新潟県小千谷市真人町の狢。穴に入った坊さんが出られなくなり、火事も見せた。

真人狢とはどんな妖怪か
真人狢はひとことで言えば、土地の名を持つ狢です。新潟県小千谷市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、高橋実「真人貉」(『高志路』通巻193号、1961年、7頁)を典拠に、狢の穴に入ると蝋燭の火が消えて迷ってしまい出られなくなった坊さんがいた。村の人が探していると、狢の穴の入り口に下駄の足跡があったと記します。
同じ狢について、篠田朝隆「真人狢,火事」(『高志路』1989年)も記録されています。
医者が診療から帰る途中で火事だという声を聞き、山に火の手が上がるのを見たといいます。
逃げて坂の上まで行くと、火はどこにもなく、笑い声が聞こえてきた——すべて真人狢の仕業とされました。
真人狢の漢字表記と読み方
真人狢(まっとむじな)
日文研データベースが示す表記。
真人貉(まっとむじな)
報告の題での表記。
真人狢の姿と特徴
この記録に狢の姿はありません。あるのは、穴と、見せられたものです。
穴 … 狢の穴。入ると蝋燭の火が消える。
入った人 … 坊さん。迷って出られなくなった。
残っていたもの … 穴の入り口に下駄の足跡。
別の話1 … 医者が火事だという声を聞いた。
別の話2 … 山に火の手が上がるのを見た。
確かめると … 火はどこにもなく、笑い声が聞こえた。
狢の大きさや色は書かれていません。
真人狢の伝承記録
穴で蝋燭が消える
狢の穴に入ると、蝋燭の火が消えました。
迷ってしまい、出られなくなった坊さんがいます。
村の人が探していると、狢の穴の入り口に下駄の足跡がありました。
足跡だけが残りました。
この図鑑には袋狢も収めています。
火事を見せる
別の記録では、こうです。
医者が診療から帰っていると、火事だという声が聞こえました。
振り返ると、山に火の手が上がっていました。
逃げて坂の上まで行くと、火はどこにもありません。
そして、笑い声が聞こえてきました。 すべて真人狢の仕業とされました。
真人狢の伝承地域
公的データベースの地域欄は新潟県小千谷市真人町を示します。土地の名がそのまま狢の名になっています。
穴の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
真人狢の正体と考えられているもの
この狢の正体は、記録がはっきり書いています。狢です。
火事を見せて、笑い声を残す——化かす獣の話の型です。
この図鑑には糸取り狢(山梨)、袋狢、シクマ狸(京都)も収めています。
この記録の特徴は、土地の名を持っていることです。
真人という町の狢として、名指しで語られてきました。
真人狢が記録された資料
真人狢を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『高志路』の記事です。
同じ狢について、二つの記録が三十年近く離れて載っています。土地で語り継がれてきたことがうかがえます。
真人狢が記録された民俗資料
真人貉
高橋実が『高志路』通巻193号(1961年)に載せた中心資料です。
真人狢,火事
篠田朝隆が『高志路』(1989年)に載せた、同じ狢の別の記録です。
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真人狢についてよくある質問
真人狢とは何ですか。
新潟県小千谷市真人町に伝わる狢です。土地の名がそのまま名になっています。
穴に入るとどうなるのですか。
蝋燭の火が消えて迷い、出られなくなった坊さんがいたと記録されています。
火事の話とは何ですか。
医者が火事の声と火の手を見たが、行ってみると火はなく、笑い声が聞こえたという話です。
狢とは何ですか。
アナグマ、またはタヌキを指す言い方です。
真人狢と併せて覚えたい言葉・用語
狢(むじな)
アナグマ、またはタヌキを指す言い方です。
真人(まっと)
新潟県小千谷市の町名です。
高志路(こしじ)
新潟の郷土誌。この記録が載りました。
真人狢の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。