京都府美山町で、山道に砂を降らせ、金玉をかぶせて目の前を暗くしたという狸。
シクマ狸とはどんな妖怪か
シクマ狸はひとことで言えば、砂を降らせ、目をふさぐ狸です。京都府南丹市美山町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、西浦左門「丹波美山の言葉と民俗」(『近畿民俗』通巻136・137号、1994年、4頁)を典拠に、次のように記します。
山道を歩いていると、突然頭上から砂が降ってくることがある。狸の砂まきと言う。また、真昼間に急に目の前が暗闇になって身動きができなくなることがある。頭から顔中すっぽりと狸の金玉を被せられたのである。狸は古くなってくると、人を取って食うようになる。
二つのしわざが並びます。 砂まきと、目をふさぐことです。
そして最後に、古い狸は人を取って食うと書かれています。
シクマ狸の漢字表記と読み方
読みは「しくまだぬき」です。
「シクマ」の意味は記録されていません。土地の名か、狸の呼び名かも書かれていません。
砂まきは、新潟・青森・岡山にも同じ名の怪異が伝わります。この図鑑には、新潟の砂まきも収めています。
シクマ狸(しくまだぬき)
日文研データベースが示す表記。
砂まき(すなまき)
砂を降らせるしわざの呼び名。
シクマ狸の姿と特徴
シクマ狸の姿は、狸です。
しわざ1 … 山道で頭上から砂を降らせる(狸の砂まき)。
しわざ2 … 真昼間に目の前を暗闇にし、身動きを取れなくする。
その正体 … 頭から顔中に狸の金玉を被せられている。
古い狸 … 人を取って食うようになる。
狸そのものを見たという記述はありません。
シクマ狸の伝承記録
頭上から砂が降る
山道を歩いていると、突然頭上から砂が降ってきます。
木の上にも、崖の上にも、誰もいません。
これを狸の砂まきといいました。
新潟の砂まきは狸か鼬のしわざとされました。 丹波では、狸の名がはっきり付いています。
金玉をかぶせられる
もう一つが、真昼間に急に目の前が暗闇になるというものです。
身動きができなくなります。
理由はこう説明されます。 頭から顔中すっぽりと、狸の金玉を被せられたのである。
狸の金玉が大きく広がるという話は、絵にも数多く描かれてきました。
そして記録は、狸は古くなってくると、人を取って食うようになると結びます。
シクマ狸の伝承地域
公的データベースの地域欄は京都府南丹市美山町を示します。丹波の山あいにあたります。
山道の名は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
美山町周辺(みやまちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
美山町周辺の所在地:京都府南丹市美山町
「丹波美山の言葉と民俗」の地域欄に対応します。
出るとされる山道の名は資料に書かれていません。
シクマ狸の正体と考えられているもの
シクマ狸の正体は、記録では狸とされています。
砂まきも目をふさぐことも、狸のしわざとして説明されています。
山道で砂が降るという体験は、木から落ちる砂や、獣が起こす土でも起こりえます。資料はそこに触れていません。
この記録の重さは、最後の一文にあります。 狸は古くなってくると、人を取って食うようになる。害のないいたずらの先に、それが置かれています。
シクマ狸が記録された資料
シクマ狸を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『近畿民俗』の記事です。
狸の砂まきは各地に伝わります。この図鑑には、新潟の砂まきも収めています。併せて読むと呼び方の違いが見えます。
シクマ狸が記録された民俗資料
丹波美山の言葉と民俗
西浦左門が『近畿民俗』通巻136・137号(1994年)に載せた中心資料です。
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シクマ狸についてよくある質問
シクマ狸とは何ですか。
京都府美山町に伝わる狸です。山道で砂を降らせ、目の前を暗くしたと記録されています。
なぜ目の前が暗くなるのですか。
記録では、頭から顔中すっぽりと狸の金玉を被せられたためだと説明されています。
砂まきとは何ですか。
頭上から砂が降ってくる怪異です。新潟などにも同じ名の記録があります。
人を襲うことはありますか。
記録は、狸は古くなってくると人を取って食うようになると書いています。
シクマ狸と併せて覚えたい言葉・用語
砂まき(すなまき)
砂を降らせる怪異。新潟・津軽・備中にも同じ名があります。
丹波(たんば)
京都府中部から兵庫県東部の地域名。美山町はその山あいです。
近畿民俗(きんきみんぞく)
近畿民俗学会の雑誌。この記録が載りました。
シクマ狸の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。