高知県四万十町で、山犬に襲われて死んだ女中。今ではお産の神様となった。

お磯ケ森とはどんな妖怪か
お磯ケ森はひとことで言えば、追い返されて死に、産の神になった女です。高知県高岡郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、窪川町万六会「わが町の伝説」(『季刊民話』通巻3号、1975年、25頁)を典拠に、大百姓の家の女中お磯が、作男の子供を身ごもった。主人はお磯を家へ追い返した。お磯は途中の桧の下で産気づき、子を産み落としたが、山犬に襲われて死んだ。それ以降主人の家では不幸が続き、桧のそばに祠をたてた。今ではお産の神様となっていると記します。
追い返した側に、不幸が続きました。
そこで、桧のそばに祠が立てられます。
そして今は、お産の神様です。
お磯ケ森の漢字表記と読み方
読みは「おいそがもり」です。
「森」は社のある木立を指すことがあります。祠と桧を含めた場所の名とみられます。
「作男」は農家で働く男です。
お磯ケ森(おいそがもり)
日文研データベースが示す表記。
お磯(おいそ)
女中の名。
お磯ケ森の姿と特徴
この記録に妖怪の姿はありません。あるのは、出来事と祠です。
女中 … お磯。大百姓の家に奉公していた。
きっかけ … 作男の子供を身ごもった。
主人のしたこと … お磯を家へ追い返した。
途中の出来事 … 桧の下で産気づき、子を産み落とした。
死因 … 山犬に襲われた。
その後 … 主人の家では不幸が続いた。
祀り … 桧のそばに祠をたてた。
現在 … お産の神様となっている。
霊が現れたという記述はありません。
お磯ケ森の伝承記録
桧の下で産む
大百姓の家の女中お磯が、作男の子供を身ごもりました。
主人は、お磯を家へ追い返しました。
身重のまま、家を出されたことになります。
お磯は途中の桧の下で産気づき、子を産み落としました。
そして、山犬に襲われて死にました。
祠が産の神になる
それ以降、主人の家では不幸が続きました。
桧のそばに祠をたてます。
今ではお産の神様となっています。
追い返された女が、産を守る側になりました。
この図鑑にはヤエモン様(静岡)も収めています。
お磯ケ森の伝承地域
公的データベースの地域欄は高知県高岡郡四万十町を示します。報告は旧窪川町の伝説です。
祠の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
お磯ケ森の正体と考えられているもの
この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、祀られて神になった死者です。
追い返した主人の家に、不幸が続きました。
そこで祠が立てられ、今はお産の神様になっています。
死に方が、そのまま神の役目になりました。
この図鑑にはヤエモン様(静岡)、オナンネイサン(山梨)、円蔵のうらみ(山形)も収めています。
お磯ケ森が記録された資料
お磯ケ森を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『季刊民話』の記事です。
土地の会が自分たちの町の伝説をまとめた記事です。この図鑑には二人坊主(福島)も収めています。同じ雑誌の記録です。
お磯ケ森が記録された民俗資料
わが町の伝説
窪川町万六会が『季刊民話』通巻3号(1975年)に載せた中心資料です。
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お磯ケ森についてよくある質問
お磯ケ森とは何ですか。
高知県四万十町の話です。追い返されて山犬に襲われ死んだ女中を祀った場所です。
なぜ祠が立てられたのですか。
その後、主人の家で不幸が続いたためと記録されています。
今はどうなっていますか。
お産の神様となっていると記録されています。
作男とは何ですか。
農家で働く男のことです。
お磯ケ森と併せて覚えたい言葉・用語
作男(さくおとこ)
農家で働く男のことです。
山犬(やまいぬ)
野生の犬、またはオオカミを指す言い方です。
桧(ひのき)
常緑の高木。この木の下でお磯は子を産みました。
お磯ケ森の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。