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全国に伝わるもの

トイレの花子さんとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

トイレの花子さん  / トイレノハナコサン

幽霊と霊現代の妖怪 現代の噂話

学校のトイレに現れる少女の霊。三番目の個室を三回叩くと返事をする。

トイレの花子さんとはどんな妖怪か

トイレの花子さんは、学校の数だけ作法がある怪談です。

三階の女子トイレ、三番目の扉、三回ノック。数はどれも学校ごとに変わります。

もっとも広く知られた呼び出し方は、次のものです。

旧校舎三階の女子トイレで、三番目の扉を三回叩き、「花子さん、遊びましょ」と呼びかける。

中から「はい」と返事があり、扉を開けると、赤いスカートにおかっぱ頭の少女が立っている──というものです。

しかし、呼び出す場所も回数も、学校ごとに違います。 四番目の扉とする学校、三回ではなく決まった言葉を唱える学校、階が違う学校。

同じ名前の妖怪が、学校の数だけ別の作法を持っている。これがこの怪談の最大の特徴です。

昭和後期には全国の学校で語られており、1990年代に映画やゲームで取り上げられて広く定着しました。

トイレの花子さんの漢字表記と読み方

読みは「といれのはなこさん」です。

花子」という名は、日本でもっともありふれた女の子の名前として選ばれたと考えられます。「太郎」「花子」は、名前の例を挙げるときの定番です。

つまり、どこにでもいる女の子という含みが名前に込められています。役の名です。

地域によっては、花子ではなく別の名で呼ぶ学校もあります。しかし、全国に広まったのは「花子さん」という名でした。

トイレに現れる怪異としては、赤マントのほうが古いとされます。花子さんは、そうした学校のトイレの怪談の系譜のうえに現れました。

トイレの花子さん(といれのはなこさん)

もっとも一般的な呼び名。

花子さん(はなこさん)

略した呼び方。

三番目の花子さん(さんばんめのはなこさん)

三番目の個室に出るとする土地での呼び方。

赤マント(あかまんと)

同じくトイレに現れる別の怪異。花子さんより古いとされる。

トイレの花子さんの姿と特徴

花子さんの姿は、次のように語られます。

服装 … 赤いスカート、あるいは赤い吊りスカート。白いブラウス。
… おかっぱ頭。
年齢 … 小学生ほど。
表情 … 語られないことが多い。

が定番です。赤いスカート、赤い服。赤マントの怪談との重なりが指摘されます。

ただし、姿が語られないことのほうが多い点は重要です。

多くの話で、花子さんは扉の向こうにいます。叩けば返事がある。しかし、扉を開けるところまで語る話は多くありません。

「はい」と返事があった。

ここで話は終わります。姿を見た者が語らないことで、この怪談は成立しています。

姿を見た場合の描写は、作品によって作られたものが大きく影響しています。

トイレの花子さんの伝承物語

  1. 呼び出しの作法 ─ 学校ごとに違う
  2. 三階の女子トイレ ─ 学校のなかの異界
  3. 学校の怪談の系譜 ─ 赤マントから花子さんへ
  4. 呼び出す怪談 ─ 子供の遊びとして

呼び出しの作法 ─ 学校ごとに違う

花子さんの怪談の中心は、呼び出しの作法です。

定番の形は次のとおりです。

場所 … 旧校舎の三階、女子トイレ。
… 手前から三番目。
回数 … 三回叩く。
言葉 … 「花子さん、遊びましょ」。

しかし、この作法は学校ごとに違います。

四番目の扉とする学校。三回ではなく決まった回数を叩く学校。呼びかけの言葉が違う学校。校舎の造りに合わせて、作法が調整されているのです。

三階建てでない学校では、階が変わります。 個室が三つない学校では、番号が変わります。

怪談が、実際の校舎の形に合わせて変形している。これは口伝えの怪談としてきわめて自然なことです。

その学校で成立する形に、話のほうが合わせる。 花子さんは、そうやって全国に定着しました。

三階の女子トイレ ─ 学校のなかの異界

学校の怪談は、場所が限られています。

トイレ、音楽室、理科室、階段、体育館、そして旧校舎。

これらに共通するのは、一人になる場所であることです。

とくにトイレは特別です。

個室に入れば、完全に一人になります。 扉一枚を隔てて外があり、中が見えない。誰かがいるのかいないのか、叩いて確かめるしかありません。

そして、学校のトイレは薄暗く、音が響き、水の音がします。

隣の個室に、誰かいるのだろうか。

この問いが、そのまま怪談の形になっています。

扉を叩いて返事を確かめるという行為は、日常的なものです。日常の動作が、そのまま呼び出しの儀式になっている。花子さんの怪談がこれほど広まったのは、この一致によるところが大きいでしょう。

