本文へ移動

静岡県

嫁が田(よめがた)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

嫁が田  / ヨメガタ

そのほか 怪談・百物語

静岡県掛川の田の名。酷使された嫁が田で死に、たちまち雷が落ちて姑も死んだと伝わる。

嫁が田の姿を描いた図

Monado 「掛川城の四足門(静岡県掛川市掛川)」 2007年 / CC BY-SA 3.0 出典

嫁が田とはどんな妖怪か

嫁が田はひとことで言えば、雷が報いた田です。静岡県掛川市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、西村白鳥煙霞綺談』(『日本随筆大成第1期』4巻、1975年、220頁)を典拠に、次のように記します。

遠州掛川在に嫁が田という所がある。昔、姑が頑愚で、報いを受けるような悪い行いを嫁にしていた。その嫁は、夏の日のことだったので、辛苦に耐えかね田で死んでしまった。すると、たちまち雷が落ちて姑もまた死んでしまった。それ以降、この田を嫁が田というそうだ

妖怪は出てきません。 出てくるのは、姑の仕打ち嫁の死落雷です。

因果応報の形をした話で、田の名として土地に残りました。

年代も、家の名も記録されていません。

嫁が田の漢字表記と読み方

読みは「よめがた」です。

田の名であり、話の名でもあります。香川のアワジ、大阪のウマザカと同じく、土地の名がそのまま伝説の名になっています。

データベースは「悪報」(あくほう)という呼称も併記します。報いを受けるという、話の筋を表した語です。

嫁が田(よめがた)

日文研データベースが示す漢字表記。

悪報(あくほう)

同データベースが併記する呼称。

嫁が田の姿と特徴

この話に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、出来事です。

季節 … 夏の日。
場所 … 掛川在の田。
出来事1 … 姑の悪い行いに耐えかね、嫁が田で死ぬ。
出来事2 … たちまち雷が落ち、姑も死ぬ。
その後 … この田を嫁が田と呼ぶ。

霊が現れる、声がするといった記述はありません。

嫁が田の伝承記録

  1. 夏の田で、嫁が死ぬ
  2. たちまち雷が落ちる

夏の田で、嫁が死ぬ

記録は、姑を頑愚(がんぐ)——かたくなで愚か——と書きます。

報いを受けるような悪い行いを、嫁に対して続けていました。

夏の日のことでした。田仕事は、夏がいちばん重い時期です。

嫁は辛苦に耐えかね、田で死んでしまいました

病死か、力尽きたのかは書かれていません。

たちまち雷が落ちる

嫁が死ぬと、たちまち雷が落ちて姑もまた死んでしまいました

間がありません。 すぐに報いが来るという書き方です。

雷を天の裁きとみる考え方は、古くから各地にあります。悪事を働いた者に雷が落ちるという話は、随筆や説話に数多く残ります。

そして、この田は「嫁が田」と呼ばれるようになりました

死んだ嫁の名ではなく、「嫁」という立場が地名になっています。

嫁が田の伝承地域

公的データベースの地域欄は静岡県掛川市を示します。記録は遠州掛川在(掛川のあたり)と記します。

田の現在地は書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。

掛川市周辺(かけがわししゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

掛川市周辺の所在地:静岡県掛川市

記録は「遠州掛川在」と記します。

田の現在地は資料に書かれていません。

嫁が田の正体と考えられているもの

この話に妖怪は出てきません。語られているのは、因果応報です。

姑の仕打ち→嫁の死→落雷→姑の死。 間を置かずに報いが来るという筋が、話の芯です。

雷は、天の裁きとして語られています。

残ったのは、田の名です。 田は毎年耕され、名は呼ばれ続けます。その名が話を運びました。

嫁が田が登場する作品

嫁が田の話は、『煙霞綺談』で読めます。江戸期の随筆で、日本随筆大成に収められています。

雷が悪人を打つ話は、随筆や説話集に数多くあります。同じ型の話を集めた本と併せて読むと、位置づけが分かります。

嫁が田が登場する古典籍

煙霞綺談

西村白鳥による江戸期の随筆。嫁が田の話を載せています。

中部の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

嫁が田についてよくある質問

嫁が田とは何ですか。

静岡県掛川にある田の名です。姑に酷使された嫁が田で死に、たちまち雷が落ちて姑も死んだと伝わります。

妖怪は出てきますか。

出てきません。記録にあるのは、姑の仕打ちと嫁の死、そして落雷です。

いつの話ですか。

年代は記録されていません。『煙霞綺談』は江戸期の随筆です。

田は今もありますか。

資料に現在地の記載はありません。記録は「遠州掛川在」と記すだけです。

嫁が田と併せて覚えたい言葉・用語

頑愚(がんぐ)

かたくなで愚かなこと。記録が姑を評した語です。

悪報(あくほう)

悪い行いの報い。データベースが併記する呼称です。

煙霞綺談(えんかきだん)

西村白鳥による江戸期の随筆。この話を載せています。

嫁が田の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「嫁が田」