沖縄の生霊の総称。贈り物を受け取ると憑かれるという。
生邪魔とはどんな妖怪か
生邪魔は、沖縄県での生霊の総称です。
恨み、憎しみをおぼえた相手を意識的に呪詛し、その人に危害を加える反社会的呪術をいいます。
呪術そのものの名でもあります。
また、この呪術を公使する霊的能力を持つもの、この生霊を他の人間に取り憑かせる呪法、呪者、呪者の家系の呼称でもあります。
四つの意味を持ちます。
そして、贈り物で憑きます。
生邪魔は本人と同じ姿をとり、相手に贈り物をします。内容は芭蕉、ニンニク、ラッキョウといった作物などです。
これを受け取った者は生邪魔に取り憑かれる羽目になり、原因不明の病気に冒され、やがては死に至るといいます。
生邪魔の漢字表記と読み方
読みは「いちじゃま」です。
「生」は生きている、「邪魔」は害をなすものを指します。
生きている人の霊です。
一般的な生霊と同様、生きている人間の体から霊魂が抜け出て、憎悪の対象となる者を苦しめるものです。
そして、呪術の名でもあります。
邪術、邪術師の概念に相当し、人々に恐れられました。
能力は、母から娘へ伝わるとされます。
生邪魔の能力は母から娘へと女系をたどって伝えられることが多く、能力を持つ者の多くは鋭い目つきをしているといいます。
生邪魔(いちじゃま)
もっとも一般的な表記。
イチジャマ(いちじゃま)
カタカナで書くこともある。
生邪魔仏(いちじゃまぶときい)
呪法に用いる人形の名。
生邪魔の姿と特徴
生邪魔の姿は、本人と同じです。
生邪魔は本人と同じ姿をとり、相手に贈り物をするといいます。
見分けがつきません。
贈り物の中身が決まっています。
芭蕉、ニンニク、ラッキョウといった作物などです。
受け取ってはいけません。
そして、憑く相手は人だけではありません。
生邪魔を取り憑かせる対象は人間以外の動植物にも及び、牛、馬、豚などの家畜、畑の作物までにも損害の及ぶことがあったといいます。
生邪魔の伝承物語
人形を鍋で煮る
生邪魔には、呪法があります。
呪法の際には生邪魔仏(いちじゃまぶときい)と呼ばれる人形に祈ることで、生邪魔を相手に憑けることができるといいます。
人形を使います。
そして、具体的なやり方が伝わっています。
一説によると、この生邪魔仏を鍋で煮ながら、病気にさせたいと思う箇所を呪文のように唱えるといいます。
たとえば、こうです。
頭痛にさせたければ「頭、頭、頭……」
部位を繰り返します。
しかし、道具がなくても起きます。
道具や呪法を使わなくても、相手に憎悪を抱いただけでも生邪魔が取り憑くともいいます。
憎むだけで足ります。
悪口を言って追い払う
生邪魔を落とすには、ユタを頼みます。
生邪魔による病気を治すにはユタと呼ばれる巫女の祈祷が必要となります。
やり方が具体的です。
ユタは病人の親指を縛り、釘を打つ仕草の祈祷により、生邪魔を相手へ送り返すといいます。
送り返します。
もう一つ、変わった方法があります。
病人を前にしてその人の悪口を言いまくることで、生邪魔を追い払うことができるともいいます。
悪口です。
呪詛を解く手立ては、いくつかあります。
イチジャマに悪口を言う。
豚糞などを投げて儀礼的に汚す。
ユタなどの抜霊儀礼を依頼する。
汚すことで避けるのは、ごひんさまと同じ考え方です。
死罪になった記録
生邪魔は、実際に罰せられました。
1676年、1678年、1687年には、生邪魔を使ったとされる女性が告発され、死罪にされた記録があります。
死罪です。
そして、告発をめぐる出来事も残っています。
1679年にはある村人が生邪魔を使った女性を告発しようとしましたが、その女の親戚に止められ、
その後で当の女性が自殺したため、親戚、村人共に罰金を強いられたこともあります。
