殺された権五郎の遺念から生まれ、農家には雨の前触れとして読まれた新潟県三条の怪火。

権五郎火とはどんな妖怪か
権五郎火は、新潟県三条の本成寺地方に伝わる怪火です。五十野の権五郎という博徒が殺され、その遺念が火になったとされます。
ところが村の人々は、この火を天気の知らせとして使いましたでした。火が見えると雨が来ると判断し、稲架に掛けた稲を急いで取り込んだといいます。死者の火が農作業の合図へ変わったところに、この伝承の特徴があります。
権五郎火の漢字表記と読み方
「ごんごろうび」と読みます。権五郎という男の死が、そのまま火の名前になりました。
権五郎火(ごんごろうび)
死者の名を受け継いだ怪火の表記。
ゴンゴロウビ(ごんごろうび)
伝承資料で用いられる片仮名表記。
権五郎火の姿と特徴
夜に燃える怪火として伝わります。色、大きさ、尾の長さ、人の顔が見えたかどうかは語られていません。固有の姿よりも、現れる場所と雨の前兆になる働きがはっきりしています。
権五郎火の伝承物語
五十野の権五郎が殺される
権五郎火の始まりは、五十野にいた権五郎という博徒の死です。権五郎は何者かに殺され、帰ることができませんでした。
事件の年や犯人の名は伝わっていません。それでも土地には権五郎の名だけが残り、非業の死を忘れないための怪火へ変わります。
死者の遺念が、燃え続ける火になる
権五郎が残した思いは消えず、火となって現れます。伝承では、その火が燃える場所も村の人々に知られていました。
通りすがりの火ではなく、「あそこに権五郎火が出る」と共有された怪異です。人の名を呼ぶことで、目に見えない死者の思いへ輪郭が与えられました。
村の農家は、火を雨の前触れと読む
権五郎火が現れると、付近の農家は雨が近いと考えました。火は死者の遺念であると同時に、天候の変化を知らせる印でもあったのです。
怪火を見た人は、近づくより先に手を動かします。空模様が崩れる前に、外へ干した稲を守る行動へ移ります。
稲架の稲を取り込み、雨に備える
農家は権五郎火を見ると、稲架に掛けた稲を急いで取り込みました。収穫した稲を雨に濡らせば、その後の乾燥や脱穀に響きます。
権五郎の死から生まれた火は、暮らしを助ける側へ回りました。雨を知らせ、作物を守るために動かす火として、暮らしの中に残りました。
権五郎火の伝承地域
伝承地域は新潟県三条市の本成寺地方です。火が燃えた場所の現在の番地までは伝わっていません。
権五郎火の正体と考えられているもの
権五郎火の正体は、殺された権五郎の遺念とされます。一方で村の農家にとっては、稲を雨から守るための天候の印でもありました。一つの火が死者の記憶と生活の知恵を結びます。
権五郎火をめぐる妖怪のつながり
権五郎火が登場する作品
権五郎火は、暮らしの役に立った怪火です。
五十野で殺された博徒の遺念が火となって現れます。 ところが村の農家は、この火を雨の前触れとして読みました。
見れば、稲架に掛けた稲を急いで取り込みます。非業の死から生まれた火が、作物を守るために働く。怪火が暮らしの道具になった珍しい例です。
権五郎火が登場する事典
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
権五郎火についてよくある質問
権五郎火とはどんな妖怪ですか。
新潟県三条に伝わる怪火です。殺された権五郎の遺念とされ、雨の前触れにもなりました。
権五郎とは誰ですか。
五十野にいた博徒と伝わる男性です。殺された後、その名が怪火に残りました。
権五郎火が出ると何が起きますか。
付近の農家は雨が近いと判断し、稲架に掛けていた稲を急いで取り込みました。
権五郎火はどこに伝わりますか。
新潟県三条市の本成寺地方です。出現場所は五十野の一帯として伝わります。
権五郎火と併せて覚えたい言葉・用語
遺念(いねん)
死後もその場所に残ったと考えられた強い思い。
稲架(はさ)
刈り取った稲を掛け、日光や風で乾かすための設備。
怪火(かいか)
夜などに現れ、由来や動きが怪異として語られる火。
権五郎火の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。