身長八センチから二十センチほどの中年男性風の小人。2009年ごろから広まった。
小さいおじさんとはどんな妖怪か
小さいおじさんは、中年男性の姿をした小人の噂です。2009年ごろから話題になりました。
目撃談によれば、身長は八センチから二十センチ程度。窓に貼りついていた、浴室にいた、道端で空き缶を運んでいた、公園の木の上にいた、といった話が語られます。
この怪談の特徴は、芸能人による目撃談が多いことです。ミュージシャン、俳優、グラビアアイドルなど、多くの人がテレビ番組で目撃を語りました。
広まりのきっかけもはっきりしています。2009年3月、都市伝説の語りで知られる関暁夫がテレビ番組で「関東中央の神社の参拝者に妖精がついてくる」と話しました。番組では神社の名が伏せられていましたが、放映直後の連休には例年の倍以上の参拝者が殺到しました。
2009年に広まった話です。
小さいおじさんの漢字表記と読み方
読みは「ちいさいおじさん」です。
名前がそのまま説明になっています。小さい、おじさん。それだけです。
妖怪の名前としては、きわめて異例です。 日本の妖怪の名は、多くが漢字表記を持ち、由来のある言葉から成り立っています。小さいおじさんには、そのどちらもありません。
テレビ番組では「妖精」という呼び方も使われました。ただし、目撃談で語られる姿は西洋の妖精とは似ておらず、中年男性の姿という一点で共通しています。
言い方が説明そのものであるという点に、この怪談が現代のものであることがよく表れています。
小さいおじさん(ちいさいおじさん)
もっとも一般的な表記。
小さなおじさん(ちいさなおじさん)
同じものを指す表記のゆれ。
小人(こびと)
広い意味での呼び方。
妖精(ようせい)
テレビ番組ではこう呼ばれた。
小さいおじさんの姿と特徴
小さいおじさんの姿は、目撃談から次のように語られます。
身長 … 八センチから二十センチ程度。三十から四十センチという証言もあります。
姿 … 中年男性。おじさんとしか言いようのない風貌。
服装 … 語られる例がさまざまです。パジャマ、半ズボン、スーツ、ジャージ。侍の姿という証言もあります。
行動 … 空き缶を運ぶ、木に登る、自転車に乗る、体操する、機器を操作する。
注目したいのは、行動が生活的であることです。人を襲う、呪う、脅かすといった話がほとんどありません。日常のなかで、何かをしている。 それを見てしまった、という形の目撃談が大半です。
2011年には、1972年に秋田県で撮影された写真に身長十五センチほどの小人らしきものが写り込んでいるとして、新聞で報道されたこともあります。
怖い妖怪ではなく、見ると幸運だとされる点も、この怪談の特徴です。
小さいおじさんの伝承物語
テレビから広まった ─ 2009年の経緯
小さいおじさんの広まり方は、きわめてはっきり記録されています。
2009年3月15日、テレビ番組『やりすぎコージー』(テレビ東京)で、都市伝説の語りで知られる関暁夫が「関東中央の神社の参拝者に妖精がついてくる」と話しました。同じ番組で、小さいおじさんを目撃したという俳優の的場浩司も、その神社によく足を運ぶと発言しています。
番組では神社の名がカットされていました。それでも、放映直後の三月の連休には例年の倍以上の参拝者が殺到しました。 その後も参拝者は増え続けたといいます。
ストラップと掲示板
2010年には、キャラクターグッズとして携帯ストラップ「幸せをよぶ小さいおじさん」が発売されました。小さいおじさんを目撃すると小さな幸せがある、見た後は成功するという売り文句がつけられました。
ウェブサイトにも、小さいおじさんに関する掲示板や投稿コーナーが設けられました。
テレビ、掲示板、商品。 現代の怪談が広まる経路が、すべて揃っています。
芸能人が語る ─ 目撃談の特徴
この怪談のもっとも大きな特徴は、芸能人による目撃談が多いことです。
釈由美子は、この伝説がブームになるより約十年前から、テレビ番組で「小さいおじさんの姿の妖精を見た」と語っていました。浴室で泣いていたら小さいおじさんに励まされた、鏡餅の上の蜜柑を小脇に抱えて走り去った、といった話です。
語る人が語る人を増やす
ほかにも、自宅のポットを小さいおじさんとおばさんが二人で引っ張っていた、木の幹の穴から煙たそうに出てきて「煙たいよバカ」と言った、自転車で走ってきた、ベッドにもたれかかっていた、といった目撃談が語られました。
どれも、生活の場面です。 心霊現象のような恐ろしさはありません。
芸能人が語ることで話が広まり、広まったことでさらに語る人が増える。この循環が、小さいおじさんを短期間で全国区にしました。
2011年には妖怪研究家の山口敏太郎の解説とともに、写真が新聞紙上で報道されています。
小人の伝承は日本にもある
小さいおじさんは新しい怪談ですが、小人の話そのものは日本に古くからあります。
コロポックル … アイヌに伝わる小さな人。蕗の葉の下に住むとされます。
一寸法師 … 御伽草子の主人公。椀の舟に箸の櫂で都へ上ります。
