鹿児島県大和村で、夜ごとオートバイで来て坐ったまま動かなかったと語られたボックワ。

Si-take. 「マテリヤの滝(鹿児島県大島郡大和村)」 2007年 / CC BY-SA 3.0 出典
モリシャンチュとはどんな妖怪か
モリシャンチュは、一人にだけ見えたものです。鹿児島県大島郡大和村の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、里山勇廣「大和浜の媼とボツクワ」(『奄美民俗ノート』奄美民俗談話会、1980年)を典拠に、ある集落に住む老夫婦の夫が入院した。妻は集落の人に、夜10時になると、毎晩ボックワがオートバイで家に来て、坐ったまま動かず、午前五時ぐらいまで滞在すると話した。別の人が見に行ってもボックワの姿はなかった。夫が退院するとその話をしなくなったと記します。
時刻まで決まっていました。
来るのは夜十時、去るのは午前五時ぐらいでした。
モリシャンチュの漢字表記と読み方
読みは「もりしゃんちゅ」です。
「ケンムン」は奄美に伝わる妖怪で、河童に近いものとされます。
「ボックワ」は記録の本文で使われている呼び名です。
「大和浜」は大和村の集落の名で、報告の題に出てきます。
オートバイで来るという点が、近い時代の話であることを示します。
モリシャンチュ(もりしゃんちゅ)
日文研データベースが示す呼称。
ボックワ(ぼっくわ)
記録の本文で使われている呼び名です。
ケンムン(けんむん)
データベースが並べて示す奄美の妖怪の名です。
モリシャンチュの姿と特徴
モリシャンチュの話は、記録に順を追って書かれています。
きっかけ … ある集落に住む老夫婦の夫が入院した。
話した人 … 妻。
話した相手 … 集落の人。
来る時刻 … 夜十時。
その頻度 … 毎晩。
来かた … オートバイで家に来る。
すること … 坐ったまま動かない。
帰る時刻 … 午前五時ぐらい。
別の人が見に行くと … ボックワの姿はなかった。
終わり … 夫が退院するとその話をしなくなった。
ボックワの姿かたちは書かれていません。
モリシャンチュの伝承記録
夫が入院する
ある集落に住む老夫婦の夫が入院しました。
妻が一人になりました。
毎晩十時に来る
夜10時になると、毎晩ボックワがオートバイで家に来ました。
来かたがオートバイです。
坐ったまま動かない
坐ったまま動かず、午前五時ぐらいまで滞在しました。
何もしませんでした。
夫が帰ると止む
別の人が見に行ってもボックワの姿はありませんでした。夫が退院するとその話をしなくなりました。
終わったのは夫が帰ってからです。
モリシャンチュの伝承地域
公的データベースの地域欄は鹿児島県大島郡大和村を示します。
この図鑑には同じ大島郡のモーレイも収めています。
モリシャンチュの正体と考えられているもの
モリシャンチュは、一人にだけ語られたものです。
害をなしてはいません。 語られているのは、来る時刻と、何もしなかったこと、そして話が止んだことです。
夫の入院と退院にきっちり合っているところが、この話の形です。
この図鑑にはモーレイ(鹿児島)も収めています。
モリシャンチュが登場する作品
モリシャンチュを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは奄美の民俗談話会の雑誌です。
ケンムンは奄美に広く伝わる妖怪で、木の上にいる、火を灯すなどと語られます。
モリシャンチュが登場する学会誌
奄美民俗ノート
奄美民俗談話会が出した雑誌です。1980年の号に大和浜の媼とボツクワが載ります。
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モリシャンチュについてよくある質問
モリシャンチュとは何ですか。
鹿児島県大和村で語られたもので、記録の本文ではボックワと呼ばれます。
いつ来るのですか。
夜十時に来て、午前五時ぐらいまで滞在したといいます。
何をするのですか。
坐ったまま動かなかったと記録されています。
ほかの人にも見えましたか。
別の人が見に行っても姿はなかったといいます。
モリシャンチュと併せて覚えたい言葉・用語
ケンムン(けんむん)
奄美に伝わる妖怪で、河童に近いものとされます。
大和村(やまとそん)
奄美大島にある村です。
奄美(あまみ)
鹿児島県南部の群島です。
モリシャンチュの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。