岡山県高梁市で、病人に憑くとされた下等な神。その正体は狸だという。
イクレイジンとはどんな妖怪か
イクレイジンはひとことで言えば、狸である下等な神です。岡山県高梁市備中町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、國學院大學民俗学研究会『民俗採訪』(1963年、67頁)の「岡山県川上郡備中町旧湯野村」の報告を典拠に、次のように記します。
病人が出ると法印2人を頼んで憑いている神様を見てもらい、病人の家族が憑いている神様の場所に御幣を置いてくれば治る。憑く神様には普通の神社の神様と、下等なイクレイジンという2種があり、イクレイジンは狸である。
神が二種に分けられています。 普通の神社の神と、下等なイクレイジン。
法印は、祈祷を行う修験の人を指します。二人がかりで、憑いている神を見分けました。
治し方も具体的です。 憑いている神の場所に御幣を置いてくる。
イクレイジンの漢字表記と読み方
読みは「いくれいじん」です。
語の由来は記録されていません。 「イク」が生、「レイジン」が霊神であれば、生霊神と読めますが、資料に説明はありません。
イクレイジン(いくれいじん)
日文研データベースが示す呼称。
生霊神(いくれいじん)
語の形に沿って字を当てた書き方。
イクレイジンの姿と特徴
イクレイジンに姿はありません。記録にあるのは、位置づけと正体です。
扱い … 憑く神の一種。
位 … 下等とされる。
正体 … 狸。
見分ける人 … 法印二人。
治し方 … 憑いている神の場所に御幣を置く。
狸の姿で現れたという記述はありません。
病人の症状も書かれていません。
イクレイジンの伝承記録
神が二種に分けられていた
この記録で目を引くのは、憑く神が二種に分けられている点です。
一つは、普通の神社の神様。 祀られている神が、病の因になることもありました。
もう一つが、下等なイクレイジン。 そちらは狸だとされます。
同じ「憑く」でも、格が分けられています。 祀られた神と、そうでないものの違いです。
御幣を置いてくれば治る
治し方は具体的です。法印2人を頼んで憑いている神様を見てもらい、病人の家族が憑いている神様の場所に御幣を置いてくれば治る。
御幣は、紙や布を垂らした祭具です。神を招き、また送るために使われます。
家族が、その場所まで行きます。 家族が自分で運びます。
憑いたものを、もとの場所へ返す——その形が、この治し方に表れています。
イクレイジンの伝承地域
公的データベースの地域欄は岡山県高梁市備中町を示します。報告は旧川上郡備中町の調査です。
御幣を置く場所は個々に違うため、地図で指せるのは町の範囲までです。
備中町周辺(びっちゅうちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
備中町周辺の所在地:岡山県高梁市備中町
報告は旧・川上郡備中町の湯野村の調査によります。
御幣を置く場所は、憑いた神ごとに違うため記録されていません。
イクレイジンの正体と考えられているもの
イクレイジンの正体は、記録では狸とされています。
神として憑くが、格は下等——という位置づけです。
狸が人に憑くという話は各地にあります。四国や中国地方では、狐より狸が憑き物として語られました。
この記録の特徴は、憑く神を格で分けている点です。 祀られた神と狸が、同じ「憑くもの」として並んでいます。
イクレイジンが記録された資料
イクレイジンを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『民俗採訪』の報告です。
憑き物は民俗学で長く論じられてきた題です。狸憑きを扱った本と併せて読むと、格分けの意味が見えてきます。
イクレイジンが記録された民俗資料
民俗採訪(岡山県川上郡備中町旧湯野村)
國學院大學民俗学研究会が1963年にまとめた調査報告です。
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イクレイジンについてよくある質問
イクレイジンとは何ですか。
岡山県高梁市で、病人に憑くとされた下等な神です。その正体は狸だと記録されています。
どうすれば治るのですか。
法印二人に憑いている神を見てもらい、家族がその神の場所に御幣を置いてくれば治るとされました。
普通の神様も憑くのですか。
記録では、憑く神に普通の神社の神様と下等なイクレイジンの二種があるとされています。
狸の姿は見えるのですか。
姿の記述はありません。正体が狸だとされているだけです。
イクレイジンと併せて覚えたい言葉・用語
法印(ほういん)
祈祷を行う修験の人。憑いている神を見分けました。
御幣(ごへい)
紙や布を垂らした祭具。神を招き、送るために使われます。
憑き物(つきもの)
人に憑くとされる霊や獣。狐や狸が語られます。
イクレイジンの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。