香川県さぬき市で、家の外に急に出て倒れることをアマダレコウジンにイキアウといった。

ウランボルグ 「大窪寺の本堂(香川県さぬき市多和兼割)」 2007年 / CC BY-SA 3.0 出典
アマダレコウジンとはどんな妖怪か
アマダレコウジンはひとことで言えば、家の軒先にいるものです。香川県さぬき市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、武田明「大川郡多和の妖怪」(『香川の民俗』4巻2号・通巻11号、1969年、2頁)を典拠に、家の外に急に出たとき、倒れることがある。これをアマダレコウジンにイキアウと言う。こんな時は荒神さんに7日間お神酒をあげると治ると記します。
イキアウは行き合う、出会うことです。アマダレは雨だれ、軒から落ちる雨のしずくを指します。
家と外の境目である軒下に、荒神がいると考えられていました。
姿は記録されていません。 倒れるという出来事と、治す作法だけが伝えられています。
アマダレコウジンの漢字表記と読み方
読みは「あまだれこうじん」です。
「アマダレ」は雨垂れ。軒から落ちる雨のしずく、またその落ちる場所を指します。
「コウジン」は荒神。かまどの神として祀られることが多い神です。荒々しい性質を持つとされます。
軒下という境目に荒神がいるという考え方が、この名にあらわれています。
アマダレコウジン(あまだれこうじん)
日文研データベースが示す呼称。
雨垂れ荒神(あまだれこうじん)
語の形に沿って字を当てた書き方。
アマダレコウジンの姿と特徴
アマダレコウジンに姿はありません。記録にあるのは、出来事と対処です。
きっかけ … 家の外に急に出る。
出来事 … 倒れることがある。
言い方 … アマダレコウジンにイキアウ。
対処 … 荒神さんに七日間お神酒をあげると治る。
顔も体も、記録されていません。
倒れたあとの症状も書かれていません。
アマダレコウジンの伝承記録
急に外へ出ると倒れる
記録は具体的です。家の外に急に出たとき、倒れることがある。
急に、という一語が入っています。 暗い家から明るい外へ、あるいは暖かい家から寒い外へ——体に急な変化がかかる場面です。
土地の人は、これをアマダレコウジンにイキアウと言いました。
行き合う、つまり出会ってしまったという言い方です。呼んだのでも、招いたのでもありません。
荒神に七日、お神酒をあげる
対処もはっきりしています。荒神さんに七日間お神酒をあげると治る。
荒神は、かまどの神として家の中に祀られることが多い神です。火と台所を守ります。
その荒神に、七日間続けて酒を供える。 日数が決まっているところに、作法としての形があります。
医者にかかる形としては語られていません。 家の神に詫びる、あるいは頼むという形で治します。
倒れた人がどうなったかは記録されていません。
アマダレコウジンの伝承地域
公的データベースの地域欄は香川県さぬき市を示します。記録の大川郡多和は、現在のさぬき市にあたる地域です。
家の名などは書かれていないため、地図で指せるのは地区の範囲までです。
さぬき市多和周辺(さぬきしたわしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
さぬき市多和周辺の所在地:香川県さぬき市多和
記録の題は「大川郡多和の妖怪」です。多和は現在のさぬき市にあたります。
資料には、特定の家や軒先の記載がありません。
アマダレコウジンの正体と考えられているもの
アマダレコウジンの正体は確定していません。
名から分かるのは、軒下(雨垂れ)にいる荒神という受け取り方です。
急に外へ出て倒れるという出来事は、体調の変化として説明することもできますが、資料はそこに触れていません。
治す方法が神への供え物である点から、神に行き合ったことによる障りとして受け取られていたことが分かります。
残ったのは、言い方と、七日間の作法です。
アマダレコウジンが記録された資料
アマダレコウジンを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは武田明の報告です。
武田明は香川の民俗を長く調べた研究者で、この図鑑のオマンの母も同じ人の記録によります。荒神信仰を扱った本と併せて読むと背景が見えます。
アマダレコウジンが記録された民俗資料
大川郡多和の妖怪
武田明が『香川の民俗』4巻2号(1969年)に載せた中心資料です。
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アマダレコウジンについてよくある質問
アマダレコウジンとは何ですか。
香川県さぬき市の言い伝えです。家の外に急に出て倒れることを、アマダレコウジンにイキアウといいました。
「イキアウ」とはどういう意味ですか。
行き合う、出会うという意味です。呼んだのではなく、出会ってしまった形です。
どうすれば治るのですか。
荒神さんに七日間お神酒をあげると治ると記録されています。
姿は分かっていますか。
分かっていません。姿の記述はなく、出来事と対処だけが伝えられています。
アマダレコウジンと併せて覚えたい言葉・用語
荒神(こうじん)
かまどの神として祀られることが多い神。荒々しい性質を持つとされます。
雨垂れ(あまだれ)
軒から落ちる雨のしずく、またその落ちる場所を指します。
武田明(たけだあきら)
香川県の民俗を調べた研究者。この記録の報告者です。
アマダレコウジンの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。