ぼんやりした人に憑いて心を乱す。落ち着けば勝てる。

山崎美成 「世事百談 通り悪魔」 1833年 / パブリックドメイン 出典
通り悪魔とはどんな妖怪か
通り悪魔は、人に憑く妖怪です。
気持ちがぼんやりとしている人間に憑依し、その人の心を乱すとされる日本の妖怪です。
ぼんやりしているときが危ないのです。
『世事百談』『古今雑談思出草紙』などの江戸時代の随筆に見られます。
通り者(とおりもの)、通り魔(とおりま)ともいいます。
そして、対処法があります。
通り者を見て心を乱すと必ず不慮の災いを伴うので、これに打ち勝つためには心を落ち着けることが肝心だといいます。
通り悪魔の漢字表記と読み方
読みは「とおりあくま」です。
通り者(とおりもの)、通り魔(とおりま)ともいいます。
「通り魔」は、今も使われる言葉です。
ただし、意味が変わりました。
現代においても、理由もなく殺人を犯す人間を「通り魔」といいます。
かつてはそのような行ないは、この通り者が原因とされていました。
人ではなく、憑いたもののせいでした。
言葉だけが残り、意味が入れ替わっています。
通り悪魔(とおりあくま)
もっとも一般的な表記。
通り者(とおりもの)
江戸時代の随筆での呼び名。
通り魔(とおりま)
もう一つの呼び名。現代語にも残る。
通り悪魔の姿と特徴
通り悪魔の姿は、書物によって違います。
その姿は諸説あります。
一つめです。
『世事百談』『古今雑談思出草紙』では白い襦袢を身に纏い、槍を振りかざした奇怪な白髪の老人だといいます。
白い襦袢の白髪の老人です。
槍を持っています。
二つめです。
『古今雑談思出草紙』では無数の甲冑姿の者たちだったともいいます。
大勢の武者です。
通り悪魔の伝承物語
ぼんやりしていると憑く
この妖怪は、隙を狙います。
気持ちがぼんやりとしている人間に憑依し、その人の心を乱すとされるといいます。
ぼんやりしているときです。
心の隙です。
そして、災いになります。
通り者を見て心を乱すと必ず不慮の災いを伴うといいます。
必ず、です。
見ることが、きっかけになります。
見て、心を乱すと危ないのです。
だから、対処法は心の側にあります。
心を落ち着けることが肝心
言葉だけが今に残る
この妖怪の名は、今も使われています。
現代においても、理由もなく殺人を犯す人間を「通り魔」といいます。
「通り魔」です。
ただし、意味が違います。
今は、人を指します。
昔は、憑いたものを指しました。
かつてはそのような行ないは、この通り者が原因とされていました。
人が悪いのではなく、憑いたものが悪い、という考えです。
説明の仕方が変わりました。
言葉だけが、そのまま残っています。
通り悪魔の伝承地域
通り悪魔は、江戸時代の随筆に見られます。
『世事百談』『古今雑談思出草紙』などに見られます。
特定の土地に結びついた話ではありません。
気持ちがぼんやりとしている人間に憑依するとされます。
土地の話ではないため、この名で祀られた社や碑もありません。この欄は空のままにしてあります。
通り悪魔の正体と考えられているもの
通り悪魔については、次のように整理できます。
一つめは、憑く相手です。気持ちがぼんやりとしている人間に憑依し、その人の心を乱すとされます。
二つめは、呼び名です。通り者(とおりもの)、通り魔(とおりま)ともいいます。
三つめは、災いです。通り者を見て心を乱すと必ず不慮の災いを伴うといいます。
四つめは、姿です。『世事百談』『古今雑談思出草紙』では白い襦袢を身に纏い、槍を振りかざした奇怪な白髪の老人だといい、無数の甲冑姿の者たちだったともいいます。
五つめは、勝ち方です。これに打ち勝つためには心を落ち着けることが肝心だといいます。
この妖怪は、心の隙に入ります。 落ち着いていれば、憑かれませんでした。
通り悪魔をめぐる妖怪のつながり
通り悪魔が登場する作品
通り悪魔は、心の隙に入る妖怪です。
落ち着いていれば勝てるとされ、名だけが現代語に残りました。
資料は江戸の随筆に集まります。
通り悪魔が登場する古典
世事百談
江戸時代の随筆。通り悪魔の姿を記します。
古今雑談思出草紙
江戸時代の随筆。同じく通り悪魔を記します。
通り悪魔が登場する研究
通り悪魔が登場する漫画・アニメ
憑き物を扱う作品
人の心を乱すものとして取り上げられます。
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通り悪魔についてよくある質問
通り悪魔とは何ですか。
気持ちがぼんやりとしている人間に憑依し、その人の心を乱すとされる日本の妖怪です。
どんな姿ですか。
白い襦袢を身に纏い、槍を振りかざした奇怪な白髪の老人だといい、無数の甲冑姿の者たちだったともいいます。
どうすれば防げますか。
これに打ち勝つためには心を落ち着けることが肝心だといいます。
「通り魔」と関係がありますか。
現代においても、理由もなく殺人を犯す人間を「通り魔」といいますが、かつてはそのような行ないは、この通り者が原因とされていました。
通り悪魔と併せて覚えたい言葉・用語
憑依(ひょうい)
霊などが人に取り憑くこと。
襦袢(じゅばん)
着物の下に着る肌着。
不慮(ふりょ)
思いがけないこと。