旅の女の姿に化けて寺を訪ねました。
三つめは、最期です。その挙動をあやしんだ鐘山によって刀で斬られ、虫の息の蛇王姫は長慶寺を守護しつづけることを誓って死にました。
四つめは、祀られ方です。寺を守護してくれる存在として、寺の近くにあった池にまつられて来ましたが、池は埋め立てられており、現存していません。
五つめは、蛇王の信仰です。日本各地の寺社における蛇王(蛇王権現)に関する信仰に見られ、蛇王の最高位の存在が蛇王姫であるとも言われていたとされます。
この大蛇は、斬られてから守り神になりました。 斬った寺が、祀りつづけています。
蛇王姫をめぐる妖怪のつながり
蛇王姫が登場する作品
蛇王姫は、寺を守る大蛇です。
和尚に恋して斬られ、守護を誓って死にました。
資料は泉州の伝説と、各地の蛇王信仰に分かれます。
蛇王姫が登場する漫画・アニメ
蛇の妖怪を扱う作品
僧に恋する蛇として、清姫と並べて取り上げられます。
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蛇王姫についてよくある質問
蛇王姫とは何ですか。
大阪府泉南市の伝説に登場する大蛇で、多数のヘビを率いていたとされます。
どんな話ですか。
長慶寺の住職となった鐘山和尚の美しさに恋焦がれ、道に迷った旅の女の姿に化けて寺を訪ね、鐘山によって刀で斬られました。
最期はどうなりましたか。
虫の息の蛇王姫は長慶寺を守護しつづけることを誓って死にました。
池は残っていますか。
蛇王姫の池は埋め立てられており、現存していません。
蛇王姫と併せて覚えたい言葉・用語
権現(ごんげん)
仏が神の姿をとって現れたとする考え方。
鎮守(ちんじゅ)
その土地や寺社を守る神。
虚空蔵(こくうぞう)
知恵を授けるとされる菩薩。