本文へ移動

愛媛県

犬坊の霊(いぬぼうのれい)とはどんな妖怪か|姿と伝承

犬坊の霊  / イヌボウノレイ

幽霊と霊 各地の伝説

愛媛県に伝わる城主の亡霊。馬に乗って現れ、見ると病気になったという。

犬坊の霊とはどんな妖怪か

犬坊の霊はひとことで言えば、追い払われた武将の亡霊です。愛媛県の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、野口光敏伝説秘めた御幸寺山」(『伊予の民俗』通巻3号、1974年、49頁)を典拠に、三木寺城主の犬坊が戦で死に、その亡霊が馬に乗って現れた。それを見ると病気になるという。殿様の使者が来て立ち去るように怒鳴ると、白紙のようなものが東に飛び去り、その後そういうこともなくなったと記します。

見ると病気になる——害は、見た人に及びます。

追い払ったのは、僧でも祈祷師でもありません。 殿様の使者です。

そして、去るときの姿が具体的です。 白紙のようなものが東に飛び去った

犬坊の霊の漢字表記と読み方

読みは「いぬぼうのれい」です。

犬坊三木寺城主の名として記録されています人名です。

名の残る亡霊という点で、福井の乱れ橋の幽霊(朝倉義景)や三重の浅五郎の霊と同じ形です。

犬坊の霊(いぬぼうのれい)

日文研データベースが示す表記。

イヌボウノレイ(いぬぼうのれい)

同データベースの呼称読み。

犬坊の霊の姿と特徴

犬坊の霊の姿は、馬に乗った亡霊です。

現れ方 … 馬に乗って現れる。
… 見ると病気になる。
追い払い方 … 殿様の使者が立ち去るように怒鳴る。
去るとき … 白紙のようなものが東に飛び去った。

顔つきや装束は書かれていません。

去ったあとは現れなくなりました。

犬坊の霊の伝承記録

  1. 見ると病気になる
  2. 怒鳴られて、白紙が飛び去る

見ると病気になる

犬坊は、三木寺城主でした。 戦で死んだと記録されています。

その亡霊が、馬に乗って現れました

武将の姿のままです。

そして、見ると病気になるといわれました。

近づかなくても、目に入れば害があります。 見てはいけないものとして扱われました。

怒鳴られて、白紙が飛び去る

追い払ったのは、殿様の使者でした。立ち去るように怒鳴ったと記録されています。

祈りでも、供養でもありません。 格上の者からの命令です。

すると、白紙のようなものが東に飛び去りました

武将の姿は消え、白い紙のようなものだけが飛びました。

そして、その後そういうこともなくなりました。 追放によって終わるという形です。

犬坊の霊の伝承地域

公的データベースの地域欄は愛媛県を示します。報告の題にある御幸寺山は松山市の山です。

三木寺城の位置は書かれていないため、地図で指せるのは県の範囲までです。

愛媛県内(えひめけんない)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

愛媛県内の所在地:愛媛県

報告の題は「伝説秘めた御幸寺山」です。御幸寺山は松山市にあります。

三木寺城の位置は資料に書かれていません。

犬坊の霊の正体と考えられているもの

犬坊の霊の正体は、記録では三木寺城主の犬坊とされています。

戦で死んだ武将の亡霊という形です。

見ると病気になるという害は、祟りとして語られています。

追い払ったのが殿様の使者である点は独特です。身分の上下が、あの世にも通じるという考え方が読み取れます。

白紙のようなものが東へ飛び去った——去り際だけが、はっきり記録されています。

犬坊の霊が記録された資料

犬坊の霊を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伊予の民俗』の記事です。

『伊予の民俗』は愛媛の民俗誌です。この図鑑には、同誌からアカエルの記録も収めています。

犬坊の霊が記録された民俗資料

伝説秘めた御幸寺山

野口光敏が『伊予の民俗』通巻3号(1974年)に載せた中心資料です。

四国の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

犬坊の霊についてよくある質問

犬坊の霊とは何ですか。

愛媛県に伝わる三木寺城主の亡霊です。馬に乗って現れ、見ると病気になるといわれました。

どうやって収まったのですか。

殿様の使者が立ち去るように怒鳴ると、白紙のようなものが東に飛び去り、その後は現れなくなったと記録されています。

犬坊とは誰ですか。

三木寺城主の名として記録されています。戦で死んだとされます。

城はどこにあったのですか。

位置は記録されていません。報告の題にある御幸寺山は松山市の山です。

犬坊の霊と併せて覚えたい言葉・用語

御幸寺山(みきじやま)

松山市の山。報告の題に使われています。

使者(ししゃ)

殿様の命を伝える者。亡霊を怒鳴って追い払いました。

伊予の民俗(いよのみんぞく)

愛媛の民俗誌。この話の記録が載りました。

犬坊の霊の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「犬坊の霊」