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石川県

坊主火(ぼうずび)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

坊主火  / ボウズビ

火の妖怪 各地の伝説

石川県津幡町に伝わる火の玉。桝目を盗んだ油売りの男が、死後にこの火になったという。

坊主火とはどんな妖怪か

坊主火はひとことで言えば、ごまかしの罰として火になった男です。石川県河北郡津幡町の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田國男妖怪名彙(六)」(『民間伝承』4巻6号、1939年)を典拠に、坊主火という火の玉が飛び歩くと記します。

由来がはっきりしています。昔、油を売る男が悪巧みをして、桝の隅に鬢付け油を塗って桝目を盗んだ。その罰で、男は死んでからこの坊主火になったといわれました。

桝の内側に粘る油を塗っておけば、量った油がわずかに桝へ残ります。それを繰り返して掠め取る、という手口です。

大きさ、色、飛ぶ高さは記録されていません。 名に「坊主」が入る理由も書かれていません。

坊主火の漢字表記と読み方

読みは「ぼうずび」です。

坊主」は僧を指す語ですが、この話の主は油売りの男です。名と由来が結び付かないまま記録されています。

火の名に「坊主」が入る例は各地にあります。海坊主高坊主丸い形のものを坊主と呼ぶ言い方が、火にも及んだと考えることはできます。

坊主火(ぼうずび)

日文研データベースが示す漢字表記。

ボウズビ(ぼうずび)

同データベースの呼称読み。

坊主火の姿と特徴

坊主火の姿は、飛び歩く火の玉です。

… 火の玉。
動き … 飛び歩く。
正体 … 桝目を盗んだ油売りの男の成れの果て。

顔が浮かぶ、声を出すといった記述はありません。

いつ出るか、どこで出るかも記録されていません。罰として火になった、という由来だけが詳しく残りました。

坊主火の伝承記録

  1. 桝の隅に油を塗る
  2. 罰として火になる

桝の隅に油を塗る

記録が伝える手口は具体的です。桝の隅に鬢付け油を塗る。

鬢付け油は、髪を固める粘りの強い油です。それを量り桝の内側に塗っておけば、売った油の一部が桝に残ります。客に渡る量は、その分だけ減ります。

一度では気づかれない、わずかな量です。 繰り返せば積み上がります。

この小さなごまかしが、死後に火にされるほどの罪として語られました。

罰として火になる

油をごまかした者が火になる、という話は各地にあります。油を盗んだ僧が火になったと語られる油坊(滋賀・京都)も、同じ形です。

坊主火の場合、主は僧ではなく商いの男です。量りをごまかすという、商いの不正が罪に当たります。

火になった姿は、夜道を飛び歩きます。人を襲うとも、火を移すとも記録されていません。ただ飛び歩く姿が、罰そのものとして語られました。

坊主火の伝承地域

公的データベースの地域欄は石川県河北郡津幡町を示します。

火の出る場所を示す道や地点の名は記録されていません。地図で指せるのは町の範囲までです。

津幡町周辺(つばたまちしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

津幡町周辺の所在地:石川県河北郡津幡町

柳田國男「妖怪名彙(六)」の地域欄に対応します。

資料には、火が出るとされる道や川の名がありません。

坊主火の正体と考えられているもの

坊主火の正体は、記録の中でははっきりしています。桝目を盗んだ油売りの男です。

ただし、なぜ「坊主」と呼ばれるのかは書かれていません。僧ではない男の火に、僧を思わせる名が付いています。

火そのものについては、大きさも色も伝わっていません。

残ったのは、ごまかしは死んでからも消えないという考え方です。罰の形が、夜に飛び歩く火として語り継がれました。

坊主火が記録された資料

坊主火を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の「妖怪名彙」です。

油をごまかした者が火になるという話は各地にあり、油坊などの名でも語られます。怪火をまとめた本の索引を引くと、並べて読めます。

坊主火が記録された民俗資料

妖怪名彙(六)

柳田國男が『民間伝承』4巻6号(1939年)に載せた中心資料です。

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坊主火についてよくある質問

坊主火とはどんな妖怪ですか。

石川県津幡町に伝わる火の玉です。桝目を盗んだ油売りの男が、死後にこの火になったといわれました。

どんなごまかしをしたのですか。

桝の隅に鬢付け油を塗り、量った油の一部を桝に残して掠め取ったと記録されています。

なぜ「坊主」というのですか。

理由は記録されていません。話の主は僧ではなく油売りの男です。

人に害はありますか。

襲うという記録はありません。飛び歩く姿が伝えられているだけです。

坊主火と併せて覚えたい言葉・用語

鬢付け油(びんつけあぶら)

髪を固める粘りの強い油。桝に塗ってごまかしに使われたと記録されています。

桝目(ますめ)

桝で量った分量のこと。これを盗んだ罪が話の中心です。

妖怪名彙(ようかいめいい)

柳田國男が『民間伝承』に連載した、各地の妖怪の呼び名を集めた記事です。

坊主火の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「坊主火」