能登の眉丈山を夜ごと進み、人を食べる許しを得ようとして鶏の声に阻まれる怪火。

そうはちぼんとはどんな妖怪か
そうはちぼんは、能登の眉丈山を北から南へ動く怪火です。春木の六所の宮から現れ、羽咋の一の宮へ向かいます。
人を食べたいという願いを抱えた火です。一度でよいから人間の肉を食べたいと願い、権現から出された条件を果たそうと、夜ごと同じ道を急ぎます。
そうはちぼんの漢字表記と読み方
「そうはちぼん」と読みます。「ちゅうはちぼん」とも呼ばれ、中能登町では「そうはち坊」と表記して物語が紹介されています。
そうはちぼん(そうはちぼん)
鹿島郡誌に見える呼び名。
ちゅうはちぼん(ちゅうはちぼん)
同じ怪火を指す別名。
そうはち坊(そうはちぼん)
中能登町の伝承紹介で用いられる表記。
そうはちぼんの姿と特徴
そうはちぼんは、夜の眉丈山をゆっくり移動する怪火として見えます。人や獣の身体は語られず、遠くの集落から山腹を進む火の玉が、そのまま姿になります。
そうはちぼんの伝承物語
眉丈山に、北から南へ進む火が現れる
日が暮れたあと、久江や小田中、高畠の集落から眉丈山を眺めると、怪しげな火の玉が見えました。火は山の中腹を、北から南へゆっくり動いていきます。
人々はその火を、そうはちぼんと呼びました。出発するのは春木の六所の宮。目指す先は、羽咋の一の宮にある六万坊です。
人を食べたいと、権現へ願い出る
そうはちぼんには、一度でよいから人間の肉を食べてみたいという願いがありました。そこで、一の宮の権現へ許しを求めます。
権現は、日が暮れて六所の宮を出発し、夜明け前の一番鶏が鳴くまでに一の宮へ来られたなら、願いを聞こうと答えました。そうはちぼんは喜び、次の夜を待ちます。
良川を過ぎ、金丸で道に迷う
夜になると、そうはちぼんは六所の宮を飛び立ちます。夜八ツ時、現在の午前二時ごろには良川の山を過ぎました。
一の宮までは、まだ先です。金丸のあたりへ来ると火はまごつき、思うように進めなくなります。それでも人を食べる願いをかなえるため、夜明け前の到着を目指します。
柳田で一番鶏が鳴き、引き返す
そうはちぼんが柳田まで来たとき、一番鶏の声が響きました。約束の時刻を過ぎたため、もう一の宮へ進むことはできません。火は夜が明けないうちに、六所の宮へ戻っていきました。
翌夜も、その次の夜も同じです。そうはちぼんが柳田へ着くと、決まったように鶏が鳴きます。
権現が鶏を鳴かせ、人を守る
そうはちぼんは、夜明けの時刻だけが自分を邪魔していると思っていました。しかし鶏を鳴かせていたのは、人を食べさせまいとした一の宮の権現でした。
怪火は約束を破れず、権現は正面から戦わずに人々を守ります。夜ごと眉丈山を進み、柳田から引き返す光景には、そうはちぼんの執念と、権現の仕掛けた終わらない足止めが映っています。
そうはちぼんの伝承地域
伝承は、春木の六所の宮から良川・金丸・柳田を経て、羽咋の一の宮を目指す道筋を語ります。地図は出発地の地域を示します。
春木の六所の宮周辺(はるきのろくしょのみやしゅうへん)
そうはちぼんの出発地
春木の六所の宮周辺の所在地:石川県鹿島郡中能登町春木周辺
怪火はここから現れ、眉丈山を南へ進むと語られます。
示しているのは眉丈山の一帯です。
そうはちぼんの正体と考えられているもの
そうはちぼんは、人を食べる許しを得ようと眉丈山を飛び、一番鶏の声に阻まれて六所の宮へ戻る能登の怪火です。
そうはちぼんをめぐる妖怪のつながり
そうはちぼんが登場する作品
そうはちぼんは、終わらない足止めの話です。
人を食べたい。その願いを一の宮の権現へ申し出ると、夜明け前に着けたなら聞こうと答えます。 ところが柳田まで来ると、決まって一番鶏が鳴きます。
鶏を鳴かせていたのは、権現でした。正面から戦わずに人を守る。怪火は約束を破れず、夜ごと同じ場所から引き返します。
そうはちぼんが登場する事典
そうはちぼんが登場する民俗学
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そうはちぼんについてよくある質問
そうはちぼんとはどんな妖怪ですか。
能登の眉丈山を夜ごと進み、人を食べる許しを得ようとして、一番鶏の声に阻まれる怪火です。
そうはちぼんはどこへ向かいますか。
春木の六所の宮から羽咋の一の宮にある六万坊を目指し、良川・金丸・柳田を通ると語られます。
そうはちぼんは人を食べましたか。
食べられませんでした。柳田へ着くたび権現が一番鶏を鳴かせたため、約束を果たせず引き返します。
そうはちぼんと併せて覚えたい言葉・用語
眉丈山(びじょうざん)
能登の邑知平野に沿って連なる丘陵。そうはちぼんが進む舞台です。
一番鶏(いちばんどり)
夜明けを告げて最初に鳴く鶏。物語では約束の期限を知らせます。
権現(ごんげん)
神が仏の姿を借りて現れるという考えに基づく呼び名。
そうはちぼんの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。