密教と江戸の書物にみえる狐の階級。百歳から五百歳の狐。
地狐とはどんな妖怪か
地狐の漢字表記と読み方
読みは「ちこ」です。
地の狐、という形の名です。
「天狐」と対になっています。
天狐・地狐・人形(人狐)の三つです。
上から順に並んでいます。
江戸の書物では、階級として並べられました。
奇談集『兎園小説拾遺』では、天狐・空狐・白狐・地狐・阿紫霊の順で挙げられています。
五つの階級です。
そして、民間にも伝わりました。
長崎県の小値賀島では「ジコー」という人間に取り憑く妖怪が語られていました。
この呼称は天狐・地狐に由来しています。
地狐(ちこ)
もっとも一般的な表記。
三類形(さんるいぎょう)
天狐・地狐・人形の三つをいう密教の言葉。
野干(やかん)
狐のこと。地狐として描かれる姿。
ジコー(じこー)
長崎県小値賀島での呼び名。
地狐の姿と特徴
地狐の姿は、狐です。
地狐として描かれる絵は野干(やかん=狐)であると『秘蔵金宝抄』(12世紀)などに記されています。
野干は、狐のことです。
年齢が決められています。
地狐は100歳から500歳くらいまでの狐がなるものであると説かれています。
百歳から五百歳です。
上には、さらに階級があります。
天狐・空狐・白狐・地狐・阿紫霊の順で並びます。
地狐は、下から二番目です。
地狐の伝承物語
災いのしるしとされた
密教での扱いは、時代によって変わりました。
密教では、三類形(さんるいぎょう)と称して、天狐・地狐・人形という3つを使用する修法・まじないが説かれています。
まじないに使われました。
ところが、後には意味が変わります。
13世紀頃には『実帰抄』、『白宝抄』などでこの三類形に描かれる天狐・地狐・人形そのものが「三毒」のしるしであり、災い・障礙神を示すものであると説かれるようにもなりました。
三毒のしるしです。
三毒は、仏教で貪り・怒り・愚かさをいう言葉です。
まじないの道具から、災いのしるしに変わりました。
同じ名が、正反対の意味を持つようになっています。
荼枳尼天の眷属
地狐の名は、荼枳尼天の文献にも出ます。
荼枳尼天に関する文献には、辰狐王(荼枳尼天)の眷属たちとして、五つの方角に配された神名に地狐の名称が見られます。
五つの方角です。
東方青帝地狐木神御子。
南方赤帝地狐火神御子。
西方白帝地狐金神御子。
北方黒帝地狐水神御子。
中央黄帝地狐土神御子。
東西南北と中央に、一つずつです。
色と五行が割り当てられています。
青・赤・白・黒・黄です。
木・火・金・水・土です。
中国の五行の考え方が入っています。
狐の階級の一つ
江戸時代には、階級の名になりました。
江戸時代の日本では、地狐は狐の階級の一つの名称としても挙げられていました。
階級です。
奇談集『兎園小説拾遺』では、天狐・空狐・白狐・地狐・阿紫霊の順で挙げられています。
五段階です。
年齢で決まります。
地狐は100歳から500歳くらいまでの狐がなるものであると説かれています。
百歳から五百歳です。
下から二番目にあたります。
そして、民間にも降りてきました。
長崎県の小値賀島では「ジコー」という人間に取り憑く妖怪が語られていました。
この呼称は天狐・地狐に由来しています。
地狐の伝承地域
地狐は、密教と日本各地の伝承にみえます。
『秘蔵金宝抄』(12世紀)、『実帰抄』『白宝抄』(13世紀ごろ)、
奇談集『兎園小説拾遺』(江戸時代)に記述があります。
民間伝承にも降りています。
長崎県の小値賀島では「ジコー」という人間に取り憑く妖怪が語られていました。
書物と信仰の話であり、この名で祀られた社や碑は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
地狐の正体と考えられているもの
地狐については、次のように整理できます。
一つめは、密教の三類形です。天狐・地狐・人形(人狐)という3つを使用する修法・まじないが説かれており、地狐の名称が見られます。
二つめは、姿です。地狐として描かれる絵は野干(やかん=狐)であると『秘蔵金宝抄』(12世紀)などに記されています。
三つめは、意味の変化です。13世紀頃には三類形に描かれる天狐・地狐・人形そのものが「三毒」のしるしであり、災い・障礙神を示すものであると説かれるようにもなりました。
四つめは、荼枳尼天の眷属です。辰狐王の眷属たちとして、五つの方角に配された神名に地狐の名称が見られます。
五つめは、江戸の階級です。『兎園小説拾遺』では、天狐・空狐・白狐・地狐・阿紫霊の順で挙げられており、地狐は100歳から500歳くらいまでの狐がなるものであると説かれています。
この名は、階級の一段です。 五百歳を超えると、上の位に上がると考えられていました。
地狐をめぐる妖怪のつながり
地狐が登場する作品
地狐は、狐の階級の名です。
密教のまじないから、江戸の奇談集の位まで、名が使われ続けました。
資料は密教の書と江戸の奇談集に分かれます。
地狐が登場する古典
秘蔵金宝抄
12世紀。地狐として描かれる絵は野干であると記します。
兎園小説拾遺
江戸時代の奇談集。狐の階級を挙げています。
地狐が登場する漫画・アニメ
妖狐を扱う作品
天狐や空狐と並べて、狐の位として取り上げられます。
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地狐についてよくある質問
地狐とは何ですか。
密教および日本の伝承における霊獣ないし妖狐で、日本では狐が霊力を得たものであると考えられています。
三類形とは何ですか。
天狐・地狐・人形(人狐)という3つを使用する修法・まじないです。
狐の階級とは何ですか。
『兎園小説拾遺』では、天狐・空狐・白狐・地狐・阿紫霊の順で挙げられており、地狐は100歳から500歳くらいまでの狐がなるものであると説かれています。
民間にも伝わっていますか。
長崎県の小値賀島では「ジコー」という人間に取り憑く妖怪が語られていました。この呼称は天狐・地狐に由来しています。
地狐と併せて覚えたい言葉・用語
野干(やかん)
狐のこと。仏典に出る獣の名。
荼枳尼天(だきにてん)
狐に乗る姿で表される仏教の神。
三毒(さんどく)
仏教で、貪り・怒り・愚かさをいう。