新潟県南蒲原郡の旧家にいたという妖怪。油を粗末に使うと出てきて「油を返せ」と言った。
アブラナセとはどんな妖怪か
アブラナセはひとことで言えば、油の使い方を咎める声です。新潟県南蒲原郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田國男「妖怪名彙(六)」(『民間伝承』4巻6号、1939年、16頁)を典拠に、ある旧家にアブラナセという妖怪がいた。家人が油を粗末に使うと、すぐに出てきて「アブラナセ」と言ったと記します。
そして、アブラナセとは「油を返済せよ」という意味であると説明が添えられています。
出るのは家の中です。 外の道でも山でもなく、暮らしの場に現れます。
姿は記録されていません。 言葉だけが残っています。
アブラナセの漢字表記と読み方
読みは「あぶらなせ」です。
記録は、「油を返済せよ」という意味だと説明しています。「なせ」は返せにあたる言い方です。
妖怪の名が、そのまま妖怪の言葉になっています。 言った言葉が名になった例として、愛知の火を貸せと同じ形です。
アブラナセ(あぶらなせ)
日文研データベースが示す呼称。
油なせ(あぶらなせ)
意味に沿って字を当てた書き方。
アブラナセの姿と特徴
アブラナセに姿はありません。記録にあるのは、出る条件と言葉です。
場所 … ある旧家。
条件 … 家人が油を粗末に使う。
現れ方 … すぐに出てくる。
言葉 … 「アブラナセ」。
顔も体も、記録されていません。
言われた家人がどうしたかも書かれていません。咎める声だけが伝わっています。
アブラナセの伝承記録
油を粗末にすると出る
出る条件がはっきりしています。家人が油を粗末に使うことです。
かつて油は、灯りをともすための貴重品でした。買うにも高く、こぼせば取り返しがつきません。
その油を粗末に使うと、すぐに出てきて咎めます。
盗んだ話ではなく、粗末に使っただけの話です。 それでも咎められるところに、油の重さが表れています。
アブラナセの伝承地域
公的データベースの地域欄は新潟県南蒲原郡を示します。
資料は「ある旧家」とだけ記しており、家の名も集落の名もありません。
南蒲原郡周辺(みなみかんばらぐんしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
南蒲原郡周辺の所在地:新潟県南蒲原郡
柳田國男「妖怪名彙(六)」の地域欄に対応します。
資料は「ある旧家」とのみ記し、家の名を挙げていません。
アブラナセの正体と考えられているもの
アブラナセの正体は確定していません。
姿の記録がなく、狐や狸のしわざとも書かれていません。 分かるのは、家の中で油の使い方を咎めるということだけです。
油が高価だった時代には、倹約を守らせる言い伝えが必要でした。アブラナセの話は、その役目を負っていたとも読めます。
ただし、記録はそこまで書いていません。 残っているのは、「アブラナセ」という一言です。
アブラナセが記録された資料
アブラナセを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の「妖怪名彙」です。
油にまつわる怪異は各地にあり、油坊や坊主火と並べて読むと、油の重さが見えてきます。
アブラナセが記録された民俗資料
妖怪名彙(六)
柳田國男が『民間伝承』4巻6号(1939年)に載せた中心資料です。
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アブラナセについてよくある質問
アブラナセとはどんな妖怪ですか。
新潟県南蒲原郡の旧家にいたとされる妖怪です。家人が油を粗末に使うと出てきて「アブラナセ」と言ったと記録されています。
「アブラナセ」とはどういう意味ですか。
記録では「油を返済せよ」という意味だと説明されています。
姿は分かっていますか。
分かっていません。言葉だけが伝わり、姿の記述はありません。
どこの家の話ですか。
資料は「ある旧家」とだけ記します。家の名も集落の名も分かりません。
アブラナセと併せて覚えたい言葉・用語
油(あぶら)
灯りをともすための貴重品。粗末に使うと咎められました。
油坊(あぶらぼう)
滋賀・京都に伝わる、油を盗んだ僧の霊とされる怪火です。
坊主火(ぼうずび)
石川県津幡町の怪火。桝目を盗んだ油売りが死後に化けたとされます。
アブラナセの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。