岡山県高梁市の堤にいて通る人を睨んだもの。石を投げた爺さんは後に気が変になった。
犬みたいなものとはどんな妖怪か
犬みたいなものはひとことで言えば、手を出して報いを受けた相手です。岡山県高梁市備中町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、國學院大學民俗学研究会『民俗採訪』(1963年、69頁)の「岡山県川上郡備中町旧湯野村」の報告を典拠に、次のように記します。
八幡様の堤に昔、犬みたいなものがいて通る人を睨んでいることがあった。ある爺さんがその犬に石を投げて追い払った。帰りに同じ場所を通ると、地響きがして後ろから怪物が追いかけてきてくるような気持ちになった。しばらくしてその爺さんは気が変になった。
犬そのものとしては書かれていません。 犬みたいなものという言い方で記録されています。
睨むだけで、襲ってはいません。
石を投げたあとに、事が起こります。
犬みたいなものの漢字表記と読み方
読みは「いぬみたいなもの」です。
名前が付いていません。「犬みたいなもの」という言い方が、そのまま記録されています。
姿が定まらないものを、見たままに呼んだ形です。 鹿児島の足の長い人も、同じ呼び方でした。
犬みたいなもの(いぬみたいなもの)
日文研データベースが示す表記。
イヌミタイナモノ(いぬみたいなもの)
同データベースの呼称読み。
犬みたいなものの姿と特徴
記録にある姿は、犬に似た何かです。
場所 … 八幡様の堤。
振る舞い … 通る人を睨む。
石を投げた後 … 地響きがして、後ろから怪物が追いかけてくるような気持ちになる。
結末 … しばらくして、その爺さんは気が変になった。
大きさや毛色は書かれていません。
追いかけてくる姿も、見えてはいません。
犬みたいなものの伝承記録
睨むだけの相手に石を投げる
八幡様の堤に、犬みたいなものがいて、通る人を睨んでいました。
噛みつきも、吠えもしません。 睨むだけです。
ある爺さんが、石を投げて追い払いました。
先に手を出したのは、人の側です。
その場では、何も起こりませんでした。
帰り道の地響き
帰りに同じ場所を通ると、地響きがして、後ろから怪物が追いかけてくるような気持ちになりました。
姿は見えていません。 気持ちと書かれています。
そして、しばらくしてその爺さんは気が変になりました。
害は、その場ではなく後から来ました。
手を出さなければ何も起きなかったという形は、香川のシロウズマとも重なります。
犬みたいなものの伝承地域
公的データベースの地域欄は岡山県高梁市備中町を示します。
堤の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。同じ報告から、この図鑑にはイクレイジンも収めています。
備中町周辺(びっちゅうちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
備中町周辺の所在地:岡山県高梁市備中町
報告は旧・川上郡備中町の湯野村の調査によります。
八幡様の堤の位置は資料に書かれていません。
犬みたいなものの正体と考えられているもの
この「犬みたいなもの」の正体は書かれていません。
狐とも狸とも記されていません。
睨むだけのものに石を投げ、後から報いを受ける。 先に手を出した側が罰を受けるという形です。
気が変になったという結末は重いものです。病を、怪異と結び付けて説明したとも読めます。
残ったのは、堤と、睨んでいた何かの記憶です。
犬みたいなものが記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『民俗採訪』の報告です。
同じ報告には、イクレイジン(狸である下等な神)も載ります。一つの旧村で集められた話が並びます。
犬みたいなものが記録された民俗資料
民俗採訪(岡山県川上郡備中町旧湯野村)
國學院大學民俗学研究会が1963年にまとめた調査報告です。
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犬みたいなものについてよくある質問
犬みたいなものとは何ですか。
岡山県高梁市の八幡様の堤にいて、通る人を睨んでいたとされるものです。
石を投げるとどうなったのですか。
帰りに地響きがして追いかけられる気持ちになり、しばらくしてその爺さんは気が変になったと記録されています。
正体は何ですか。
記録されていません。狐とも狸とも書かれていません。
襲われた人はいますか。
睨むだけで、襲ったという記録はありません。
犬みたいなものと併せて覚えたい言葉・用語
八幡様の堤(はちまんさまのつつみ)
記録が示す場所。犬みたいなものがいたとされます。
シロウズマ(しろうずま)
香川県の白い石の妖怪。手を出すと連れて行かれます。
民俗採訪(みんぞくさいほう)
國學院大學民俗学研究会の調査報告書です。
犬みたいなものの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。