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広島県

タクラウビ(比べ火)とはどんな妖怪か|姿と伝承

タクラウビ  / タクラウビ

火の妖怪 各地の伝説

広島県尾道で海上に現れるという怪火。火の数は二つで、起こりは「比べ火」とみられる。

タクラウビの姿を描いた図

663highland 「尾道水道(広島県尾道市)」 2008年 / CC BY 2.5 出典

タクラウビとはどんな妖怪か

タクラウビはひとことで言えば、海に二つ並ぶ火です。広島県尾道市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田國男妖怪名彙(六)」(『民間伝承』4巻6号、1939年、16頁)を典拠に、海上に現れる怪火をタクラウビという。火の数は2つであると記します。

そして、起こりは「比べ火」だと思われると書き添えています。

二つで現れる火は各地にあります。宮崎の筬火は喧嘩をする二つの火、愛知の勘太郎火は連れ立つ二つの火でした。

タクラウビでは、その二つが比べ合うものとして受け取られています。

色、大きさ、季節は記録されていません。

タクラウビの漢字表記と読み方

読みは「たくらうび」です。

柳田國男は、この名の起こりを「比べ火」だろうとしました。二つの火が並んで見えることから、比べるという語が入ったという見立てです。

同じ「比べ火」から出たとされる名は、瀬戸内の各地に見られます。海の上に並ぶ二つの火は、船に乗る人にとって身近な光景でした。

タクラウビ(たくらうび)

日文研データベースが示す呼称。

比べ火(くらべび)

柳田が名の起こりとした語。

タクラウビの姿と特徴

タクラウビの姿は、海上に現れる二つの火です。

場所 … 海上。
… 二つ。
名の起こり … 比べ火。

大きさ、色、動き方は記録されていません。

近づいたらどうなるか、船が難に遭うかも書かれていません。二つで現れるという一点だけが伝えられています。

タクラウビの伝承記録

  1. 海に並ぶ二つの火
  2. 「比べ火」という見立て

海に並ぶ二つの火

尾道は瀬戸内に面した港町です。夜の海には、漁り火や対岸の灯りが並びます。

その中に、説明のつかない二つの火が見えたとき、人はそれをタクラウビと呼びました。

一つではなく二つであることが、名の要です。二つあれば、比べているように見えます。

「比べ火」という見立て

柳田國男は、名の起こりを比べ火と考えました。

二つの火が、明るさや高さを競っているように見える。 その見方が名に残った、という筋です。

同じ二つの火でも、宮崎の筬火では喧嘩をする二人の女とされ、愛知の勘太郎火では連れ立つ二人とされました。

同じ現象に、土地ごとの物語が付きます。尾道では、比べ合う火として受け取られました。

タクラウビの伝承地域

公的データベースの地域欄は広島県尾道市を示します。

海域や浜の名は記録されていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。

尾道市周辺の海上(おのみちししゅうへんのかいじょう)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

尾道市周辺の海上の所在地:広島県尾道市

柳田國男「妖怪名彙(六)」の地域欄に対応します。

資料には、見えたとされる海域や浜の名がありません。

タクラウビの正体と考えられているもの

タクラウビの正体は確定していません。

柳田國男の見立ては、名の起こりが比べ火であろう、というものです。火そのものが何かについては書かれていません。

海上の光は、漁り火、対岸の灯り、船の灯など説明のつくものも多くあります。資料はそこに触れていません。

分かっているのは、尾道の海に二つの火が見え、それをタクラウビと呼んだということだけです。

タクラウビが記録された資料

タクラウビを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の「妖怪名彙」です。

瀬戸内の海の怪火は数が多く、比べ火の名でまとめて論じられることがあります。

タクラウビが記録された民俗資料

妖怪名彙(六)

柳田國男が『民間伝承』4巻6号(1939年)に載せた中心資料です。

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タクラウビについてよくある質問

タクラウビとはどんな妖怪ですか。

広島県尾道市で、海上に現れるとされた怪火です。火の数は二つと記録されています。

名前の由来は何ですか。

柳田國男は、起こりは「比べ火」だろうと書いています。二つの火が比べ合うように見えることによります。

船に害はありますか。

記録されていません。二つで現れるという以上のことは書かれていません。

ほかの二つの火とどう違いますか。

宮崎の筬火は喧嘩をする二人、愛知の勘太郎火は連れ立つ二人とされます。土地ごとに物語が違います。

タクラウビと併せて覚えたい言葉・用語

比べ火(くらべび)

二つ並んで見える怪火。柳田はタクラウビの名の起こりとしました。

筬火(おさび)

宮崎県延岡の怪火。二つの火が喧嘩をするとされます。

勘太郎火(かんたろうび)

名古屋の怪火。二つの火が二人連れとされます。

タクラウビの参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「タクラウビ」