石巻の牧山に住んだ女の鬼。大嶽丸の妻とされ、遺髪が観音像に納められた。

ChiefHira 「零羊崎神社拝殿(宮城県石巻市湊)」 2010年 / CC BY-SA 3.0 出典
魔鬼女とはどんな妖怪か
魔鬼女の漢字表記と読み方
読みは「まきじょ」または「まきめ」です。
魔鬼ともいいます。
そして、この名は山の名になりました。
牧山の名前の由来は、鬼が暮らしていたことから「魔鬼山」と称されたことだと伝説では語られており、寺の名前だった魔鬼山寺も同様です。
魔鬼山が、牧山になりました。
梅渓寺の記録では、弘仁7年(816年)に梅谷寺が建立されたときに、魔鬼山から同音の牧山に文字を改めたといいます。
同じ音で、字を変えました。
魔鬼女(まきじょ)
もっとも一般的な表記。
魔鬼女(まきめ)
別の読み方。
魔鬼(まき)
短く呼ぶ形。
魔鬼女の姿と特徴
魔鬼女の姿は、細かく語られていません。
わかっているのは、次のことです。
女の鬼である。
石巻市の牧山に住んでいる。
箟岳山に住む大嶽丸とは夫婦の間柄。
妾とも示される。
大嶽丸の妻です。
そして、遺髪が残ります。
田村将軍は魔鬼女の暮らしていた山に観音菩薩を祀り、その像に魔鬼女の遺髪を納め、魔鬼山寺を建立したとされます。
髪が観音像に納められました。
魔鬼女の伝承物語
遺髪を観音に納める
魔鬼女の最期は、寺の建立につながります。
大嶽丸をはじめとした鬼たちは、大和朝廷から派遣された田村将軍によって退治されました。
その帰り道のことです。
田村将軍は魔鬼女の暮らしていた山に観音菩薩を祀り、その像に魔鬼女の遺髪を納め、魔鬼山寺(まきやまじ)を建立したとされます。
遺髪を納めます。
そして、理由が語られています。
田村将軍は、鬼退治を前にして観音菩薩に大悲威神のちからを祈願しており、その霊験に報いるため、鬼たちの暮らしていた山に、それぞれ観音菩薩を祀って供養をしたとされます。
祈願の礼です。
その際に用いられた観音像は、延鎮(清水寺の開基とされる僧)から授かった観音像だとされます。
牧山観音の縁起として
魔鬼女の物語は、寺社の縁起のなかで育ちました。
牧山には牧山観音が祀られており、その寺社縁起のなかで魔鬼女の物語は形成されて来ました。
縁起の中で作られました。
同じ形は、隣の山にもあります。
同様に箟岳山には、大嶽丸に対して観音菩薩を祀って寺を建てています。
そして、この型は東北に多くあります。
坂上田村麻呂・延鎮と観音菩薩の関係は、清水寺(京都府)をはじめ、寺社縁起や奥浄瑠璃では古くから深い関係があるものとして語られつづけています。
「大嶽丸を退治する田村将軍」という構図の物語を取り込んだ寺社縁起は、東北地方には非常に多く見られ、この牧山観音のものも、そのうちのひとつにかぞえられます。
三観音縁起に出てこない
魔鬼女には、記録の欠けがあります。
牧山観音を含む奥州三観音の縁起物語である奥州の三観音縁起には、
田村将軍が大嶽丸と鬼たちを退治し、それぞれの山に封じた点は語られるのですが、魔鬼女についての話は登場しません。
主要な縁起に出てきません。
一般に語られる形は、こうです。
『三観音縁起』などをもとに語られる伝説では、退治をした大嶽丸の首・胴・手足をそれぞれ三ヶ所の山に埋めて観音菩薩を祀った、ということになっています。
その際に、田村将軍が大嶽丸を退治した舞台は牧山だともされます。
牧山は、大嶽丸を討った場所とされます。
魔鬼女の話は、そこに後から加わったとみることもできます。
魔鬼女の伝承地域
魔鬼女は、宮城県石巻市の牧山に住んだとされます。
牧山の名前の由来は、鬼が暮らしていたことから「魔鬼山」と称されたことだと伝説では語られます。
牧山には「延鎮僧都魔鬼山旧址」という碑が残されており、古刹として知られて来ました。
寺は移りました。
牧山観音があった長禅寺(長全寺)は明治時代初期の神仏分離で零羊崎神社となっており、そのときに牧山観音は梅渓寺の境内に移されました。
夫とされる大嶽丸の住んだ箟岳山は、宮城県涌谷町にあります。
参拝の際は、各社寺の案内に従ってください。
零羊崎神社(ひつじさきじんじゃ)
魔鬼女の住んだ牧山の頂に鎮座する社
零羊崎神社の所在地:宮城県石巻市湊字牧山7
北上川の左岸、標高およそ250メートルの牧山の頂上に鎮座します。
祭神は豊玉彦命です。
牧山観音があった長禅寺は、明治初期の神仏分離でこの社になりました。
魔鬼女の正体と考えられているもの
魔鬼女については、次のように整理できます。
一つめは、女の鬼です。石巻市の牧山に住んでいる鬼で、箟岳山に住む大嶽丸とは夫婦の間柄であり、妾とも示されます。
二つめは、遺髪です。田村将軍は魔鬼女の暮らしていた山に観音菩薩を祀り、その像に魔鬼女の遺髪を納め、魔鬼山寺を建立したとされます。
三つめは、地名の由来です。牧山の名前の由来は、鬼が暮らしていたことから「魔鬼山」と称されたことだと伝説では語られ、弘仁7年に同音の牧山に文字を改めたといいます。
四つめは、縁起のなかです。牧山観音の寺社縁起のなかで魔鬼女の物語は形成されて来ました。
五つめは、記録の欠けです。奥州の三観音縁起には、魔鬼女についての話は登場しません。
この鬼は、寺の縁起のなかで形を得ました。 碑と地名が、いまも残っています。
魔鬼女をめぐる妖怪のつながり
魔鬼女が登場する作品
魔鬼女は、地名を残した鬼です。
牧山という名が「魔鬼山」に由来すると語られ、碑も残っています。
資料は牧山観音の寺社縁起と、石巻の郷土史に分かれます。
魔鬼女が登場する古典
魔鬼女が登場する研究
魔鬼女が登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
女の鬼として、鈴鹿御前と並べて取り上げられます。
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魔鬼女についてよくある質問
魔鬼女とは何ですか。
宮城県石巻市の伝説に登場する女の鬼です。石巻市の牧山に住んでいるとされ、箟岳山に住む大嶽丸とは夫婦の間柄でした。
牧山の名の由来は何ですか。
鬼が暮らしていたことから「魔鬼山」と称されたことだと伝説では語られます。 弘仁7年に梅谷寺が建立されたときに、魔鬼山から同音の牧山に文字を改めたといいます。
遺髪はどうなりましたか。
田村将軍が魔鬼女の暮らしていた山に観音菩薩を祀り、その像に魔鬼女の遺髪を納め、魔鬼山寺を建立したとされます。
三観音縁起には出てきますか。
出てきません。 奥州の三観音縁起には、田村将軍が大嶽丸と鬼たちを退治し、それぞれの山に封じた点は語られるのですが、魔鬼女についての話は登場しません。
魔鬼女と併せて覚えたい言葉・用語
大嶽丸(おおたけまる)
東北の鬼の大将。魔鬼女の夫とされる。
延鎮(えんちん)
清水寺の開基とされる僧。観音像を授けたとされる。
牧山(まきやま)
宮城県石巻市の山。もと「魔鬼山」と称されたという。