山梨県韮崎市で、正月の夜に門松で目を突いて失明したという薬師様。

さかおり 「願成寺(山梨県韮崎市)」 2010年 / CC BY-SA 3.0 出典
門松嫌いの薬師様とはどんな妖怪か
門松嫌いの薬師様はひとことで言えば、村から門松を消した仏です。山梨県韮崎市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、竹川義徳「門松」(『民間伝承』5巻4号、民間伝承の会、1940年、6頁)を典拠に、正福寺という禅寺があり、薬師堂がある。正月の夜、この堂に安置されていた薬師様が小用に出、闇の中で門松の葉で目をつき失明したので、薬師様は門松を嫌う。それで門松を立てないようにしているというと記します。話者は飯野房太郎です。
仏が小用に出るという書き方が、この話の要です。
堂を出て歩き、闇の中で門松の葉に目を突かれました。
そして、村は門松を立てなくなりました。
門松嫌いの薬師様の漢字表記と読み方
読みは「かどまつぎらいのやくしさま」です。
日文研データベースの呼称は「門松,薬師様」ですが、そのままでは正月飾りの項目と区別がつきません。この図鑑では、話の中身が分かる見出しにしています。
門松は、正月に家の入口へ立てる松の飾りです。年神を迎えるための目印とされます。
門松,薬師様(かどまつ、やくしさま)
日文研データベースが示す呼称。
門松嫌いの薬師様(かどまつぎらいのやくしさま)
この図鑑での見出し。話の中身が分かる形にしています。
門松嫌いの薬師様の姿と特徴
この話に妖怪の姿はありません。動いたのは、薬師様です。
場所 … 正福寺の薬師堂。
時 … 正月の夜。
したこと … 小用に出た。
起きたこと … 闇の中で門松の葉で目をつき、失明した。
その後 … 薬師様は門松を嫌う。
村の習わし … 門松を立てないようにしている。
仏像が動く姿を見た者がいたとは書かれていません。
門松嫌いの薬師様の伝承記録
正月の夜に堂を出る
正福寺は、禅寺です。
その薬師堂に、薬師様が安置されていました。
正月の夜、薬師様が小用に出ました。
仏が用を足しに出る——その書き方に、この話の親しさが出ています。
外は闇です。
門松を立てなくなる
闇の中で、門松の葉で目をつきました。
失明したといいます。
以来、薬師様は門松を嫌うとされました。
そこで村では、門松を立てないようにしています。
正月の習わしが、一体の仏の出来事で変わりました。 その理由を語り継ぐための話です。
門松嫌いの薬師様の伝承地域
公的データベースの地域欄は山梨県韮崎市大草町を示します。記録は正福寺と薬師堂を記します。
寺の現在については書かれていません。
門松嫌いの薬師様の正体と考えられているもの
門松嫌いの薬師様が記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『民間伝承』の記事です。
門松を立てない土地の由来は各地で報告されており、神や仏が松で目を突いたという形が繰り返し現れます。併せて読むと、この話の型が見えてきます。
門松嫌いの薬師様が記録された民俗資料
門松
竹川義徳が『民間伝承』5巻4号(1940年)に載せた中心資料です。
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門松嫌いの薬師様についてよくある質問
門松嫌いの薬師様とは何ですか。
山梨県韮崎市の正福寺に伝わる話です。正月の夜に門松で目を突いて失明したとされます。
なぜ堂を出たのですか。
小用に出たと記録されています。
村はどうしましたか。
薬師様が門松を嫌うとして、門松を立てないようにしていると記録されています。
同じような話はありますか。
門松を立てない土地は各地にあり、神や仏が松で目を突いたという由来が繰り返し現れます。
門松嫌いの薬師様と併せて覚えたい言葉・用語
門松(かどまつ)
正月に家の入口へ立てる松の飾り。年神を迎える目印とされます。
薬師堂(やくしどう)
薬師如来を安置する堂。正福寺にあります。
正福寺(しょうふくじ)
山梨県韮崎市大草町の禅寺。この話の舞台です。
門松嫌いの薬師様の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。