座敷童子 … 家に憑く子供の姿の妖怪。見た家は栄えるとされます。
小さいおじさんと共通する点があります。見ると幸運があるという性格です。座敷童子を見た家は栄え、小さいおじさんを見た人には小さな幸せがある。
小さいものが幸運をもたらすという考え方は、日本に根強くあります。
ただし、これは姿が似ているというところまでの話です。両者に系譜のつながりはありません。似た発想が、時代を隔てて別々に現れたと見るべきです。
小さいおじさんの伝承地域
小さいおじさんには、訪ねられる伝承地を挙げません。
理由があります。2009年のテレビ番組で「関東中央の神社」と語られたことから、特定の神社が小さいおじさんの住処だという噂が広まりました。 番組では名が伏せられていましたが、噂は特定の社を名指しし、放映直後の連休には例年の倍以上の参拝者が殺到しました。
しかし、社に伝わるのは別の由緒です。 テレビ番組の話が広まった結果です。
実在の社を怪談の舞台として名指しすることは、その社に迷惑をかけることになります。 前の書き手が姦姦蛇螺やトイレの花子さんで取った判断と、同じ理由です。
そのほかの目撃談も、自宅の浴室、公園、道端といった、どこにでもある場所です。特定は難しいままです。
無い場所を、あるように書くことはしません。この欄は空のままにしてあります。
小さいおじさんの正体と考えられているもの
小さいおじさんの正体については、次のように考えられます。
一つめは、見間違いです。視界の隅で動くものを、人の形と認識してしまうことは珍しくありません。人の脳は、人の形を見つけることに強く働くようにできています。 落ち葉、影、虫、小さな物体。それらが一瞬、人に見えることがあります。
二つめは、入眠時や覚醒時の幻覚です。眠りに落ちる前後には、実際にはないものが見えることがあります。金縛りとともに何かを見たという証言は、この説明とよく合います。
三つめは、話の伝播そのものです。テレビで語られ、掲示板に書かれ、商品になった。語られることで、次の目撃談が生まれる。現代の怪談に共通する広まり方です。
四つめは、幸運を求める気持ちです。見ると小さな幸せがある、という性格が早い段階でついたことは重要です。怖いものではなく、良いものとして受け入れられました。
そして、はっきり書いておくべきことがあります。
小さいおじさんは、2009年ごろから広まった現代の都市伝説です。 2009年に広まった話です。コロポックルや座敷童子とも、系譜のつながりはありません。
小さいおじさんをめぐる妖怪のつながり
小さいおじさんが登場する作品
小さいおじさんは、テレビが作った怪談です。放送、目撃談、商品化という流れがはっきりしており、現代の都市伝説がどう生まれるかを見る教材のような存在です。
作品での扱いは、恐怖よりもほのぼのとしたものが多くなっています。害をなさず、見ると幸運という性格が定着したためです。
小さいおじさんが登場するテレビ・報道
やりすぎコージー
2009年3月の放送が広まりの直接のきっかけになりました。
オーラの泉
ブームより前に、釈由美子が目撃を語った番組です。
新聞報道
2011年、秋田県で1972年に撮影された写真が、小さいおじさんの写真として報じられました。
小さいおじさんが登場する商品
幸せをよぶ小さいおじさん
2010年に発売された携帯ストラップです。見ると小さな幸せがあるという売り文句がつけられました。
小さいおじさんが登場する漫画・アニメ・ゲーム
都市伝説を扱う作品
現代の怪談をまとめて扱う作品で、必ず取り上げられます。
小人を扱う映像作品
小さな人が生活しているという発想は、多くの作品に共通します。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
小さいおじさんについてよくある質問
小さいおじさんとは何ですか。
中年男性のような姿をした小人がいる、という現代の都市伝説です。身長は八センチから二十センチ程度とされます。
いつから言われているのですか。
2009年ごろからです。2009年3月のテレビ番組での発言が広まりの直接のきっかけになりました。
小さいおじさんは怖いのですか。
怖い話はほとんどありません。見ると小さな幸せがある、見た後は成功する、といった良いものとして語られています。
コロポックルや座敷童子と関係がありますか。
系譜のつながりはありません。小さいものが幸運をもたらすという発想は共通しますが、別々に生まれたものです。
小さいおじさんに会える場所はありますか。
ありません。特定の神社が住処だという噂が広まったことがありますが、社に伝わるのは別の由緒です。
小さいおじさんと併せて覚えたい言葉・用語
都市伝説(としでんせつ)
近代以降に広まった、出所のはっきりしない話。
コロポックル(ころぽっくる)
アイヌに伝わる小さな人。蕗の葉の下に住むとされる。
一寸法師(いっすんぼうし)
御伽草子の主人公。小さい人の物語として古くから知られる。