鹿児島県龍郷町で、男に化けて通ったハブ。四月初午にニラを食べる由来となった。

マツダブとはどんな妖怪か
マツダブはひとことで言えば、自分の弱みを漏らした蛇です。鹿児島県大島郡龍郷町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、叶みち子ほか「竜郷村川内」(『奄美民俗』9号、1968年、11頁)を典拠に、昔、マツタブが男に化け、ある女を妊娠させた。その男は毎夜通い朝になると帰っていった。不審に思った女は男の後をつけた。すると男はマツタブとなり洞穴に入っていき、そこで仲間のハブにその女のことを自慢していたと記します。
ハブが言うには、もしその女が4月初午にビラゾネを食べたら子供はおりてしまう、とのことであった。
女はその通りにし、多くのマツタブの仔をおろしたといいます。
それからというもの、4月初午には必ずビラゾネを食べるようになったと記されます。
マツダブの漢字表記と読み方
マツダブ(まつたぶ)
日文研データベースが示す表記。
マッタブ(まったぶ)
同じ蛇を指す別の表記。赤マタとも呼ばれます。
ビラゾネ(びらぞね)
ニラの煮物を指す島の言い方。
マツダブの姿と特徴
この記録にあるのは、化けた男と、蛇の姿です。
化けた姿 … 男。
通い方 … 毎夜通い、朝になると帰る。
正体 … マツタブ。
帰る先 … 洞穴。
そこでしたこと … 仲間のハブに女のことを自慢した。
漏れた弱み … 四月初午にビラゾネを食べると子供はおりる。
蛇の大きさや色は書かれていません。
マツダブの伝承記録
毎夜通ってくる男
昔、マツタブが男に化け、ある女を妊娠させました。
その男は毎夜通い、朝になると帰っていきました。
不審に思った女は、男の後をつけます。
すると男はマツタブとなり、洞穴に入っていきました。
自慢が弱みになる
洞穴で、仲間のハブにその女のことを自慢していました。
ハブが言うには、もしその女が四月初午にビラゾネを食べたら子供はおりてしまう、とのことでした。
女はその通りにし、多くのマツタブの仔をおろしました。
それからというもの、四月初午には必ずビラゾネを食べるようになったといいます。
自慢が、そのまま身を滅ぼしています。
マツダブの伝承地域
公的データベースの地域欄は鹿児島県大島郡龍郷町を示します。報告は旧竜郷村川内の調査です。
奄美大島の町です。 洞穴の位置は書かれていません。
マツダブの正体と考えられているもの
この男の正体は、記録がはっきり書いています。マツタブ——ハブの仲間です。
蛇が男に化けて通う話は各地にあります。
この記録の特徴は、行事の由来になっていることです。
四月初午にビラゾネを食べる——その理由が、この話です。
この図鑑には鬼の骨(長崎)も収めています。 そちらも、行事の由来を語る話です。
マツダブが記録された資料
マツダブを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『奄美民俗』の記事です。
蛇が男に化けて通う話は各地にあり、三輪山型と呼ばれます。
マツダブが記録された民俗資料
竜郷村川内
叶みち子ほかが『奄美民俗』9号(1968年)に載せた中心資料です。
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マツダブについてよくある質問
マツダブとは何ですか。
鹿児島県龍郷町に伝わる蛇です。男に化けて女のもとへ通ったとされます。
どうやって正体が知れたのですか。
女が男の後をつけたところ、洞穴に入るマツタブの姿になったためです。
ビラゾネとは何ですか。
ニラの煮物を指す島の言い方です。
なぜ四月初午に食べるのですか。
この話が由来とされます。女がその日に食べて仔をおろしたと記録されています。
マツダブと併せて覚えたい言葉・用語
ビラゾネ(びらぞね)
ニラの煮物を指す島の言い方です。
初午(はつうま)
その月の最初の午の日です。
ハブ(はぶ)
奄美・沖縄にすむ毒蛇です。
マツダブの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。