山梨県甲府市の話。祈ると翌朝に膳椀が岩へ載っていた稲荷。返さぬ者が出て貸さなくなった。

さかおり 「甲斐善光寺の金堂(山梨県甲府市)」 2010年 / CC BY-SA 3.0 出典
片山稲荷とはどんな妖怪か
片山稲荷は、膳椀を貸した稲荷です。山梨県甲府市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、影山正美「「椀貸し伝説」考―「市」の始原的風景を探る―」(『甲斐路』山梨郷土研究会、1991年)を典拠に、片山稲荷の社があって、この社の入口の岩で昔、膳椀貸しをしたと記します。
借り方が決まっていました。
希望の数を言って稲荷様に祈ると、翌朝岩の上にのせてある。それでこの岩を「膳岩」とよんだが、ある時返さない者がいてその後は貸さなくなったと続き、その返さなかった膳がどこかの家に保存してあるというと結ばれます。
この図鑑には糸取り狢(山梨)も収めています。
片山稲荷の漢字表記と読み方
読みは「かたやまいなり」です。
「膳椀貸し」は、祝いの席などに使う膳と椀を貸してくれることです。
「椀貸し伝説」は、こうした話をまとめて呼ぶ言い方です。
報告の題は「市」の始まりを探るものとして書かれています。
この図鑑には糸取り狢(山梨)も収めています。
片山稲荷(かたやまいなり)
データベースの呼称欄は「片山稲荷,膳岩」と示します。
膳岩(ぜんいわ)
記録が示す岩の名です。膳がのせてあったことに由来します。
膳椀(ぜんわん)
記録が示すものです。食事に使う膳と椀の一式をいいます。
片山稲荷の姿と特徴
片山稲荷の話は、記録に順を追って書かれています。
その社 … 片山稲荷。
その場所 … 社の入口の岩。
昔していたこと … 膳椀貸し。
借り方 … 希望の数を言って稲荷様に祈る。
そのあと … 翌朝岩の上にのせてある。
岩の名 … 膳岩。
やめた理由 … ある時返さない者がいた。
その膳の行方 … どこかの家に保存してあるという。
狐の姿は出てきません。
片山稲荷の伝承記録
入口の岩
片山稲荷の社の入口に岩があります。
あるのは社の前です。
数を言って祈る
希望の数を言って稲荷様に祈ります。
告げるのはいくつ要るかです。
翌朝の膳
翌朝、岩の上にのせてあります。
置かれるのは一夜のうちです。
膳岩
それでこの岩を「膳岩」とよびました。
残ったのは岩の名です。
返さぬ者
ある時返さない者がいて、その後は貸さなくなりました。
絶えたのは貸し借りです。
片山稲荷の伝承地域
公的データベースの地域欄は山梨県、市郡名の欄は甲府市を示します。
報告の題は「椀貸し伝説」考で、各地の椀貸しの話を市の始まりと結びつけて論じています。
片山稲荷の正体と考えられているもの
片山稲荷は、膳椀を貸した稲荷です。
化かす話ではありません。 語られているのは、祈れば翌朝に膳がのっていたことと、返さぬ者が出て絶えたことです。
椀貸しの話は全国にあり、角椀漱もその一つです。
この図鑑には糸取り狢(山梨)も収めています。
片山稲荷が登場する作品
片山稲荷を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは山梨の郷土誌に載った考察です。
椀貸し伝説は全国にあり、多くは返さぬ者が出て貸し借りが絶えるという結末をとります。
片山稲荷が登場する雑誌
甲斐路
山梨郷土研究会が出した雑誌です。1991年の第70号に椀貸し伝説の考察が載ります。
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片山稲荷についてよくある質問
片山稲荷とは何ですか。
山梨県甲府市に伝わる、膳椀を貸してくれたという稲荷の社です。
どうやって借りるのですか。
希望の数を言って稲荷様に祈ると、翌朝に岩の上にのせてあったといいます。
なぜ貸さなくなったのですか。
ある時返さない者がいたためだと記されています。
その膳はどこにありますか。
どこかの家に保存してあるという、と記されています。
片山稲荷と併せて覚えたい言葉・用語
膳椀(ぜんわん)
食事に使う膳と椀の一式のことです。
椀貸し伝説(わんかしでんせつ)
祈ると膳椀を貸してくれる場所の話をまとめた呼び方です。
稲荷(いなり)
穀物の実りをつかさどる神です。狐を使いとします。
片山稲荷の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。