広島県尾道で海上に現れるという怪火。火の数は二つで、起こりは「比べ火」とみられる。

タクラウビとはどんな妖怪か
タクラウビの漢字表記と読み方
読みは「たくらうび」です。
柳田國男は、この名の起こりを「比べ火」だろうとしました。二つの火が並んで見えることから、比べるという語が入ったという見立てです。
同じ「比べ火」から出たとされる名は、瀬戸内の各地に見られます。海の上に並ぶ二つの火は、船に乗る人にとって身近な光景でした。
タクラウビ(たくらうび)
日文研データベースが示す呼称。
比べ火(くらべび)
柳田が名の起こりとした語。
タクラウビの姿と特徴
タクラウビの姿は、海上に現れる二つの火です。
場所 … 海上。
数 … 二つ。
名の起こり … 比べ火。
大きさ、色、動き方は記録されていません。
近づいたらどうなるか、船が難に遭うかも書かれていません。二つで現れるという一点だけが伝えられています。
タクラウビの伝承記録
海に並ぶ二つの火
尾道は瀬戸内に面した港町です。夜の海には、漁り火や対岸の灯りが並びます。
その中に、説明のつかない二つの火が見えたとき、人はそれをタクラウビと呼びました。
一つではなく二つであることが、名の要です。二つあれば、比べているように見えます。
「比べ火」という見立て
柳田國男は、名の起こりを比べ火と考えました。
二つの火が、明るさや高さを競っているように見える。 その見方が名に残った、という筋です。
同じ二つの火でも、宮崎の筬火では喧嘩をする二人の女とされ、愛知の勘太郎火では連れ立つ二人とされました。
同じ現象に、土地ごとの物語が付きます。尾道では、比べ合う火として受け取られました。
タクラウビの伝承地域
公的データベースの地域欄は広島県尾道市を示します。
海域や浜の名は記録されていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。
尾道市周辺の海上(おのみちししゅうへんのかいじょう)
日文研データベースが示す伝承地域
尾道市周辺の海上の所在地:広島県尾道市
柳田國男「妖怪名彙(六)」の地域欄に対応します。
資料には、見えたとされる海域や浜の名がありません。
タクラウビの正体と考えられているもの
タクラウビの正体は確定していません。
柳田國男の見立ては、名の起こりが比べ火であろう、というものです。火そのものが何かについては書かれていません。
海上の光は、漁り火、対岸の灯り、船の灯など説明のつくものも多くあります。資料はそこに触れていません。
分かっているのは、尾道の海に二つの火が見え、それをタクラウビと呼んだということだけです。
タクラウビが記録された資料
タクラウビを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の「妖怪名彙」です。
瀬戸内の海の怪火は数が多く、比べ火の名でまとめて論じられることがあります。
タクラウビが記録された民俗資料
妖怪名彙(六)
柳田國男が『民間伝承』4巻6号(1939年)に載せた中心資料です。
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タクラウビについてよくある質問
タクラウビとはどんな妖怪ですか。
広島県尾道市で、海上に現れるとされた怪火です。火の数は二つと記録されています。
名前の由来は何ですか。
柳田國男は、起こりは「比べ火」だろうと書いています。二つの火が比べ合うように見えることによります。
船に害はありますか。
記録されていません。二つで現れるという以上のことは書かれていません。
ほかの二つの火とどう違いますか。
宮崎の筬火は喧嘩をする二人、愛知の勘太郎火は連れ立つ二人とされます。土地ごとに物語が違います。
タクラウビと併せて覚えたい言葉・用語
比べ火(くらべび)
二つ並んで見える怪火。柳田はタクラウビの名の起こりとしました。
筬火(おさび)
宮崎県延岡の怪火。二つの火が喧嘩をするとされます。
勘太郎火(かんたろうび)
名古屋の怪火。二つの火が二人連れとされます。
タクラウビの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。