学校の怪談の系譜 ─ 赤マントから花子さんへ

学校のトイレの怪談には、花子さんより前の型があります。

赤マント(あるいは赤い紙・青い紙)は、より古い怪談です。トイレに入っていると、どこからか声がします。

赤い紙がいいか、青い紙がいいか。

赤を選べば血まみれに、青を選べば血を抜かれて青ざめる、というものです。どちらを選んでも助からないという構造を持ちます。

この怪談は昭和の初めから語られていたとされます。

花子さんは、こうした系譜のうえに現れました。違うのは、花子さんが「名前を持つ」ことです。

名前があると、呼びかけられます。呼びかけられると、儀式になります。

赤マントは向こうから来る。花子さんは、こちらから呼ぶ。 この違いが、花子さんを学校の怪談の代表に押し上げました。

呼び出す怪談 ─ 子供の遊びとして

花子さんの怪談で見逃せないのは、これが遊びであることです。

呼び出しの作法があるということは、実際に呼び出す子供がいるということです。

休み時間、数人で連れ立ってトイレへ行く。扉を叩く。誰かが「はい」と言う真似をする。悲鳴を上げて逃げる。

怖がることそのものが遊びになっています。

同じ型の遊びは他にもあります。こっくりさんひとりかくれんぼメリーさんの電話。いずれも、手順を踏んで何かを呼び出す形を持ちます。

怪談が、参加できる形をとっている。 聞くだけの話ではなく、自分でやってみられる話です。

だから、花子さんは学校から学校へ伝わりました。話を聞いた子供が、自分の学校で試す。試すことで、その学校の作法が生まれる。

実演によって伝わる怪談。花子さんは、その代表です。

トイレの花子さんの伝承地域

トイレの花子さんには、訪ねられる伝承地がありません。

花子さんは全国の学校それぞれに現れる怪談です。どの学校にもいて、どの学校のものでもありません。

児童が通う施設です。特定の学校を花子さんの伝承地として挙げることは、その学校に迷惑をかけることになります。

「花子さんが出た学校」を称する場所が語られることもありますが、いずれも確かめられません。

無い場所を、あるように書くことはしません。この欄は空のままにしてあります。

トイレの花子さんの正体と考えられているもの

トイレの花子さんの正体については、次のように考えられています。

まず、これは学校の怪談の一種です。 もとになった事件は見つかっていません。「花子さんの正体は戦時中に亡くなった子供」といった由来が語られることがありますが、どれも確かめられておらず、話に説得力を持たせるために後から付けられたものと考えられます。

場所の性質が大きく働いています。学校のトイレは、一人になる場所です。個室に入れば扉一枚を隔てて外と切り離され、中が見えません。扉を叩いて返事を確かめるという日常の動作が、そのまま呼び出しの儀式になります。

呼び出す形式が、この怪談を広めました。手順があるということは、実際に試せるということです。聞くだけでなく、やってみられる怪談だからこそ、学校から学校へ伝わりました。

学校ごとに作法が違うのは、口伝えの怪談として自然なことです。校舎の造りに合わせて、話のほうが変形します。

赤マントなど、より古い学校の怪談の系譜のうえに花子さんはあります。違いは、名前を持つことで呼びかけられるようになった点です。

花子さんは、学校という場所が生んだ妖怪です。

トイレの花子さんをめぐる妖怪のつながり

トイレの花子さんが登場する作品

花子さんは、1990年代の作品によって全国の形が統一された妖怪です。

それまでは学校ごとに作法が違いました。映画や児童向けの怪談集が広まると、「三階の三番目の扉を三回」という形が標準になっていきます。

媒体が怪談を均していく。 花子さんは、その過程を示す例といえます。

トイレの花子さんが登場する映画・アニメ

学校の怪談を扱う映画

1990年代に学校の怪談を題材とした映像作品が相次いで作られ、花子さんが広く知られるようになりました。

ゲゲゲの鬼太郎

現代の妖怪として登場することがあります。

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学園ホラーの各種作品

定番の怪異として繰り返し登場します。

トイレの花子さんが登場するゲーム

妖怪ウォッチ

花子さんを題材にした妖怪が登場します。

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学校を舞台としたホラーゲーム

呼び出しの作法をそのまま遊びの仕組みに取り入れた作品があります。

トイレの花子さんが登場する書籍

学校の怪談を集めた本

1990年代に児童向けの怪談集が多数出版され、花子さんの話が全国に共有されました。

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トイレの花子さんについてよくある質問

トイレの花子さんとは何ですか。

学校のトイレに現れるとされる少女の霊です。決まった作法で呼び出すと返事があるとされ、全国の学校で語られてきました。

花子さんの呼び出し方は。

もっとも広く知られた形は、旧校舎三階の女子トイレで三番目の扉を三回叩き、「花子さん、遊びましょ」と呼びかけるというものです。ただし作法は学校ごとに違います。

なぜ学校ごとに作法が違うのですか。

校舎の造りに合わせて話が変形するためです。三階建てでない学校では階が変わり、個室が三つない学校では番号が変わります。口伝えの怪談として自然なことです。

花子さんはいつから語られていますか。

昭和後期には全国の学校で語られていました。1990年代に映画や児童向けの怪談集で取り上げられ、広く定着しました。

花子さんの正体は誰ですか。

わかっていません。戦時中に亡くなった子供などの由来が語られることがありますが、いずれも確かめられておらず、後から付けられた説明と考えられます。

花子さんに会える学校はありますか。

ありません。特定の学校に結びついた話ではなく、学校は怪談を目当てに立ち入る場所でもありません。

トイレの花子さんと併せて覚えたい言葉・用語

学校の怪談(がっこうのかいだん)

学校を舞台とする怪談の総称。トイレ、音楽室、理科室、階段が定番の場所。

赤マント(あかまんと)

トイレに現れる怪異。赤い紙か青い紙かを問う。花子さんより古いとされる。

呼び出しの作法(よびだしのさほう)

怪異を呼び出す決まった手順。こっくりさんなどにも共通する形。