三重県鳥羽市の亀崎沖で、海底から声がして青白い光がつき、乗組員の目がくらんだという。

水死者の亡霊とはどんな妖怪か
水死者の亡霊はひとことで言えば、海底から呼ぶ声と光です。三重県鳥羽市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、小寺融吉「船幽霊」(『旅と伝説』5巻6号・通巻54号、1932年、10頁)を典拠に、旧暦3日4日、亀崎沖を通ると、海の底から「おォーイ」という声が3度した後、船のそばに大盥のような青白い光がついては消える。乗組の者は目がくらんで一晩中悩まされるというと記します。
日が決まっています。 旧暦の三日四日。
順序も決まっています。 声が三度、そのあとに光。
大盥は、大きなたらいです。光の大きさの目安になります。
船が沈められたとは書かれていません。 害は目がくらむことです。
水死者の亡霊の漢字表記と読み方
読みは「すいししゃのぼうれい」です。
報告の題は「船幽霊」です。海で死んだ人の霊を指す言い方として、各地で使われます。
この図鑑には、長崎五島の磯幽霊も収めています。 島に化ける形と、声と光の形があります。
水死者の亡霊(すいししゃのぼうれい)
日文研データベースが示す表記。
船幽霊(ふなゆうれい)
報告の題。海に出る幽霊の一般名です。
水死者の亡霊の姿と特徴
この亡霊に姿はありません。記録にあるのは、声と光です。
時 … 旧暦の三日四日。
場所 … 亀崎沖。
声 … 海の底から「おォーイ」と三度。
光 … 船のそばに、大盥のような青白い光がついては消える。
害 … 乗組の者は目がくらみ、一晩中悩まされる。
人の形が現れたという記述はありません。
水死者の亡霊の伝承記録
海の底から三度呼ぶ
声は、海の底から聞こえます。
「おォーイ」と三度。呼びかけの声です。
返事をしたらどうなるかは書かれていません。
新潟のイヒヒ猿は、返事をすると現れました。 海でも、呼ばれて応じることは避けられてきました。
大盥のような青白い光
声のあとに、船のそばに大盥のような青白い光がついては消えます。
大盥は、洗い物や行水に使う大きなたらいです。その大きさの光が、水面に現れます。
そして、乗組の者は目がくらんで一晩中悩まされました。
沈められはしません。 目を奪われ、夜通し苦しむという害です。
旧暦の三日四日という日付だけが、はっきり決まっています。
水死者の亡霊の伝承地域
記録は亀崎沖と記します。公的データベースの地域欄は三重県鳥羽市です。
海域の広さは書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。
水死者の亡霊の正体と考えられているもの
この亡霊の正体は、報告の題のとおり船幽霊、水死者の霊とされています。
声と光だけが現れます。
海の光は、夜光虫や漁り火でも起こります。資料はそこに触れていません。
旧暦三日四日という日付が決まっている点から、特定の遭難の記憶と結び付いていた可能性もありますが、記録には書かれていません。
残ったのは、三度の声と、大盥ほどの光です。
水死者の亡霊が記録された資料
この記録を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。
船幽霊は全国の海辺に伝わります。この図鑑には、長崎の磯幽霊も収めています。併せて読むと形の違いが見えます。
水死者の亡霊が記録された民俗資料
船幽霊
小寺融吉が『旅と伝説』5巻6号(1932年)に載せた中心資料です。
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水死者の亡霊についてよくある質問
水死者の亡霊とは何ですか。
三重県鳥羽市の亀崎沖に伝わる怪異です。海底から三度声がし、青白い光がついては消えると記録されています。
いつ現れるのですか。
旧暦の三日四日と記録されています。
どんな害がありますか。
乗組の者は目がくらみ、一晩中悩まされると記録されています。
船は沈められるのですか。
沈められたという記録はありません。
水死者の亡霊と併せて覚えたい言葉・用語
大盥(おおだらい)
洗い物や行水に使う大きなたらい。光の大きさの例えです。
船幽霊(ふなゆうれい)
海に出る幽霊。報告の題に使われています。
磯幽霊(いそゆうれい)
長崎県五島の船幽霊。島の姿になるとされます。
水死者の亡霊の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。