大分県臼杵市で、これに遭うと山でも船でも具合が悪くなるという風。通り神ともいう。

Wiiii 「臼杵石仏(大分県臼杵市深田)」 2008年 / CC BY-SA 3.0 出典
タチアイの風とはどんな妖怪か
タチアイの風の漢字表記と読み方
読みは「たちあいのかぜ」です。
「タチアイ」「イキアヒ」は、どちらも出会うことを指します。招いたのでも、憑かれたのでもありません。
「通り神」は、通り過ぎる神という形の名です。留まらず、行き過ぎるものとして受け取られています。
タチアイの風(たちあいのかぜ)
日文研データベースが示す呼称。
イキアヒの風(いきあいのかぜ)
記録が併記する呼び名。
通り神(とおりがみ)
同じものを指す別の呼び方。
タチアイの風の姿と特徴
タチアイの風に姿はありません。記録にあるのは、遭う場所と症状と治し方です。
遭う場所 … 山中でも、船中でも。
症状 … 具合が悪くなる。
治し方 … お婆さんたちに般若心経をあげてもらう。
風の色や音は書かれていません。
具体的な症状も記録されていません。
タチアイの風の伝承記録
山でも船でも遭う
この風の特徴は、場所を選ばないことです。
山中でも、船中でも遭います。 逃げ場がありません。
大分県臼杵は、海に面した土地です。 山の仕事も、船の仕事もありました。
どちらで働いていても、この風に遭う恐れがあります。
「通り神」の名のとおり、通りかかったものに当たります。
お婆さんたちが経をあげる
治し方はお婆さんたちに般若心経をあげてもらうことです。
僧でも、祈祷師でもありません。 村のお婆さんたちです。
般若心経は、短く、広く唱えられてきた経です。覚えている人が多くいました。
身近な人が、身近な経で治す。医者や祈祷師を呼ぶまでもない、日常の対処です。
岡山のイクレイジンでは法印二人が呼ばれました。 土地によって、頼る相手が違います。
タチアイの風の伝承地域
公的データベースの地域欄は大分県臼杵市を示します。
遭う場所は「山中」「船中」とだけ記されており、地図で指せるのは市の範囲までです。
タチアイの風の正体と考えられているもの
タチアイの風の正体は確定していません。
通り神という呼び名は、通り過ぎる神という受け取り方を示します。
風に当たって具合が悪くなるという体験は、冷えや疲れとして説明することもできますが、資料はそこに触れていません。
「行き合う」という言い方は各地にあります。香川のアマダレコウジン、小豆島の荒神のイキアイ。出会ってしまった、という形で不調が説明されました。
残ったのは、三つの呼び名と、般若心経という手当てです。
タチアイの風が記録された資料
タチアイの風を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『民間伝承』の記事です。
瀬川清子は、女性の民俗を多く記録した研究者です。行き合いの言い伝えは各地にあり、まとめて読むと共通の形が見えてきます。
タチアイの風が記録された民俗資料
怪異
瀬川清子が『民間伝承』5巻1号(1939年)に載せた中心資料です。
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タチアイの風についてよくある質問
タチアイの風とは何ですか。
大分県臼杵市で語られた風です。これに遭うと山中でも船中でも具合が悪くなるとされました。
ほかの呼び名はありますか。
イキアヒの風、通り神とも呼ばれると記録されています。
どうすれば治るのですか。
お婆さんたちに般若心経をあげてもらうと治ると記録されています。
姿は見えるのですか。
見えません。風の色や音も記録されていません。
タチアイの風と併せて覚えたい言葉・用語
通り神(とおりがみ)
通り過ぎる神。タチアイの風の別名です。
イキアイ(いきあい)
行き合うこと。出会ってしまうことを指す言い方です。
般若心経(はんにゃしんぎょう)
短く広く唱えられてきた経。手当てに使われました。
タチアイの風の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。