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新潟県

粛慎隈(あしわせのくま)とはどんな妖怪か|姿と伝承

粛慎隈  / アシワセノクマ

人型の妖怪 各地の伝説

新潟県佐渡市に伝わる地名の由来。渡ってきた粛慎人を島の人は鬼魅とみて近づかなかった。

粛慎隈の姿を描いた図

Sota Kaneko 「岩首昇竜棚田と海(新潟県佐渡市)」 2017年 / CC BY-SA 2.0 出典

粛慎隈とはどんな妖怪か

粛慎隈は、鬼魅とみられた渡来の人にまつわる地名です。新潟県佐渡市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、大朏東華斉諧俗談」(『日本随筆大成第一期』吉川弘文館、1976年)を典拠に、引用文献を『日本紀』として、御名部の崎という所に粛慎人が船に乗ってきて、春夏漁をしていた。島の人は、これは人ではなく鬼魅だといい近付かなかったと記します。

近づかなかった相手が、地名になりました。

のちに粛慎人は瀬川の浦へ移り、これを俗に粛慎の隈というと記されています。

この図鑑には井戸から出た龍の骨(新潟)も収めています。

粛慎隈の漢字表記と読み方

読みは「あしわせのくま」です。

「粛慎」は、北方から渡ってきた人々を指す古い言い方です。

「隈」は、入りくんだ土地のことです。

「鬼魅」は、人ならぬものを指します。

この図鑑には井戸から出た龍の骨(新潟)も収めています。

粛慎隈(あしわせのくま)

日文研データベースが示す呼称です。

鬼魅(きみ)

記録が示す、島の人の見立てです。

魃鬼(ばっき)

記録が示す、占いに出たものの名です。

粛慎隈の姿と特徴

粛慎隈の話は、記録に順を追って書かれています。

着いた場所 … 御名部の崎という所。
来た人 … 粛慎人。
その手立て … 船に乗ってきた。
していたこと … 春夏漁をしていた。
島の人の見立て … これは人ではなく鬼魅だ。
その振る舞い … 近付かなかった。
別の出来事の場所 … 島の東の禹武という村。
したこと … 椎の実を焼いて食べようと灰に埋めた。
起きたこと … 2人の人になって火の上に飛び上がり争い始めた。
占いの答え … この村の人は魃鬼のためにまどわされる。
その通りのこと … 掠め取られた。
その後 … 粛慎人は瀬川の浦へ移った。
浦の神 … あえて近付かなかった。
水のこと … 水は減って、その水を飲めば半分は死んだ。
その名 … 俗に粛慎の隈という。

粛慎人の姿は書かれていません。

粛慎隈の伝承記録

  1. 御名部の崎に着く
  2. 鬼魅だという
  3. 椎の実が争う
  4. 魃鬼の占い
  5. 粛慎の隈

御名部の崎に着く

御名部の崎という所に粛慎人が船に乗ってきて、春夏漁をしていました。

来たのは海からです。

鬼魅だという

島の人は、これは人ではなく鬼魅だといい近付きませんでした。

避けたのは島の人のほうです。

椎の実が争う

島の東の禹武という村の人が椎の実を焼いて食べようと灰に埋めたところ、2人の人になって火の上に飛び上がり争い始めました。

変わったのは椎の実です。

魃鬼の占い

占いをすると、この村の人は魃鬼のためにまどわされると出て、その通り、掠め取られました。

当たったのは占いです。

粛慎の隈

この後、粛慎人は瀬川の浦へ移りました。浦の神はあえて近付かなかったといいます。これにより水は減って、その水を飲めば半分は死んだ。これを俗に粛慎の隈といいます。

残ったのは地の名です。

粛慎隈の伝承地域

公的データベースの地域欄は新潟県、市郡名の欄は佐渡市を示します。

記録が挙げるのは御名部の崎瀬川の浦で、今のどこにあたるかは書かれていません。

佐渡島(さどがしま)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

佐渡島の所在地:新潟県佐渡市

記録は御名部の崎と瀬川の浦を挙げています。

もとは日本書紀に見える話で、随筆がこれを引いています。

粛慎隈の正体と考えられているもの

粛慎隈は、鬼魅とみられた渡来の人にまつわる地名です

妖怪として現れるものではありません。 語られているのは、島の人が近づかなかったことと、そのあと村に起きたことです。

見知らぬ相手を人ではないと呼んだことが、そのまま土地の名として残りました。

この図鑑には井戸から出た龍の骨(新潟)も収めています。

粛慎隈が登場する作品

粛慎隈は、日本書紀に見える粛慎の記事をもとにしています。読めるのは江戸時代の随筆と、その典拠となった歴史書です。

渡ってきた人を人ならぬものとみる書き方は古い書物にいくつもあり、土地の名にその見方が残ります。

粛慎隈が登場する随筆

斉諧俗談

大朏東華が書いた随筆です。日本随筆大成第一期に収められています。

粛慎隈が登場する古い書物

日本書紀

奈良時代に編まれた歴史書です。記録はこの書を引いています。

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粛慎隈についてよくある質問

粛慎隈とは何ですか。

新潟県佐渡市に伝わる地名の由来で、渡ってきた粛慎人を島の人が鬼魅とみた話です。

粛慎人は何をしていましたか。

御名部の崎に船で来て、春夏に漁をしていたといいます。

椎の実の話は何ですか。

灰に埋めた椎の実が2人の人になって火の上で争い始めたという出来事です。

もとは何に書かれていますか。

日本書紀に見える記事を、江戸時代の随筆が引いています。

粛慎隈と併せて覚えたい言葉・用語

粛慎(あしはせ)

北方から渡ってきた人々を指す古い言い方です。

(くま)

入りくんだ土地のことです。

佐渡市(さどし)

新潟県の佐渡島全域からなる市です。

粛慎隈の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「粛慎隈」