本文へ移動

三重県

浅五郎の霊(あさごろうのれい)とはどんな妖怪か|姿と伝承

浅五郎の霊  / アサゴロウノレイ

幽霊と霊 各地の伝説

三重県桑名市多度町で、裏切られて火あぶりになった浅五郎の霊。雨の日に呼ぶ声がした。

浅五郎の霊の姿を描いた図

Saigen Jiro 「多度大社の本宮と別宮(三重県桑名市多度町多度)」 2021年 / CC0 出典

浅五郎の霊とはどんな妖怪か

浅五郎の霊はひとことで言えば、まつっても収まらなかった恨みです。三重県桑名市多度町の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、田川尚美ほか口承文芸」(『中京民俗』通巻29号、1992年、189頁)を典拠に、次のように記します。

裏切られて火あぶりになった浅五郎。雨が降ると「おーい、おーい」と呼ぶ声がする。占い師が霊が迷っているのでまつるよう指示する。まつると恨みのことばを残して消える。それから5軒ほどの家が絶える

筋がはっきりしています。 裏切り火あぶりまつる恨みの言葉家が絶える

まつったのに収まっていません。 多くの話は、まつることで鎮まって終わります。この話は違います。

誰に裏切られたのか、いつのことかは記録されていません。

浅五郎の霊の漢字表記と読み方

読みは「あさごろうのれい」です。

浅五郎は人の名です。名の残った霊であることが、この話の重さになっています。

火あぶりは、火で焼く刑です。裏切られてという一語が、無実だった含みを持たせています。

浅五郎の霊(あさごろうのれい)

日文研データベースが示す表記。

アサゴロウノレイ(あさごろうのれい)

同データベースの呼称読み。

浅五郎の霊の姿と特徴

浅五郎の霊に姿はありません。記録にあるのは、です。

… 雨が降るとき。
… 「おーい、おーい」と呼ぶ。
その後 … まつると、恨みのことばを残して消えた。
結果 … 五軒ほどの家が絶えた。

姿を見たという記述はありません。

呼ぶ声だけが、雨のたびに聞こえました。

浅五郎の霊の伝承記録

  1. 雨の日に呼ぶ声
  2. まつったあとに、家が絶える

雨の日に呼ぶ声

声が聞こえるのは雨が降るときです。

「おーい、おーい」呼ぶ声です。 恨みごとでも、泣き声でもありません。

誰かを探している声とも読めます。火あぶりにされた者が、雨の中で人を呼び続けます。

占い師は、霊が迷っているのでまつるよう指示しました

迷っている、という見立てです。

まつったあとに、家が絶える

まつると、恨みのことばを残して消えました

鎮まってはいません。 言い残して去っただけです。

そして、それから五軒ほどの家が絶えました

まつることが解決にならなかった、という結末です。多くの祟りの話が「まつって鎮まった」で終わるのに対し、この話は続きを語ります

五軒がどの家かは記録されていません。

浅五郎の霊の伝承地域

公的データベースの地域欄は三重県桑名市多度町を示します。

場所の名は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。

多度町周辺(たどちょうしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

多度町周辺の所在地:三重県桑名市多度町

『中京民俗』の報告地域に対応します。

火あぶりの場所やまつった場所は、資料に書かれていません。

浅五郎の霊の正体と考えられているもの

浅五郎の霊の正体は、記録では火あぶりになった浅五郎とされています。

裏切られてという一語のほかに、事件の詳細は書かれていません。いつのことか、誰が裏切ったかも分かりません。

まつっても収まらなかったという点が、この話を重くしています。恨みのことばを残して消え、五軒ほどの家が絶えた

残ったのは、雨の日の呼び声と、絶えた家の記憶です。

浅五郎の霊が記録された資料

浅五郎の霊を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『中京民俗』の記事です。

口承文芸の題のとおり、聞き書きをそのまま収めた報告です。東海地方の民俗誌に、同じ型の祟りの話が並びます。

浅五郎の霊が記録された民俗資料

口承文芸

田川尚美ほかが『中京民俗』通巻29号(1992年)に載せた中心資料です。

近畿の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

浅五郎の霊についてよくある質問

浅五郎の霊とは何ですか。

三重県桑名市多度町に伝わる霊です。裏切られて火あぶりになった浅五郎が、雨の日に「おーい」と呼ぶ声を上げたと記録されています。

まつったらどうなりましたか。

恨みのことばを残して消え、その後、五軒ほどの家が絶えたと記録されています。

誰に裏切られたのですか。

記録されていません。裏切られて火あぶりになったとだけ伝えられています。

いつの話ですか。

年代は記録されていません。報告は1992年の聞き書きです。

浅五郎の霊と併せて覚えたい言葉・用語

火あぶり(ひあぶり)

火で焼く刑。浅五郎が受けたとされます。

占い師(うらないし)

霊が迷っているとみて、まつるよう指示した人物です。

中京民俗(ちゅうきょうみんぞく)

東海地方の民俗誌。この話の記録が載りました。

浅五郎の霊の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「浅五郎の霊」