長野県下條村の石。赤子の跡が刻まれ、泣きやまない赤子のために願うと泣き止むという。

赤子石とはどんな妖怪か
赤子石はひとことで言えば、泣きやませてくれる石です。長野県下伊那郡下條村の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、下島賢二ほか「下条村の伝説」(『伊那』19巻2号・通巻513号、1971年、38頁)を典拠に、赤子石には、赤子の跡が深く刻まれている。赤子が泣く時は、その岩に赤子が泣かないようにと願いに行くと、不思議と泣き止むと記します。
困りごとを持ち込む先として語られた石です。
跡がどんな形かは書かれていません。 手か、足か、体の跡かも記録されていません。
願いに行くのは、赤子ではなく親の側です。
赤子石の漢字表記と読み方
読みは「あかごいし」です。
「赤子」は生まれて間もない子を指します。その跡が刻まれた石という名です。
同じ「赤子」の付く場所は各地にあります。長野県内には赤子淵、岩手には赤子塚があります。いずれも赤子と場所が結び付いた名です。
赤子石(あかごいし)
日文研データベースが示す漢字表記。
アカゴイシ(あかごいし)
同データベースの呼称読み。
赤子石の姿と特徴
赤子石は、石そのものです。
特徴 … 赤子の跡が深く刻まれている。
はたらき … 泣かないようにと願うと、泣き止む。
何かが現れる、音がするといった記録はありません。
石の大きさ、色、場所の細かい位置も書かれていません。跡があること、願いが効くことの二つだけが伝わります。
赤子石の伝承記録
赤子の跡が刻まれている
記録の中心は、赤子の跡が深く刻まれているという一点です。
自然にできたくぼみを、赤子の跡と見たのか、刻んだものなのかは書かれていません。
石に人や動物の跡を見る話は各地にあります。弁慶の足跡、馬の蹄の跡。 見えるかたちに物語を当てはめる語り方です。
赤子石の場合、その跡が赤子のものとされました。
泣きやまない子のために願う
石のはたらきは具体的です。赤子が泣く時、泣かないようにと願いに行くと、不思議と泣き止む。
夜泣きは、親にとって切実な悩みでした。 医者にかかるより先に、近くの石に願うという道がありました。
願い方の作法は記録されていません。 供え物をするのか、唱えごとがあるのかも書かれていません。
怪異というより、頼りにされる石です。 恐れの対象ではなく、助けを求める先として語られています。
赤子石の伝承地域
公的データベースの地域欄は長野県下伊那郡下條村を示します。
石の現在地は書かれていないため、地図で指せるのは村の範囲までです。
赤子石の正体と考えられているもの
赤子石の正体は、石そのものです。何かが現れるという話としては記録されていません。
語られているのは、跡の由来と願いが効くことの二つです。
なぜ赤子の跡なのか、なぜ泣き止むのかは書かれていません。
石や木に願をかける習わしは各地にあります。赤子石は、その中でも夜泣きという身近な困りごとに結び付いた例です。
赤子石が記録された資料
赤子石を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伊那』の記事です。
『伊那』は伊那谷の郷土誌で、村ごとの伝説を長く載せてきました。地元図書館の郷土資料が探し先です。
赤子石が記録された民俗資料
下条村の伝説
下島賢二ほかが『伊那』19巻2号(1971年)に載せた中心資料です。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
赤子石についてよくある質問
赤子石とはどんなものですか。
長野県下條村に伝わる石です。赤子の跡が深く刻まれ、泣きやまない赤子のために願うと泣き止むといわれました。
跡はどんな形ですか。
記録されていません。赤子の跡が深く刻まれているとだけ伝えられています。
願い方に作法はありますか。
記録されていません。願いに行くとだけ書かれています。
今も見られますか。
資料に現在地の記載はありません。日文研データベースの地域欄は下伊那郡下條村を示します。
赤子石と併せて覚えたい言葉・用語
夜泣き(よなき)
赤子が夜に泣きやまないこと。この石に願う理由です。
伊那(いな)
伊那谷の郷土誌。赤子石の記録が載りました。
赤子塚(あかごづか)
岩手県花巻市に伝わる塚。同じく赤子と場所が結び付いた名です。
赤子石の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。