松江で狼の群れに呼ばれた巨大な猫が木上の男を襲い、傷つけると主家の老女へつながった千疋狼型の怪談。

小池婆とはどんな妖怪か
小池婆は、島根県松江に伝わる老猫の怪異です。夜道で狼の群れに囲まれた男が木へ逃げると、狼たちは積み重なって男を引きずり下ろそうとします。あと少し届かないと知った狼が呼び寄せたのが、茶釜の蓋を頭にかぶる小池婆でした。
男の刃を受けた小池婆は逃げ去ります。主家へ戻ると、家の老女が同じ場所に傷を負っており、布団の中から大きな猫の死骸が現れます。夜道の獣と屋敷の老女が一つにつながる、正体見破りの物語です。
小池婆の漢字表記と読み方
「こいけばば」と読みます。人間の老婆の本名というより、狼たちが助けを求める大猫の呼び名として現れます。
小池婆(こいけばば)
狼たちが大猫を呼ぶときに使う名。
小池婆あ(こいけばばあ)
語尾を伸ばして読む表記も見られます。
小池婆の姿と特徴
大きな猫の姿で、頭には茶釜の蓋をかぶっています。蓋は木の上にいる男の刃を防ぐための兜のように働きます。人の姿では武家の老女として暮らしていました。
小池婆の伝承物語
狼の群れから逃れ、男は木へ登る
正月の休みを終えた男が主家へ戻る途中、狼の群れに出会います。地上にいれば取り囲まれるため、男は急いで大木へ登りました。
狼たちは諦めません。一匹の背へ別の一匹が乗り、その上へさらに狼が重なります。生きた梯子は男の足元まで伸びますが、わずかに高さが足りません。
狼が「小池婆を呼べ」と叫ぶ
頂上の狼が男へ届かないと分かると、群れの中から「小池婆を呼べ」という声が上がります。しばらくして現れたのは、狼ではなく、茶釜の蓋を頭にのせた大きな猫でした。
小池婆は狼の列の一番上まで登り、蓋で身を守りながら男へ迫ります。狼だけでは届かなかった最後の距離を、大猫が埋めようとします。
刃が茶釜の蓋を割り、大猫を傷つける
男は木の上から刃を振り下ろします。切っ先は茶釜の蓋を割り、その下にいた小池婆の額まで届きました。
傷を負った大猫は、割れた蓋を残して逃げます。小池婆を失った狼の梯子も崩れ、男は夜明けまで木の上で身を守りました。地面に残った蓋の破片が、屋敷で起こる出来事へ続く手がかりになります。
主家の老女と大猫の傷が重なる
男が主家へ帰ると、家では老女が額に大けがをしたと騒いでいました。夜道で斬った小池婆と、同じ場所の傷です。怪しんだ男たちが寝床を確かめると、老女の代わりに巨大な猫が横たわっていました。
屋敷で人として暮らしていたものの正体は、狼に呼ばれて男を襲った老猫でした。夜道での戦いと家の異変が傷によって結び付き、物語は正体の発見で終わります。
小池婆の伝承地域
伝承地域は島根県松江市です。物語に出る武家の屋敷や狼に囲まれた木の所在地は特定されていません。
小池婆の正体と考えられているもの
小池婆の正体は、武家の老女へ化けて暮らしていた大猫です。狼の群れを率いるのではなく、狼だけでは届かない獲物を取るために呼ばれます。割れた茶釜の蓋と額の傷が、夜の大猫と屋敷の老女を同じ存在だと明かします。
小池婆をめぐる妖怪のつながり
小池婆が登場する作品
小池婆は、狼が呼んだ助っ人です。
狼が積み重なっても男の足元へ届かないと分かると、群れから「小池婆を呼べ」という声が上がります。 現れたのは、茶釜の蓋を頭にのせた大きな猫でした。
男が振り下ろした刃は蓋を割り、額まで届きます。主家へ帰ると、老女が額に大けがをしていました。夜道での戦いと家の異変が、傷によって結び付きます。
小池婆が登場する事典
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小池婆についてよくある質問
小池婆とはどんな妖怪ですか。
狼の群れに呼ばれて現れる大猫です。武家の老女に化けていましたが、額の傷から正体を見破られます。
小池婆はなぜ茶釜の蓋をかぶっていますか。
木の上にいる男の刃を防ぎながら近づくためです。蓋は斬られて割れ、正体を見破る手がかりになります。
小池婆と狼はどんな関係ですか。
狼が積み重なっても木の上の男へ届かず、最後の助けとして小池婆を呼びます。
小池婆はどこに伝わりますか。
島根県松江市に伝わります。舞台は武家の屋敷と夜道の大木です。場所は松江の一帯として伝わります。
小池婆と併せて覚えたい言葉・用語
千疋狼(せんびきおおかみ)
狼が次々に重なって木の上の人を襲い、最後に大猫などを呼ぶ昔話の型。
茶釜(ちゃがま)
茶の湯などで湯を沸かす釜。
老猫(ろうびょう)
年を経て怪異を起こすと考えられた猫。
小池婆の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。