本文へ移動

新潟県

権五郎火(ごんごろうび)とはどんな妖怪か|姿と伝承

権五郎火  / ゴンゴロウビ

幽霊と霊火の妖怪 各地の伝説

殺された権五郎の遺念から生まれ、農家には雨の前触れとして読まれた新潟県三条の怪火。

権五郎火の姿を描いた図

Nihongo1234 「本成寺の三門(新潟県三条市)」 2017年 / CC BY-SA 出典

権五郎火とはどんな妖怪か

権五郎火は、新潟県三条の本成寺地方に伝わる怪火です。五十野の権五郎という博徒が殺され、その遺念が火になったとされます。

ところが村の人々は、この火を天気の知らせとして使いましたでした。火が見えると雨が来ると判断し、稲架に掛けた稲を急いで取り込んだといいます。死者の火が農作業の合図へ変わったところに、この伝承の特徴があります。

権五郎火の漢字表記と読み方

「ごんごろうび」と読みます。権五郎という男の死が、そのまま火の名前になりました。

権五郎火(ごんごろうび)

死者の名を受け継いだ怪火の表記。

ゴンゴロウビ(ごんごろうび)

伝承資料で用いられる片仮名表記。

権五郎火の姿と特徴

夜に燃える怪火として伝わります。色、大きさ、尾の長さ、人の顔が見えたかどうかは語られていません。固有の姿よりも、現れる場所と雨の前兆になる働きがはっきりしています。

権五郎火の伝承物語

  1. 五十野の権五郎が殺される
  2. 死者の遺念が、燃え続ける火になる
  3. 村の農家は、火を雨の前触れと読む
  4. 稲架の稲を取り込み、雨に備える

五十野の権五郎が殺される

権五郎火の始まりは、五十野にいた権五郎という博徒の死です。権五郎は何者かに殺され、帰ることができませんでした。

事件の年や犯人の名は伝わっていません。それでも土地には権五郎の名だけが残り、非業の死を忘れないための怪火へ変わります。

死者の遺念が、燃え続ける火になる

権五郎が残した思いは消えず、火となって現れます。伝承では、その火が燃える場所も村の人々に知られていました。

通りすがりの火ではなく、「あそこに権五郎火が出る」と共有された怪異です。人の名を呼ぶことで、目に見えない死者の思いへ輪郭が与えられました。

村の農家は、火を雨の前触れと読む

権五郎火が現れると、付近の農家は雨が近いと考えました。火は死者の遺念であると同時に、天候の変化を知らせる印でもあったのです。

怪火を見た人は、近づくより先に手を動かします。空模様が崩れる前に、外へ干した稲を守る行動へ移ります。

稲架の稲を取り込み、雨に備える

農家は権五郎火を見ると、稲架に掛けた稲を急いで取り込みました。収穫した稲を雨に濡らせば、その後の乾燥や脱穀に響きます

権五郎の死から生まれた火は、暮らしを助ける側へ回りました。雨を知らせ、作物を守るために動かす火として、暮らしの中に残りました。

権五郎火の伝承地域

伝承地域は新潟県三条市の本成寺地方です。火が燃えた場所の現在の番地までは伝わっていません。

本成寺地方(ほんじょうじちほう)

権五郎火の伝承地域

地図で開く

本成寺地方の所在地:新潟県三条市

権五郎の遺念と雨の前兆をめぐる話が採録されました。

火が燃えた一点の座標は示されていません。

権五郎火の正体と考えられているもの

権五郎火の正体は、殺された権五郎の遺念とされます。一方で村の農家にとっては、稲を雨から守るための天候の印でもありました。一つの火が死者の記憶と生活の知恵を結びます。

権五郎火をめぐる妖怪のつながり

同じ地域・原典 姿・性質が似る 対立・退治 混同・地域変異

権五郎火が登場する作品

権五郎火は、暮らしの役に立った怪火です。

五十野で殺された博徒の遺念が火となって現れます。 ところが村の農家は、この火を雨の前触れとして読みました。

見れば、稲架に掛けた稲を急いで取り込みます。非業の死から生まれた火が、作物を守るために働く。怪火が暮らしの道具になった珍しい例です。

権五郎火が登場する事典

日本妖怪大事典

村上健司による大部の事典。地方の小さな伝承まで、出典を添えて収めています。

Amazonで本・漫画を探す

妖怪事典

村上健司による事典。全国の妖怪を採録元とともに整理しており、土地の伝承をたどる入口になります。

Amazonで本・漫画を探す

中部の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

権五郎火についてよくある質問

権五郎火とはどんな妖怪ですか。

新潟県三条に伝わる怪火です。殺された権五郎の遺念とされ、雨の前触れにもなりました。

権五郎とは誰ですか。

五十野にいた博徒と伝わる男性です。殺された後、その名が怪火に残りました。

権五郎火が出ると何が起きますか。

付近の農家は雨が近いと判断し、稲架に掛けていた稲を急いで取り込みました。

権五郎火はどこに伝わりますか。

新潟県三条市の本成寺地方です。出現場所は五十野の一帯として伝わります。

権五郎火と併せて覚えたい言葉・用語

遺念(いねん)

死後もその場所に残ったと考えられた強い思い。

稲架(はさ)

刈り取った稲を掛け、日光や風で乾かすための設備。

怪火(かいか)

夜などに現れ、由来や動きが怪異として語られる火。

権五郎火の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース「ゴンゴロウビ」
  2. 国立国会図書館サーチ『日本民俗誌大系 第7巻(北陸)』