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全国に伝わるもの

カシマさんとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

カシマさん  / カシマサン

幽霊と霊現代の妖怪 現代の噂話

話を知った者に問いかけ、答えられないと体の一部を奪うとされる怪談。

カシマさんとはどんな妖怪か

カシマさんは、日本の都市伝説のひとつです。鹿島大明神カシマさまカシマレイコ仮死魔霊子などとも呼ばれます。

話の型は決まっています。「過去に起きた悲惨な事件」の話を知ってしまった者のもとへ、電話や夢で謎の問いかけがある。これに正しく答えられないと、体の一部を奪われて死ぬというものです。

導入部にはいくつもの型があります。近年は女性とされることが多いのですが、噂の発生時には男性の傷痍軍人だったともいわれます。

問いは「脚いるか」「この話を誰に聞いた」とされることが多いものです。答えとしては、「手をよこせ」には「今使ってます」、「脚をよこせ」には「今必要です」、「誰から聞いた」には「カシマさん」と答える、といったものが有名です。

ライターの初見健一は、口裂け女との関係を指摘しています。

カシマさんの漢字表記と読み方

読みは「かしまさん」です。

名前の由来については、二つの流れがあります。

一つめは、名前の字を分解する遊びです。「その話を誰から聞いた」と問われたときの答えとして、「カは仮面(火事)のカ、シは死のシ、マは魔のマ、レイは霊のレイ、コは事故のコ」という型が知られています。カシマレイコという名前が、一文字ずつ不吉な意味を持つように作られています。

二つめは、鹿島神社との関係です。「鹿島神社と関係がある」とする派生では、性格が正反対になります。この場合、「カシマさん。助けてください」と唱えることで脅威が去ります。カシマさんは人を襲う怪異ではなく、その怪異の天敵として人を助ける側になります。

同じ名前が、襲う側にも助ける側にもなります。

カシマさん(かしまさん)

もっとも一般的な表記。

カシマレイコ(かしまれいこ)

名を持つ形での呼び方。

仮死魔霊子(かしまれいこ)

字を当てた表記。「カは仮面のカ、シは死のシ」という答えの型に対応する。

鹿島大明神(かしまだいみょうじん)

助けを求める対象としての呼び方。

カシマさま(かしまさま)

同じものの呼び方。

カシマさんの姿と特徴

カシマさんの姿は、一定しません。

語られるものを挙げます。

身体の一部が欠損した女性 … もっとも多い型です。両手足がないとされます。
身体がケロイド状の女性 … 火傷の痕がある姿。
旧日本軍兵士 … 噂の発生時には男性の傷痍軍人だったともいわれます。

共通するのは、体が欠けているという一点です。

近年インターネット上で見られる型はこうです。終戦直後、米兵に暴行された女性が両手足を撃たれ、通りかかった医者に一命は取り留めたものの手足を失い、自分の美しさに誇りを持っていた女性はそのショックで列車に投身自殺した──というものです。

トイレに現れる型もあります。

いずれの型でも、「聞いた人間のところに現れる」「命を奪われる」「体が欠損している」のいずれかが必ず織り込まれています。

テケテケの正体として語られることもあります。

カシマさんの伝承物語

  1. 知ってしまうと来る ─ 話の仕組み
  2. 口裂け女の二番煎じか
  3. 助ける側のカシマさん

知ってしまうと来る ─ 話の仕組み

カシマさんの怪談は、仕組みが特殊です。

ふつうの怪談は、「こういう場所に行くと出る」「こういうことをすると出る」という形をとります。カシマさんは違います。

話を知ってしまった者のところへ来ます。

つまり、この項目を読んでいる時点で、話の条件は満たされています。 これがカシマさんの怖さの作り方です。

来る手段は、電話や夢です。そして問いかけがあります。「脚いるか」「この話を誰に聞いた」。

答えられないと、体の一部を奪われて死ぬ。

答えの型も伝わっています。

「手をよこせ」→「今使ってます」
「脚をよこせ」→「今必要です」
「その話を誰から聞いた」→「カシマさん」

謎も正解も、多くの型があります。この「正解を知っていれば助かる」という形が、話を広める力になりました。 知った者は、正解も一緒に伝えなければならないからです。

口裂け女の二番煎じか

カシマさんの成立について、興味深い指摘があります。

昭和後期のサブカルチャーに詳しいライターの初見健一は、次のように述べています。

口裂け女の噂が日本全国の子供に流布した1978年以降に、二番煎じの形で流布した。

根拠として初見が挙げるのは、自らの経験です。「口裂け女の本名はカシマレイコ」という流言を耳にしたというのです。

この指摘は説得力があります。口裂け女とカシマさんには、共通点が多くあります。

女性である。
顔や体に損傷がある。
問いかけをする。
答え方によって助かる。

口裂け女は「私、きれい?」と問い、答え方によって結末が変わります。カシマさんも問いに答えられるかどうかで生死が決まります。

問答によって助かるという仕組みは同じです。

カシマさんが口裂け女から派生したかどうかは、確かめられていません。 ただし、両者に関係がある可能性は指摘されています。

助ける側のカシマさん

カシマさんには、性格が正反対になる派生があります。

「鹿島神社と関係がある」とする型です。

この場合、カシマさんは襲う側ではありません。「カシマさん。助けてください」と唱えることで、脅威が去ります。 人を襲う怪異ではなく、その怪異の天敵として人を助ける側になります。

