岐阜県多治見市で、木曽川から拾われた一寸八分の金の薬師。どこへ持っていっても祟った。

薬師の祟りとはどんな妖怪か
薬師の祟りはひとことで言えば、置き場所を自分で決めた仏です。岐阜県多治見市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、木全圓寿「美濃国可児郡小泉村の伝説(一)」(『旅と伝説』16巻11号・通巻191号、三元社、1943年、41〜42頁)を典拠に、小泉村根本の元晶寺に1寸8分の金の薬師がある。昔、百姓が木曽川で拾い上げてきたが、何処へ持っていっても祟るので、根本で祀ったのだというと記します。
一寸八分は約5.5センチメートルです。手のひらに載る大きさの金の像です。
拾ったのは百姓で、場所は木曽川でした。
そして、どこへ持っていっても祟りました。
薬師の祟りの漢字表記と読み方
読みは「やくしのたたり」です。
薬師は、薬師如来——病を治すとされる仏です。
一寸八分という寸法は、厨子に納める小像でよく使われる大きさです。
薬師の祟り(やくしのたたり)
日文研データベースが示す表記。
金の薬師(きんのやくし)
像そのものの呼び方。
薬師の祟りの姿と特徴
この記録にあるのは、小さな金の像です。
材 … 金。
大きさ … 一寸八分(約5.5センチメートル)。
拾った人 … 百姓。
拾った場所 … 木曽川。
したこと … 何処へ持っていっても祟った。
落ち着いた先 … 根本の元晶寺。
像が動いた、声を出したという記述はありません。
薬師の祟りの伝承記録
木曽川から拾い上げる
昔、百姓が木曽川で金の薬師を拾い上げてきました。
川から仏が流れてくる——この形の話は各地にあります。
この図鑑の弥勒菩薩の漂着(愛媛)も、磯に流れ着いた仏の話です。
拾われたのは、一寸八分の小さな像でした。
手のひらに載る大きさです。
置き場所が決まらない
何処へ持っていっても祟りました。
祟りの中身は書かれていません。
持ち主が次々に変わったことがうかがえます。
最後に、根本で祀られました。
祀った場所が、元晶寺です。 仏の側が置き場所を決めたという形の話になっています。
薬師の祟りの伝承地域
公的データベースの地域欄は岐阜県多治見市を示します。記録は旧美濃国可児郡小泉村の根本、元晶寺と記します。
寺の現在については書かれていません。
薬師の祟りの正体と考えられているもの
この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、動かせない仏です。
この図鑑の薬師石(兵庫)は、動かそうとした大工が死にました。
こちらは、動かしても祟るという形です。
落ち着く場所が決まるまで、祟りが続きました。
そして、根本で祀られてから話が終わります。 祀りの由来を語るための話です。
薬師の祟りが記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。
題に「(一)」とあるとおり、小泉村の伝説を続けて載せた連載です。同じ村の他の話も並びます。
薬師の祟りが記録された民俗資料
美濃国可児郡小泉村の伝説(一)
木全圓寿が『旅と伝説』16巻11号(1943年)に載せた中心資料です。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
薬師の祟りについてよくある質問
薬師の祟りとは何ですか。
岐阜県多治見市の話です。木曽川から拾われた一寸八分の金の薬師が、どこへ持っていっても祟ったとされます。
どのくらいの大きさですか。
一寸八分、約5.5センチメートルです。
今はどこにありますか。
根本の元晶寺に祀られていると記録されています。
どんな祟りですか。
中身は記録されていません。どこへ持っていっても祟ったとだけ記されます。
薬師の祟りと併せて覚えたい言葉・用語
一寸八分(いっすんはちぶ)
約5.5センチメートル。厨子に納める小像でよく使われる寸法です。
元晶寺(げんしょうじ)
記録が示す寺。金の薬師が祀られています。
木曽川(きそがわ)
岐阜県を流れる川。像が拾い上げられた場所です。
薬師の祟りの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。