徳島県石井町の話。阿波の山脈を担いできた大人。もっこからこぼれた土が丸山になり、足跡は池になった。

Reggaeman 「童学寺の鐘楼門(徳島県名西郡石井町)」 2009年 / CC BY-SA 3.0 出典
大人様とはどんな妖怪か
大人様は、山脈を担いできた大人です。徳島県名西郡石井町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、遠藤冬花「阿波名西郡より」(『郷土研究』郷土研究社、1915年)を典拠に、大人様はずっと大昔に阿波の国の中央山脈と北部山脈とを担いできた人だというと記します。
土地に跡が残りました。
その時もっこの目から目からもれ落ちたのを丸山という山が2つあると続き、大人様の足跡と言われる池もあり、夏の土用にも水が枯れないと結ばれます。
この図鑑には阿波狸合戦(徳島)も収めています。
大人様の漢字表記と読み方
読みは「おおひとさま」です。
「もっこ」は、縄で編んだ網に土を載せ、棒を通して二人で担ぐ道具です。
「目」は、ここでは網の目のことです。
「土用」は、夏のいちばん暑い時期のことです。
この図鑑には阿波狸合戦(徳島)も収めています。
大人様(おおひとさま)
日文研データベースが示す呼称です。
もっこ(もっこ)
記録が示す道具です。縄で編んだ網に土を載せ、棒を通して担ぎます。
丸山(まるやま)
記録が示す山の名です。2つあると記されます。
大人様の姿と特徴
大人様の話は、記録に順を追って書かれています。
いつのこと … ずっと大昔。
その者 … 大人様。
担いできたもの(一) … 阿波の国の中央山脈。
担いできたもの(二) … 北部山脈。
こぼれた場所 … もっこの目。
こぼれてできたもの … 丸山という山が2つ。
もう一つの跡 … 大人様の足跡と言われる池。
その池の性質 … 夏の土用にも水が枯れない。
顔かたちは書かれていません。
大人様の伝承記録
ずっと大昔
大人様はずっと大昔の人だといいます。
語られるのは山ができる前のことです。
二つの山脈を担ぐ
阿波の国の中央山脈と北部山脈とを担いできたといいます。
担いだのは山脈そのものです。
もっこの目から
その時もっこの目からもれ落ちたものがありました。
落ちたのは網の目からです。
丸山が二つ
もれ落ちたのを丸山という山が2つあるといいます。
残ったのはこぼれた土です。
枯れない池
大人様の足跡と言われる池もあり、夏の土用にも水が枯れないといいます。
残ったのは踏んだ跡です。
大人様の伝承地域
公的データベースの地域欄は徳島県、市郡名の欄は名西郡、区町村名の欄は石井町を示します。
報告の題は阿波名西郡よりで、1915年の郷土研究に載りました。
大人様の正体と考えられているもの
大人様は、山脈を担いできた大人です。
害をなす話ではありません。 語られているのは、山脈を担いだことと、こぼれた土が丸山になり、足跡が枯れない池になったことです。
土地のかたちの由来を語る話で、ダイダラボッチと同じ型にあたります。
この図鑑には阿波狸合戦(徳島)も収めています。
大人様が登場する作品
大人様を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは大正期の郷土研究誌に載った報告です。
山を運ぶ大人の話は全国にあり、多くは丘や池の由来を語るために伝えられます。
大人様が登場する雑誌
郷土研究
郷土研究社が出した雑誌です。1915年の号に阿波名西郡の報告が載ります。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
大人様についてよくある質問
大人様とは何ですか。
徳島県石井町に伝わる、阿波の中央山脈と北部山脈を担いできたという大人です。
丸山とは何ですか。
もっこの目からもれ落ちた土でできたという、2つの山です。
足跡はどうなりましたか。
池になり、夏の土用にも水が枯れないといいます。
ダイダラボッチと同じですか。
山を運ぶ大人という点で同じ型の話です。呼び名は土地ごとに違います。
大人様と併せて覚えたい言葉・用語
もっこ(もっこ)
縄で編んだ網に土を載せ、棒を通して担ぐ道具です。
土用(どよう)
立秋の前の十八日間で、夏のいちばん暑い時期をいいます。
石井町(いしいちょう)
徳島県名西郡にある、吉野川の南岸の町です。
大人様の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。