鹿島神は、日本の神のなかでも武の神として知られます。地震を起こす大鯰を要石で押さえているという伝承もあり、恐ろしいものを抑える力を持つ神です。

名前が同じであることから、この性格が流れ込んだと考えられます。

このほか、派生した話は数多くあります。

事件の起きた場所に印をつけ、線で結ぶと、頭・腕・脚のない胴体の輪郭になる。
加古川市と高砂市で、この呪いによる死亡事件が新聞で報道されパニックになった。

いずれも確かめられていません。具体的な地名や報道が語られる形は、都市伝説によく見られる作り方です。

カシマさんの伝承地域

カシマさんには、訪ねられる伝承地を挙げません。

理由は二つあります。

ひとつは、カシマさんが特定の場所ではなく「話を知った者」のところへ来るとされることです。舞台となる場所がありません。

もうひとつは、より重い理由です。この怪談の派生には、具体的な市の名を挙げて「この呪いによる死亡事件が新聞で報道されパニックになった」と語る型があります。そのような報道は確かめられませんでした。

実在の市の名を、確かめられない死亡事件と結びつけて書くことはしません。その土地に迷惑をかけることになります。

また、「鹿島神社と関係がある」とする派生もありますが、実在の社を怪談と結びつけて名指しすることも避けます。 鹿島の名を持つ社は全国にあり、いずれもこの怪談とは無関係です。

無い場所を、あるように書くことはしません。この欄は空のままにしてあります。

カシマさんの正体と考えられているもの

カシマさんの正体については、次のように整理できます。

一つめは、口裂け女からの派生です。ライターの初見健一は、口裂け女の噂が全国に広まった1978年以降に二番煎じの形で流布したと述べ、「口裂け女の本名はカシマレイコ」という流言を耳にした経験を根拠に挙げています。

両者には共通点が多くあります。女性であること、体に損傷があること、問いかけをすること、答え方によって助かること。問答によって助かるという仕組みは同じです。

二つめは、戦争の記憶です。噂の発生時には男性の傷痍軍人だったともいわれます。終戦直後を舞台とする導入部が多いことも、この見方を支えます。手足を失った人の姿が、戦後の日本には確かにありました。

三つめは、鹿島信仰との混同です。鹿島神は武の神であり、恐ろしいものを抑える力を持つとされます。「カシマさん。助けてください」と唱えると助かるという派生は、名前が同じであることから流れ込んだと考えられます。

四つめは、話を広める仕組みです。「知ってしまった者のところへ来る」「正解を知っていれば助かる」。この二つが組み合わさると、知った者は他人に伝えずにいられなくなります。怪談として、非常によくできた作りです。

カシマさんがいつ、どこで生まれたかは、はっきりわかっていません。

カシマさんをめぐる妖怪のつながり

同じ地域・原典 姿・性質が似る 対立・退治 混同・地域変異

カシマさんが登場する作品

カシマさんは、口裂け女ほど広まりませんでした。 理由のひとつは、姿が一定しないことでしょう。口裂け女はマスクと口という一点で通じますが、カシマさんは型が多すぎます。

ただし、問答によって生死が決まるという仕組みは非常に強く、作品では繰り返し使われています。

カシマさんが登場する記録

口裂け女の噂

1978年以降に全国へ広まりました。カシマさんはその二番煎じとして流布したという指摘があります。

学校の怪談の収集

子供たちのあいだで語られた怪談を集めた記録に、カシマさんが含まれます。

カシマさんが登場する映像

テケテケを扱う作品

テケテケの正体としてカシマレイコが語られることがあり、映画作品でもこの設定が用いられました。

都市伝説を扱う作品

現代の怪談をまとめて扱う作品で取り上げられます。

カシマさんが登場するゲーム

ホラーゲーム

問答によって生死が決まるという仕組みが、そのまま遊びの形式に使えるため取り入れられています。

妖怪ウォッチ

現代の怪談を下敷きにした妖怪が登場します。

Amazonでゲームを探す

日本の妖怪の本を探す

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カシマさんについてよくある質問

カシマさんとは何ですか。

日本の都市伝説です。悲惨な事件の話を知ってしまった者のところへ電話や夢で問いかけがあり、正しく答えられないと体の一部を奪われて死ぬとされます。

どう答えれば助かるのですか。

「手をよこせ」には「今使ってます」、「脚をよこせ」には「今必要です」、「その話を誰から聞いた」には「カシマさん」と答える型が知られています。ただし謎も正解も多くの型があります。

口裂け女と関係がありますか。

指摘されています。ライターの初見健一は、口裂け女の噂が広まった1978年以降に二番煎じの形で流布したとし、「口裂け女の本名はカシマレイコ」という流言を耳にしたと述べています。

カシマさんは助けてくれることもあるのですか。

「鹿島神社と関係がある」とする派生では、「カシマさん。助けてください」と唱えることで脅威が去ります。この場合は人を助ける側になります。

カシマさんに会える場所はありますか。

ありません。特定の場所ではなく、話を知った者のところへ来るとされる怪談です。

カシマさんと併せて覚えたい言葉・用語

テケテケ(てけてけ)

上半身だけで這い回るとされる怪異。カシマさんが正体として語られることがある。

傷痍軍人(しょういぐんじん)

戦傷を負った軍人。噂の発生時のカシマさんの姿とされる。

鹿島神(かしまのかみ)

武の神。要石で大鯰を押さえるという伝承を持つ。名前が同じことから怪談に流れ込んだ。

口裂け女(くちさけおんな)

1978年以降に全国へ広まった怪談。カシマさんとの関係が指摘されている。