夜の坂で「負われよか」と問いかけ、返事をした男の背へ松の切り株を負わせた南河内の古狸。
負われ坂とはどんな妖怪か
負われ坂は、大阪の南河内で語られた坂道の怪異です。夜の坂を歩く男へ、姿の見えないものが「負われよか」と問いかけます。男が負ってやると返した途端、背には重い松の切り株が乗っていました。
男は切り株を家まで運び、鉈で割ろうとします。すると古狸が姿を現し、悪戯を詫びました。声だけで始まり、重荷を家まで持ち帰り、狸の謝罪で終わるところまでが負われ坂の物語です。
負われ坂の漢字表記と読み方
負われ坂は「おわれざか」と読みます。夜道の声は「負われよか」、つまり「背負ってもらおうか」という問いです。
負われ坂(おわれざか)
「背負われる坂」という出来事をそのまま表す名称。
おわれ坂(おわれざか)
「おわれ」を平仮名で記す表記。
負われ坂の姿と特徴
坂では姿を見せず、男の背には松の切り株として乗ります。正体が見えるのは、男が家で鉈を手にした後です。そこで初めて、悪戯をしたものが古狸だったと分かります。
負われ坂の伝承物語
夜の坂で「負われよか」と声がする
男が夜の坂を上っていると、どこからともなく「負われよか」と声がしました。振り返っても、背負う相手の姿は見えません。
男は声に向かって、負ってやろうと答えます。見えない相手とのやり取りは、その返事を境に、はっきりした重みへ変わりました。背中へ乗ったのは、人でも子供でもなく、松の切り株でした。
松の切り株を背負い、家まで帰る
切り株は重くても、男は坂の途中で投げ出しませんでした。そのまま背負い、家まで運びます。
家へ着いても、怪異はまだ終わりません。男は背から下ろした切り株を見て、鉈で割ろうとしました。夜道で突然背負わされたものの中身を、刃を入れて確かめようとしたのです。
鉈を振るう前に古狸が現れて詫びる
男が鉈を手にすると、切り株の正体だった古狸が姿を現しました。狸は襲いかからず、男へ悪戯を詫びます。
負われ坂では、人が重みに押し潰されることも、狸が退治されることもありません。姿の見えない声に返事をした男が悪戯へ巻き込まれ、狸が正体を明かして謝るところで話は収まります。
負われ坂の伝承地域
負われ坂の採録地は旧南河内郡です。現在の同名坂や一つの町へ狭められないため、地図は大阪府南東部の南河内地域を示します。
旧南河内郡(きゅうみなみかわちぐん)
負われ坂の伝承地域
旧南河内郡の所在地:大阪府南河内地域
『綜合日本民俗語彙』に南河内郡の話として採録されています。
特定の坂名や現在の番地までは示されていません。
負われ坂の正体と考えられているもの
負われ坂の正体は、坂そのものではなく古狸です。狸は声だけで男に返事をさせ、松の切り株へ化けて背負われました。最後に姿を現して詫びるため、重い荷を負わせる恐ろしさと、化かしが露見する可笑しさが一つの話になっています。
負われ坂をめぐる妖怪のつながり
負われ坂が登場する作品
負われ坂は、狸が謝って終わる話です。
「負われよか」という声に返事をすると、背へ松の切り株が乗ります。 男は投げ出さず、家まで背負って帰りました。
鉈で割ろうとしたところ、正体の古狸が現れて詫びます。押し潰されることも、退治されることもありません。悪戯の落としどころが用意されています。
負われ坂が登場する事典
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負われ坂についてよくある質問
負われ坂とはどんな妖怪ですか。
南河内の夜の坂で「負われよか」と声をかけ、返事をした男へ松の切り株を背負わせた古狸です。
負われ坂は何と読みますか。
「おわれざか」と読みます。声の「負われよか」は、背負ってもらおうかという問いです。
男はどうやって助かりましたか。
男は切り株を家まで運び、鉈で割ろうとしました。すると古狸が姿を現して詫び、話は終わります。
負われ坂は実在する坂の名前ですか。
伝承は旧南河内郡の坂を舞台にしますが、採録から現在の特定の坂や番地までは決められません。
負われ坂と併せて覚えたい言葉・用語
負われ坂(おわれざか)
声に応じた男へ松の切り株を背負わせる南河内の古狸の話。
南河内郡(みなみかわちぐん)
大阪府南東部にあった郡。負われ坂の採録地域。
鉈(なた)
木を割ったり枝を払ったりする厚い刃の道具。
負われ坂の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。