静岡県で、夜歩く人のあとをついてくるという鼬。草履を投げるとついて来なくなるとされた。
オクリイタチとはどんな妖怪か
オクリイタチの漢字表記と読み方
読みは「おくりいたち」です。
「送り」は、人の後ろに付いて行くという意味で使われています。見送るのではなく、付きまとうほうの送りです。
鼬は、人家の近くにも現れる小さな獣です。各地で、音や気配の怪異の主として名を挙げられてきました。新潟の六人搗きも鼬の群れの音とされます。
オクリイタチ(おくりいたち)
日文研データベースが示す呼称。
送り鼬(おくりいたち)
語の意味に沿って漢字を当てた書き方。
オクリイタチの姿と特徴
オクリイタチの姿は、名のとおり鼬とされます。
時 … 夜。
動き … 歩く人のあとをついてくる。
止める方法 … 草履を投げる。
顔つきや大きさは記録されていません。化けて別の姿になるとも書かれていません。
噛む、転ばせるといった害も記録されていません。
オクリイタチの伝承記録
草履を投げると止む
この記録でいちばん具体的なのは、草履を投げるとついてくるのをやめるという対処です。
履物を投げるという作法は、各地の怪異に見られます。高知のケチビは、草履を叩いて呼び、草履の裏に唾を吐いて招くとされました。
履物は、地面と体のあいだにある道具です。 身に着けたものを投げ与えることで、追ってくるものを止める、という考え方が読み取れます。
なぜ草履なのかは、記録に書かれていません。
「送り」の付く怪異
夜道で後ろに付くものを、各地で「送り」の名で呼びました。
送り犬は転んだ人を襲うとも、守るともいわれます。送り狼も同じ形です。和歌山の送り雀は、送り狼が付いている知らせだとされました。
オクリイタチは、その主を鼬とする形です。
付いてくるだけで、襲うとは記録されていません。 静岡では、鼬がその役を負っていました。
オクリイタチの伝承地域
公的データベースの地域欄は静岡県を示します。
道や村の名は記録されていないため、地図で指せるのは県の範囲までです。
オクリイタチの正体と考えられているもの
オクリイタチの正体は、記録では鼬とされています。
実際に鼬が人の後ろを歩いたのか、音や気配を鼬と考えたのかは書かれていません。
害を加えたという記録はありません。 付いてくるだけです。
草履を投げれば止むという対処が伝わっていることから、恐ろしいが、手立てのある相手として語られていたことが分かります。
オクリイタチが記録された資料
オクリイタチを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田国男の「妖怪名彙」です。
送り犬や送り狼をまとめて扱った本の中で、鼬の例として触れられることがあります。
オクリイタチが記録された民俗資料
妖怪名彙(三)
柳田国男が『民間伝承』3巻12号(1938年)に載せた中心資料です。
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オクリイタチについてよくある質問
オクリイタチとはどんな妖怪ですか。
静岡県で、夜に歩く人のあとをついてくるとされた鼬です。
どうすれば止まりますか。
草履を投げるとついてくるのをやめると記録されています。
襲われることはありますか。
害を加えたという記録はありません。付いてくるとだけ伝えられています。
送り犬とは違うものですか。
同じ「送り」の付く怪異ですが、主が鼬とされている点が違います。
オクリイタチと併せて覚えたい言葉・用語
送り(おくり)
夜道で人の後ろに付いて行くことを指す言い方です。
鼬(いたち)
人家の近くにも現れる小さな獣。音や気配の怪異の主とされました。
草履(ぞうり)
投げると付いて来なくなるとされた履物です。
オクリイタチの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。