篠つく雨のなかに立つ骨。石燕は慶運法師の歌を添えた。

鳥山石燕 「今昔画図続百鬼 骸骨」 1779年 / パブリックドメイン 出典
骸骨とはどんな妖怪か
骸骨はひとことで言えば、雨に打たれて立つ骨です。
『今昔画図続百鬼』(1779年)の一枚です。
斜めに引かれた線が、篠つく雨を表します。
その中に、肋と骨盤のはっきりした骨が一体、草の生えた岸辺に立っています。
絵には慶運法師の名と歌が添えられています。
慶運は、南北朝期の歌僧です。
荒野にさらされた骨は、中世以来くりかえし詠まれてきた主題でした。
骸骨の漢字表記と読み方
読みは「がいこつ」です。
野にさらされた頭骨は「されこうべ」「しゃれこうべ」とも呼ばれます。
この図鑑には、骨のものとして骨女、がしゃどくろも収めています。
骨女は生前の姿にも見える点、がしゃどくろは巨大である点が、この一枚とは違います。
骸骨(がいこつ)
石燕の絵に添えられた表記。
されこうべ(されこうべ)
野ざらしの頭骨を指す言い方。
骸骨の姿と特徴
石燕の絵の骸骨は、一体だけで立つ姿です。
雨 … 斜めの線で篠つく雨が引かれる。
姿 … 肋と骨盤のはっきりした骨。
姿勢 … まっすぐ立つ。
足もと … 草の生えた岸辺。
背後 … しだれた枝と水の流れ。
動いている描写はありません。 立っているだけです。
骸骨が登場する古典の物語
雨に打たれて立つ
この一枚には、襲う相手がいません。
人も、獣も描かれていません。
あるのは、雨と、草と、骨だけです。
斜めの線が画面いっぱいに引かれ、降りしきる雨を表します。
骨は、そこに立ったまま濡れています。
慶運法師の歌
絵には慶運法師の名と歌が添えられています。
慶運は南北朝期の歌僧で、頓阿・浄弁・兼好とともに和歌四天王に数えられました。
野ざらしの骨を詠む歌は、無常を主題とします。
石燕は、妖怪の絵に和歌を添えるやり方をしばしば取りました。
この一枚も、怪異というより「詠まれてきた景色」の側にあります。
骸骨の伝承地域
骸骨をまつる社として広く知られたものは見当たりません。
語られてきたのは、歌と絵の中です。野にさらされた骨を詠む歌は、中世以来くりかえされてきました。
骸骨の正体と考えられているもの
この一枚は、襲うものとしては描かれていません。
石燕は、妖怪の本の中に、無常を詠んだ景色を混ぜて置きました。
同じ本には、逢魔時のように風景そのものを主題にした一枚もあります。
この図鑑には、骨のものとして骨女、がしゃどくろを収めています。
骨が動くのはそちらで、この一枚は立っているだけです。
骸骨が登場する作品
骸骨は、石燕の絵で読めます。
骨を主題にした絵としては、歌川国芳「相馬の古内裏」が知られます。この図鑑のがしゃどくろの項で扱っています。
骸骨が登場する絵画
相馬の古内裏
歌川国芳の錦絵。巨大な骨が描かれ、がしゃどくろの元になったとされます。
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骸骨についてよくある質問
石燕の骸骨はどんな絵ですか。
篠つく雨のなか、草の生えた岸辺に骨が一体立っている絵です。
人を襲うのですか。
襲う描写はありません。立っているだけの姿で描かれています。
添えられた歌は誰のものですか。
慶運法師です。南北朝期の歌僧で、和歌四天王に数えられました。
がしゃどくろと同じですか。
違います。がしゃどくろは巨大な骨で、この一枚は等身の骨です。
骸骨と併せて覚えたい言葉・用語
慶運法師(けいうんほうし)
南北朝期の歌僧。和歌四天王の一人に数えられます。
和歌四天王(わかしてんのう)
頓阿・浄弁・慶運・兼好の四人を指します。
されこうべ(されこうべ)
野にさらされた頭骨を指す言い方です。