愛媛県今治市で、助けられた小獅子が世話を怠られて田畑を荒らし、撃たれて祟ったため祀られた。

獅子神様とはどんな妖怪か
獅子神様はひとことで言えば、撃たれてから祀られた獅子です。愛媛県今治市玉川町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、森正史監修『あゆみ―玉川町の民俗 愛媛県越智郡―』12号(1975年、44頁)の「信仰」を典拠に、次のように記します。
200年ほど前、無相上人という高僧が大雪の日に奈良原山で小獅子を助けた。西ノ岡の瑞鹿山で修行した後に諸国修行の旅に出られたが、その時に獅子の世話を総代に頼んだ。総代は初めは面倒を見ていたがそのうちに怠りがちになり、獅子は田畑を荒らすようになったので、村人は獅子を鉄砲で撃ち殺した。以来、部落の者が祟られるようになったので、神に祭ることにした。
筋がはっきりしています。 助ける→預ける→怠る→荒らす→撃つ→祟る→祀る。
祟りの原因は、世話を怠ったことにあります。
獅子神様の漢字表記と読み方
読みは「ししがみさま」です。
「シシ」は、猪や鹿など、山の獣を指す古い言い方でもあります。この記録では「小獅子」と書かれています。
撃ち殺されたものが、「様」を付けて祀られました。 祟りを鎮めるための呼び方です。
獅子神様(ししがみさま)
日文研データベースが示す漢字表記。
シシガミサマ(ししがみさま)
同データベースの呼称読み。
獅子神様の姿と特徴
獅子神様の姿は、獅子です。
始まり … 大雪の日、奈良原山で無相上人に助けられた小獅子。
預け先 … 村の総代。
変化 … 世話が怠られ、田畑を荒らすようになった。
結末 … 村人が鉄砲で撃ち殺した。
その後 … 部落の者が祟られ、神として祀られた。
祟りの中身は書かれていません。
獅子神様の伝承記録
助けられ、預けられ、怠られる
200年ほど前、無相上人という高僧が、大雪の日に奈良原山で小獅子を助けました。
上人は修行の旅に出るとき、獅子の世話を総代に頼みました。
総代は、はじめは面倒を見ていました。
そのうちに怠りがちになります。
そして獅子は、田畑を荒らすようになりました。
撃ち殺し、祀る
村人は、獅子を鉄砲で撃ち殺しました。
田畑を守るためです。
以来、部落の者が祟られるようになりました。
そこで、神に祭ることにしたといいます。
助けられた獣が、世話を怠られて荒らし、殺されて祟り、神になる。 責めは、獅子よりも人の側にあります。
獅子神様の伝承地域
公的データベースの地域欄は愛媛県今治市玉川町を示します。話に出る奈良原山は今治市の山です。
祠の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
玉川町周辺(たまがわちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
玉川町周辺の所在地:愛媛県今治市玉川町
『あゆみ―玉川町の民俗―』の報告です。奈良原山は今治市の山です。
祠の位置は資料に書かれていません。
獅子神様の正体と考えられているもの
獅子神様は、記録では撃ち殺された獅子とされています。
祟りの理由は、世話を怠り、殺したことにあります。
荒ぶるものを神として祀る——この形は各地にあります。大阪の悪龍も、封じてなお収まらず、祀られて鎮まりました。
この話では、もとは助けられた小獅子でした。 人の側の落ち度が、はっきり書かれています。
残ったのは、祀られた神の名です。
獅子神様が記録された資料
獅子神様が記録された民俗資料
あゆみ―玉川町の民俗 愛媛県越智郡―
森正史監修で1975年に出た報告書です。
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獅子神様についてよくある質問
獅子神様とは何ですか。
愛媛県今治市で祀られる神です。助けられた小獅子が世話を怠られて田畑を荒らし、撃ち殺されたのちに祟ったため祀られました。
誰が助けたのですか。
無相上人という高僧です。200年ほど前、大雪の日に奈良原山で助けたと記録されています。
なぜ祟ったのですか。
記録は、世話が怠られたことと、鉄砲で撃ち殺されたことを筋として伝えています。
どんな祟りですか。
中身は記録されていません。部落の者が祟られたとだけ書かれています。
獅子神様と併せて覚えたい言葉・用語
無相上人(むそうしょうにん)
小獅子を助けたとされる高僧です。
総代(そうだい)
村や社の代表者。獅子の世話を頼まれました。
奈良原山(ならはらさん)
今治市の山。小獅子が助けられた場所です。
獅子神様の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。