大阪府豊中市の坂。夜ここを通ると馬の首が転げて落ちてくるといわれた。

Japangyro 「国道176号から見た刀根山(大阪府豊中市刀根山)」 2012年 / CC BY-SA 3.0 出典
ウマザカとはどんな妖怪か
ウマザカはひとことで言えば、馬の首が落ちてくる坂です。大阪府豊中市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、辰井隆「妖怪名彙に寄す」(『民間伝承』5巻5号、1940年、5頁)を典拠に、柴原から刀根山へ行く途中に「ウマザカ」という坂があり、夜ここを通ると馬の首が転げて落ちてくると記します。
坂の名がそのまま怪異の名です。 場所に結び付いた怪異で、その坂を通らなければ何も起きません。
転げ落ちてくるのは、馬の首だけです。胴も脚もありません。
落ちてきた首がどうなるか、当たるとどうなるかは記録されていません。
ウマザカの漢字表記と読み方
読みは「うまざか」です。
坂の名であり、怪異の名でもあります。土地の名がそのまま妖怪の名になる例は各地にあります。岡山の杓子岩、香川のアワジも同じ形です。
馬の首が落ちてくるという話と、坂の名の「馬」がどちらが先かは記録されていません。
ウマザカ(うまざか)
日文研データベースが示す呼称。
馬坂(うまざか)
語の形に沿って字を当てた書き方。
ウマザカの姿と特徴
ウマザカに姿はありません。現れるのは、馬の首です。
場所 … 柴原から刀根山へ行く途中の坂。
時 … 夜。
出来事 … 馬の首が転げて落ちてくる。
首だけで、胴はありません。
音を立てるのか、当たるのかは記録されていません。落ちてくるという一点だけが伝えられています。
ウマザカの伝承記録
柴原から刀根山への坂
記録は場所を具体的に示します。柴原から刀根山へ行く途中です。どちらも豊中市の地名です。
坂は、村と村をつなぐ道の途中にありました。 夜に通る人がいたからこそ、この話が残っています。
坂の長さも傾きも記録されていません。 分かるのは、二つの地名を結ぶ道の途中だということです。
首だけが転げてくる
落ちてくるのは馬の首です。
首の無い馬が現れる話は各地にあります。徳島の首切れ馬、各地の首無し馬。いずれも胴だけが歩く姿です。
ウマザカはその逆で、首だけが転げてきます。
馬は、荷を運び田を耕す大きな家畜でした。 その首が坂を転げ落ちてくるという形は、家畜の死を思わせる光景でもあります。
ウマザカの伝承地域
記録は柴原から刀根山へ行く途中と記します。どちらも大阪府豊中市の地名です。
坂の現在地を示す記述はないため、地図で指せるのは二つの地名のあいだまでです。
ウマザカの正体と考えられているもの
ウマザカの正体は確定していません。
狐や狸のしわざとも、亡霊とも書かれていません。 記録にあるのは、夜の坂に馬の首が転げてくるという形だけです。
坂で馬が倒れた、荷を落としたといった出来事があったのかもしれませんが、資料はそこに触れていません。
分かっているのは、坂の名と、夜と、馬の首という三つだけです。
ウマザカが記録された資料
ウマザカを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは辰井隆「妖怪名彙に寄す」です。
題のとおり、柳田國男の「妖怪名彙」へ土地から寄せられた報告です。同じ報告には大阪・兵庫の怪異が並びます。
ウマザカが記録された民俗資料
妖怪名彙に寄す
辰井隆が『民間伝承』5巻5号(1940年)に載せた中心資料です。
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ウマザカについてよくある質問
ウマザカとはどんな妖怪ですか。
大阪府豊中市の坂の名であり、夜ここを通ると馬の首が転げて落ちてくるといわれた怪異です。
どこにある坂ですか。
記録は柴原から刀根山へ行く途中と記します。坂の現在地は書かれていません。
首に当たるとどうなりますか。
記録されていません。落ちてくるというところまでが伝えられています。
首切れ馬と同じですか。
違います。首切れ馬は首の無い馬が歩く話で、ウマザカは首だけが転げてくる話です。
ウマザカと併せて覚えたい言葉・用語
刀根山(とねやま)
大阪府豊中市の地名。坂の行き先として記録されています。
首切れ馬(くびきれうま)
首の無い馬が現れる各地の怪異。ウマザカとは逆の形です。
妖怪名彙に寄す(ようかいめいいによす)
辰井隆が『民間伝承』に寄せた報告。ウマザカの中心資料です。
ウマザカの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。