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長崎県

インネンとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

インネン  / インネン

憑き物 各地の伝説

五島に伝わる憑き物。供養不足を訴えて血縁者に憑くという。

インネンとはどんな妖怪か

インネンは、五島に伝わる憑き物です。

長崎県福江市(現・五島市)や南松浦郡に伝わります。

人間の死霊生霊、狐を始めとする動物霊、河童、神仏といった人格的な霊的存在を指します。

幅の広い言葉です。

そして、具体的な害をもたらします。

人間に憑依して精神異常、内臓疾患、皮膚病などの心身の異常、さらには事業の不振などをもたらすといいます。

病気も、商売の不振もです。

憑くのは、身内の霊です。

これらの霊は憑依した者の血縁者やその家に関係したものであり、供養不足に対する要求や何らかの知らせのために害を成すといいます。

インネンの漢字表記と読み方

読みは「いんねん」です。

因縁」の字を当てられます。

もとは仏教の言葉です。

物事が起こる原因と条件を指します。

この土地では、それが霊的な存在の名になりました。

そして、祓う人がいます。

ホウニンと呼ばれる呪術師です。

やり方が独特です。

ホウニンはインネンを自身に憑依させ、言葉を交わしてインネンの要求を受け入れることで祓除を行ないます。

自分に憑けて、話を聞きます。

インネン(いんねん)

もっとも一般的な表記。

因縁(いんねん)

字を当てた形。

ホウニン(ほうにん)

インネンを祓う呪術師の呼び名。

インネンの姿と特徴

インネンには、決まった姿がありません。

人間の死霊、生霊、狐を始めとする動物霊、河童、神仏といった、幅の広いものを指します。

人も、獣も、河童も、神仏もです。

共通するのは、次の点です。

人格的な霊的存在である。
憑依した者の血縁者やその家に関係したものである。
供養不足に対する要求や何らかの知らせのために害を成す

縁のある相手にだけ憑きます。

そして、要求があります。

用があるから憑いてくる、という形です。

インネンの伝承物語

  1. ホウニンが話を聞く
  2. 平氏の墓と、汚れた井戸
  3. 病院では治りきらない

ホウニンが話を聞く

インネンを祓うには、専門の者が要ります。

ホウニンと呼ばれる呪術師です。

やり方が特徴的です。

ホウニンはインネンを自身に憑依させ、言葉を交わしてインネンの要求を受け入れることで祓除を行ないます。

追い払うのではありません。

自分に憑けて、話を聞きます。

そして、要求を受け入れます

取り引きに近い形です。

この形は、島根の人狐のノリクラとも似ています。

病人とは別の者を立てて、憑いたものと問答するという作法です。

インネンの場合は、ホウニン自身がその役を負います。

話が通じる相手として扱っている点が要です。

平氏の墓と、汚れた井戸

インネンの実例が、二つ伝わっています。

一つめは、腫瘍の話です。

ある主婦が腫瘍ができてなかなか治らないため、ホウニンのもとを訪ねてインネンの言葉を聞きました。

答えは、家の霊のことでした。

家にいる多数の霊が供養を願っているということだったのです。 この家の地には平氏の末裔が住んでおり、その墓が存在していたといいます。

土地に、墓がありました。

二つめは、旅館の話です。

ある旅館の経営者が、病気の上に経営不振からホウニンに相談しました。

旅館の古井戸が水質汚染で汚されたために水神が怒って祟りを成したということでした。

井戸が汚れていました。

病院では治りきらない

インネンの考え方には、医療との関係が含まれます。

インネンによってもたらされる病気は病院などで治療することができるといいます。

医者にかかります。

しかし、それだけでは足りません。

病気の根本的な原因となるインネンを祓う以外に完治はあり得ないともいわれています。

二つを両方やります。

これは、憑き物の考え方としては筋が通っています。

病院が症状を治し、ホウニンが原因を除く。

役割が分かれています。

そして、原因はたいてい供養不足でした。

先祖の墓、家の井戸、土地に残る他家の墓 どれも、手を入れれば済むものです。

インネンの伝承地域

インネンは、長崎県福江市(現・五島市)や南松浦郡に伝わります。

五島列島の憑き物の考え方です。

実例として語られる場所があります。

ある家の地には平氏の末裔が住んでおり、その墓が存在していたといいます。
ある旅館の古井戸が水質汚染で汚され、水神が怒って祟りを成したといいます。

いずれも私的な家や旅館であり、場所は特定されていません。

確かめられていない場所を、訪ね先として挙げることはしません。この欄は空のままにしてあります。

インネンの正体と考えられているもの

インネンについては、次のように整理できます。

一つめは、幅の広い霊です。人間の死霊、生霊、狐を始めとする動物霊、河童、神仏といった人格的な霊的存在を指します。

二つめは、身内の霊です。これらの霊は憑依した者の血縁者やその家に関係したものであり、供養不足に対する要求や何らかの知らせのために害を成すといいます。

三つめは、ホウニンです。インネンを自身に憑依させ、言葉を交わしてインネンの要求を受け入れることで祓除を行なう呪術師です。

四つめは、具体的な原因です。平氏の末裔の墓水質汚染で汚された古井戸 どちらも、手を入れれば済むものでした。

五つめは、医療との併用です。病気は病院などで治療することができるが、病気の根本的な原因となるインネンを祓う以外に完治はあり得ないともいわれています。

インネンは、原因を探すための言葉です。 病も不振も、縁のあるものからの知らせとして読み替えられます。

インネンをめぐる妖怪のつながり

インネンが登場する作品

インネンは、原因を名づける言葉です。

病も経営不振も、縁のある霊からの知らせとして読み替えられました。 そして、ホウニンが要求を聞き取ります。

資料は五島の民俗の記録が中心です。

インネンが登場する研究

日本の憑きもの

石塚尊俊。全国の憑き物筋を突き合わせた研究です。

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妖怪事典

村上健司編著、2000年。五島の憑き物として整理しています。

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綜合日本民俗語彙

各地の民俗語を集めた辞典。憑き物と祈祷者の語が引けます。

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インネンが登場する漫画・アニメ

妖怪をまとめて扱う作品

憑き物として、人狐やオサキと並べて取り上げられます。

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インネンについてよくある質問

インネンとは何ですか。

人間の死霊、生霊、狐を始めとする動物霊、河童、神仏といった人格的な霊的存在で、人間に憑依して精神異常、内臓疾患、皮膚病などの心身の異常、さらには事業の不振などをもたらすとされます。

なぜ憑くのですか。

これらの霊は憑依した者の血縁者やその家に関係したものであり、供養不足に対する要求や何らかの知らせのために害を成すといいます。

どうやって祓うのですか。

ホウニンと呼ばれる呪術師が、インネンを自身に憑依させ、言葉を交わしてインネンの要求を受け入れることで祓除を行ないます。

病院では治らないのですか。

病気は病院などで治療することができるとされます。 ただし病気の根本的な原因となるインネンを祓う以外に完治はあり得ないともいわれています。

インネンと併せて覚えたい言葉・用語

ホウニン(ほうにん)

五島でインネンを祓う呪術師。自らに憑依させて話を聞く。

因縁(いんねん)

仏教で、物事が起こる原因と条件のこと。

五島列島(ごとうれっとう)

長崎県西部の島々。インネンの伝承地。