兵庫県宝塚市の天神川のほとりにある泉。病人がこの水を飲みたいと言えば臨終間際だと語られた。

ガキイドとはどんな妖怪か
ガキイドはひとことで言えば、死期を告げる泉です。兵庫県宝塚市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、辰井隆「妖怪名彙に寄す」(『民間伝承』5巻5号、1940年、5頁)を典拠に、次のように記します。
川辺郡長尾村の天神川のほとりにガキイドという泉がある。青く澄んだ泉で、ただ「怖い井戸」としてのみ知られている。
そして、ある老婆だけがこう語ったといいます。病人がガキイドの水が飲みたいと言い出すと臨終間際だ。
泉そのものは、青く澄んでいます。 見た目は、ただの澄んだ泉です。
怖いのは、水を求める言葉のほうです。
ガキイドの漢字表記と読み方
読みは「がきいど」です。
「ガキ」は餓鬼を指すとみられます。餓鬼は、飢えと渇きに苦しむとされる存在です。水を求めてやまないという性質が、この泉の話と重なります。
ただし、名の由来は記録に書かれていません。字を当てた形も資料にはありません。
ガキイド(がきいど)
日文研データベースが示す呼称。
餓鬼井戸(がきいど)
語の形に沿って字を当てた書き方。
ガキイドの姿と特徴
ガキイドは、泉です。
場所 … 天神川のほとり。
見た目 … 青く澄んでいる。
知られ方 … ただ「怖い井戸」として。
言い伝え … 病人がこの水を飲みたいと言えば臨終間際。
何かが出てくるという記録はありません。
水を飲んだ人がどうなるかも書かれていません。言い出したことが、しるしになります。
ガキイドの伝承記録
「怖い井戸」としてだけ知られていた
この記録で目を引くのは、理由が忘れられていたという点です。
村では、この泉は「怖い井戸」としてのみ知られていました。なぜ怖いのかは、語られていません。
ある老婆だけが、その意味を覚えていました。
言い伝えが薄れ、「怖い」という感じだけが残っていたところを、報告者が書き留めています。
水を求める言葉がしるしになる
老婆が語ったのは、病人がガキイドの水が飲みたいと言い出すと臨終間際だということでした。
水そのものの害は語られていません。 飲みたいと言い出すことが、死の近さを告げます。
重い病の人が、遠くの泉の水を求める。その言葉を、村の人は死の知らせとして受け取りました。
避ける方法は記録されていません。
ガキイドの伝承地域
公的データベースの地域欄は兵庫県宝塚市長尾町を示します。記録の川辺郡長尾村は現在の宝塚市にあたります。
泉の現在地は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
長尾町周辺(ながおちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
長尾町周辺の所在地:兵庫県宝塚市長尾町
記録の「川辺郡長尾村」は、現在の兵庫県宝塚市にあたります。
泉の現在地は資料に書かれていません。天神川のほとりとのみ記されます。
ガキイドの正体と考えられているもの
ガキイドの正体は確定していません。
泉に主が棲むとも、何かが現れるとも書かれていません。 記録が伝えるのは、水を求める言葉と死の近さの結び付きだけです。
名の「ガキ」が餓鬼であれば、飢えと渇きに苦しむものの名を、泉に与えたことになります。ただし、記録に説明はありません。
青く澄んだ泉が「怖い井戸」と呼ばれ、その理由をほとんどの人が忘れていた。 それがこの記録の姿です。
ガキイドが記録された資料
ガキイドが記録された民俗資料
妖怪名彙に寄す
辰井隆が『民間伝承』5巻5号(1940年)に載せた中心資料です。
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ガキイドについてよくある質問
ガキイドとはどんな怪異ですか。
兵庫県宝塚市の天神川のほとりにある泉です。病人がこの水を飲みたいと言い出すと臨終間際だと語られました。
水を飲むと害があるのですか。
記録されていません。飲みたいと言い出すことがしるしになる、という形です。
なぜ「怖い井戸」と呼ばれたのですか。
村では理由が語られておらず、ある老婆だけが言い伝えを覚えていたと記録されています。
今もある泉ですか。
資料に現在地の記載はありません。天神川のほとりとのみ記されています。
ガキイドと併せて覚えたい言葉・用語
餓鬼(がき)
飢えと渇きに苦しむとされる存在。名の由来と考えられますが、記録に説明はありません。
天神川(てんじんがわ)
泉があるとされた川。宝塚市を流れます。
川辺郡長尾村(かわべぐんながおむら)
記録が示す旧村名。現在の兵庫県宝塚市にあたります。
ガキイドの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。