本文へ移動

山形県

人参と庚申(にんじんとこうしん)とはどんな妖怪か|姿と伝承

人参と庚申  / ニンジントコウシン

そのほか 各地の伝説

山形県酒田市で、講の主人が庚申で、人参一人分が千年の長生きになるという話。

人参と庚申の姿を描いた図

さかおり 「山居倉庫(山形県酒田市)」 2022年 / CC BY-SA 出典

人参と庚申とはどんな妖怪か

人参と庚申はひとことで言えば、帰ってしまった九人の話です。山形県酒田市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、窪徳忠庚申縁起話」(『庚申』通巻17号、1960年、8頁)を典拠に、新入りの家で講をしている最中、主人が料理していた人参を赤坊と思って驚いた人々は10人中9人が帰ってしまった。主人は実は庚申で、人参1人分で1000年長生きするという。唯一残った東方朔は9人分食べて9000年生きたと記します。

「庚申」は庚申待の主として祀られる神です六十日に一度めぐる庚申の夜に、眠らずに過ごす習わしがありました。

「東方朔」は中国前漢の人で、長生きしたことで知られます

見間違いで、九人が長生きを取り逃がしました。

人参と庚申の漢字表記と読み方

見出しの読みは「にんじんとこうしん」です。

「庚申」は庚申待の主として祀られる神です六十日に一度めぐる庚申の夜に、眠らずに過ごす習わしがありました。

「講」は同じ信仰の者が集まる寄り合いです

「東方朔」は中国前漢の人で、長生きの代名詞とされます

人参,庚申(にんじん、こうしん)

日文研データベースが示す呼称。

人参と庚申(にんじんとこうしん)

この図鑑での見出し。

人参と庚申の姿と特徴

この記録に妖怪の姿はありません。あるのは、見間違いです。

場所 … 新入りの家。
していたこと … 講。
主人が料理していたもの … 人参。
人々が見たもの … 赤坊(赤ん坊)。
結果 … 十人中九人が帰ってしまった。
主人の正体 … 庚申。
効き目 … 人参一人分で千年長生きする。
残った人 … 東方朔。九人分食べて九千年生きた。

主人の姿がどう見えたかは書かれていません。

人参と庚申の伝承記録

  1. 人参を赤坊と見る
  2. 東方朔だけが残る

人参を赤坊と見る

新入りの家で、講が開かれていました。

主人が人参を料理しています。

それを赤坊と思って驚いた人々は、十人中九人が帰ってしまいました。

人参を赤ん坊と見た——煮られているのは人の子だ、と思ったわけです

この図鑑には鬼おば(青森)も収めています。

東方朔だけが残る

主人は実は庚申でした。

人参一人分で、千年長生きするといいます。

唯一残った東方朔は、九人分食べて九千年生きました。

帰った九人の分まで食べたことになります。

驚いて帰るか、残って食べるか——それだけの差でした。

人参と庚申の伝承地域

公的データベースの地域欄は山形県酒田市本町を示します。報告は庚申縁起話を集めたものです。

講の家の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。

本町(ほんちょう)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

本町の所在地:山形県酒田市

報告は庚申縁起話を集めたものです。

講の家の位置は資料に書かれていません。

人参と庚申の正体と考えられているもの

この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、庚申の縁起話です。

庚申待は、六十日に一度の夜を眠らずに過ごす習わしでした。

その集まりの由来を語る話として、この筋が伝わっています。

「東方朔」が出てくることから、中国の長生き話が下敷きにあることがうかがえます。

この図鑑には八百ベクサン(香川)も収めています。 そちらも、食べて年をとらなくなる話です。

人参と庚申が記録された資料

この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『庚申』の記事です。

庚申信仰は全国に広がり、庚申塔が各地に残ります。窪徳忠は庚申信仰の研究で知られる人です。

人参と庚申が記録された民俗資料

庚申縁起話

窪徳忠が『庚申』通巻17号(1960年)に載せた中心資料です。

東北の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

人参と庚申についてよくある質問

人参と庚申の話とは何ですか。

山形県酒田市の話です。講の主人が庚申で、人参一人分が千年の長生きになるとされました。

なぜ九人は帰ったのですか。

主人が料理していた人参を赤坊と思って驚いたためです。

東方朔とは誰ですか。

中国前漢の人で、長生きしたことで知られます。九人分食べて九千年生きたとされます。

庚申とは何ですか。

庚申待の主として祀られる神です。六十日に一度の夜を眠らずに過ごす習わしがありました。

人参と庚申と併せて覚えたい言葉・用語

庚申待(こうしんまち)

庚申の夜を眠らずに過ごす習わしです。

東方朔(とうぼうさく)

中国前漢の人。長生きの代名詞とされます。

(こう)

同じ信仰の者が集まる寄り合いです。

人参と庚申の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「人参,庚申」