和歌山県田辺市本宮町で、夜道の前を歩く気配として現れる、目一つ足一つのもの。

Yanajin33 「熊野本宮大社の参道(和歌山県田辺市本宮町)」 2013年 / CC BY-SA 3.0 出典
一ツ目タタラとはどんな妖怪か
一ツ目タタラはひとことで言えば、前を歩く気配の正体です。和歌山県田辺市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、『近畿民俗』(通巻101・102・103号、1985年、273頁)の口頭伝承を典拠に、夜、山道を一人で歩いていた。誰かが前を歩いて行く気配がするが、いくら見ても誰もいない。ふと顔を上げて見ると、目一つ、足一つの人がいた。それが一ツ目タタラであると記します。
気配が先で、姿は後です。
この順序が、この記録の要です。 見えないものが先に歩いており、顔を上げたときに初めて姿になります。
一ツ目タタラの漢字表記と読み方
読みは「ひとつめたたら」です。
タタラは、足で踏んで風を送るふいごのことです。 鍛冶の道具の名です。
紀伊の山では、目一つ足一つの姿が、鍛冶に結び付けて語られてきました。
この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。そちらは子どもの姿です。
一ツ目タタラ(ひとつめたたら)
日文研データベースが示す呼称。
一本ダタラ(いっぽんだたら)
同じ紀伊の山で語られる呼び名です。
一ツ目タタラの姿と特徴
一ツ目タタラの姿は、記録に短く書かれています。
目 … 一つ。
足 … 一つ。
形 … 人。
出る時 … 夜。
出る場所 … 山道。
先に分かるもの … 前を歩いて行く気配。
声を出したとも、害を与えたとも書かれていません。
一ツ目タタラの伝承記録
前を歩く気配
夜、山道を一人で歩いていました。
誰かが前を歩いて行く気配がします。
しかしいくら見ても誰もいません。
顔を上げる
ふと顔を上げて見ると、目一つ、足一つの人がいました。
下を見ているうちは分かりません。 顔を上げたときに見えています。
それが一ツ目タタラである、と記録されています。
記録はそこで終わる
この話は、見えたところで終わります。
追われたとも、害を受けたとも書かれていません。
山道の暗さと、前を行く気配だけが残ります。
一ツ目タタラの伝承地域
公的データベースの地域欄は和歌山県田辺市本宮町を示します。
本宮町は熊野川ぞいの山あいにあたります。
一ツ目タタラの正体と考えられているもの
一ツ目タタラは、紀伊の山で語られた一つ目一本足です。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、気配と姿だけです。
それでも、名前が付いています。
この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。
一ツ目タタラが登場する作品
一ツ目タタラを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは学会誌です。
一つ目一本足の話は紀伊の山に多く、冬の山に入るなという戒めを伴うこともあります。この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。
一ツ目タタラが登場する学会誌
近畿民俗
近畿民俗学会の学会誌です。1985年の号に口頭伝承が載ります。
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一ツ目タタラについてよくある質問
一ツ目タタラとは何ですか。
和歌山県田辺市本宮町の夜の山道に現れたとされる、目一つ足一つのものです。
どのように気づきますか。
前を歩いて行く気配がするのに誰もいない、という形で気づくと記録されています。
害はありますか。
害を与えたとは書かれていません。
タタラとは何ですか。
足で踏んで風を送るふいごのことです。
一ツ目タタラと併せて覚えたい言葉・用語
タタラ(たたら)
足踏み式のふいご。鍛冶で風を送る道具です。
本宮町(ほんぐうちょう)
和歌山県田辺市の地区名。熊野本宮大社があります。
口頭伝承(こうとうでんしょう)
書き物ではなく、語りで伝えられた話のことです。
一ツ目タタラの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。