女性は自殺しました。
周りの者に罰金が科されました。
そして、家系にも影響が及びました。
生邪魔の家系の者と結婚することは避けられたといわれていますが、その家系には美男美女が多いことから、そうとは知らずに恋に落ち、悲しい結末を辿ることが多かったといいます。
生邪魔の伝承地域
生邪魔は、沖縄県に伝わります。
邪術、邪術師の概念に相当し、人々に恐れられました。
記録には、年が残っています。
1676年、1678年、1687年には、生邪魔を使ったとされる女性が告発され、死罪にされた記録があります。
1679年には、告発をめぐって親戚、村人共に罰金を強いられたこともあります。
これは人と家に関わる事柄です。特定の家や人を挙げることはしません。この欄は空のままにしてあります。
生邪魔の正体と考えられているもの
生邪魔については、次のように整理できます。
一つめは、生霊です。沖縄県での生霊の総称であり、生きている人間の体から霊魂が抜け出て、憎悪の対象となる者を苦しめるものです。
二つめは、贈り物です。本人と同じ姿をとり、相手に贈り物をするといい、芭蕉、ニンニク、ラッキョウといった作物などを受け取った者は取り憑かれ、原因不明の病気に冒され、やがては死に至るとされます。
三つめは、呪法です。生邪魔仏と呼ばれる人形に祈り、鍋で煮ながら病気にさせたい箇所を呪文のように唱えるといいます。道具や呪法を使わなくても、相手に憎悪を抱いただけでも取り憑くともいいます。
四つめは、ユタです。病人の親指を縛り、釘を打つ仕草の祈祷により、生邪魔を相手へ送り返すといい、病人を前にしてその人の悪口を言いまくる方法もあります。
五つめは、処罰の記録です。1676年、1678年、1687年に生邪魔を使ったとされる女性が告発され、死罪にされた記録があります。
この呪術は、人が人を害する形をとります。 憎むだけで憑くという点が、他の憑き物と違います。
生邪魔をめぐる妖怪のつながり
生邪魔が登場する作品
生邪魔は、人が人を呪う話です。
贈り物を受け取れば憑かれ、悪口を言えば追い払えます。 そして、実際に死罪の記録が残っています。
資料は沖縄の民俗の記録と、憑き物の研究に分かれます。
生邪魔が登場する研究
南島の民俗文化
上江洲均、1987年。奄美と沖縄の暮らしと祭りを記録しています。
生邪魔が登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
生霊として、丑の刻参りや呪詛と並べて取り上げられます。
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生邪魔についてよくある質問
生邪魔とは何ですか。
沖縄県での生霊の総称です。恨み、憎しみをおぼえた相手を意識的に呪詛し、その人に危害を加える反社会的呪術であり、その能力を持つものも指します。
どうやって憑くのですか。
本人と同じ姿をとり、相手に贈り物をします。芭蕉、ニンニク、ラッキョウといった作物などで、これを受け取った者は取り憑かれ、原因不明の病気に冒され、やがては死に至るといいます。
落とす方法はありますか。
ユタと呼ばれる巫女の祈祷が必要です。 病人の親指を縛り、釘を打つ仕草の祈祷により、生邪魔を相手へ送り返すといい、病人を前にしてその人の悪口を言いまくる方法もあります。
処罰された記録はありますか。
あります。 1676年、1678年、1687年には、生邪魔を使ったとされる女性が告発され、死罪にされた記録があります。
生邪魔と併せて覚えたい言葉・用語
ユタ(ゆた)
沖縄や奄美の民間の巫者。祈祷を行う。
生邪魔仏(いちじゃまぶときい)
呪法に用いる人形。
邪術(じゃじゅつ)
人に害をなす呪術。