三重県いなべ市で、人が行方知れずになると穴の前で交渉した相手とされた女狐。

Asturio Cantabrio 「旧阿下喜駅の駅舎(三重県いなべ市北勢町阿下喜)」 2021年 / CC BY-SA 出典
おしも狐とはどんな妖怪か
おしも狐はひとことで言えば、約束の相手です。三重県いなべ市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、木全圓壽「狐の噂」(『民間伝承』9巻4号、1943年、34頁)を典拠に、笠田村に「おしも狐」という女狐がいる。村人は、家人がいなくなるとおしも狐の穴の前へ行き、「家人を帰すならオコワを供える」と伝えてオコワを持ち帰り、鉦太鼓を叩き松火を立てて村内を探し回る。本人が帰ってくると改めておしも狐の穴へ行き、オコワを供えると記します。
先に供えません。
「帰すなら供える」と伝えて、いったん持ち帰ります。 供えるのは帰ってきてからです。
おしも狐の漢字表記と読み方
読みは「おしもぎつね」です。
オコワは、もち米を蒸したこわ飯のことで、赤飯もこれにあたります。
笠田村は、今のいなべ市にあたる旧村名です。
この図鑑にはおさわ狐(静岡)も収めています。どちらも名前のある女狐です。
おしも狐(おしもぎつね)
日文研データベースが示す呼称。
オコワ(おこわ)
もち米を蒸したこわ飯のことです。
おしも狐の姿と特徴
おしも狐の姿は、記録に書かれていません。あるのは、やりとりです。
呼び名 … おしも狐。女狐。
居場所 … 穴。
するとき … 家人がいなくなったとき。
伝える言葉 … 家人を帰すならオコワを供える。
そのときの持ち物 … オコワは、いったん持ち帰る。
探し方 … 鉦太鼓を叩き、松火を立てて村内を探し回る。
本人が帰ってくると、改めて穴へ行き、オコワを供えます。
おしも狐の伝承記録
家人がいなくなる
村人は、家人がいなくなるとおしも狐の穴の前へ行きます。
まず疑うのが、この狐でした。
帰すなら供えると伝える
「家人を帰すならオコワを供える」と伝えて、オコワを持ち帰ります。
約束だけして、品は渡しません。
鉦太鼓を叩き、松火を立てて村内を探し回ります。
帰ってから供える
本人が帰ってくると、改めておしも狐の穴へ行き、オコワを供えます。
果たされてから、払われます。
取り決めの形が、きちんとしています。
おしも狐の伝承地域
公的データベースの地域欄は三重県いなべ市を示します。
いなべ市は鈴鹿山脈の東ふもとにあたります。
おしも狐の正体と考えられているもの
おしも狐は、交渉できる相手です。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、伝えることと、供えることだけです。
それでも、手順が決まっています。
この図鑑にはおさわ狐(静岡)も収めています。
おしも狐が登場する作品
おしも狐を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは学会誌です。
神隠しに狐を疑う話は各地にあり、鉦太鼓で探し回るやり方が伴います。この図鑑にはおさわ狐(静岡)も収めています。
おしも狐が登場する学会誌
民間伝承
民間伝承の会の学会誌です。1943年の号に木全圓壽の狐の噂が載ります。
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おしも狐についてよくある質問
おしも狐とは何ですか。
三重県いなべ市の笠田にいたとされる女狐です。
いつ頼みますか。
家人がいなくなったときに、穴の前へ行くと記録されています。
何を供えますか。
オコワを供えるとされます。
いつ供えますか。
本人が帰ってきてから、改めて供えるとされます。
おしも狐と併せて覚えたい言葉・用語
オコワ(おこわ)
もち米を蒸したこわ飯のことです。
松火(たいまつ)
松の木を束ねて燃やす明かりです。
いなべ市(いなべし)
三重県北部の市。旧笠田村を含みます。
おしも狐の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。