山形県最上郡の昔話。庚申の夜にお歯黒をつけて山へ入り、帰らなくなった妻。

聖石大戦ぶぅぶぅ 「肘折温泉の薬師神社(山形県最上郡大蔵村)」 2018年 / CC BY-SA 4.0 出典
母ちゃんとはどんな妖怪か
母ちゃんは、山で行方知れずになった妻です。山形県最上郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、野村純一「どんぺからっこ・ねっけど(48)―最上の昔話―」(『芸能』芸能発行所、1968年)を典拠に、話者を近岡キノとして、昔あるところに幸せに暮らす夫婦がいたが、お庚申さんの日にお歯黒を付けて、次の日に山に入ったまま帰ってこなくなったと記します。
山で会っています。
ある時村人達が山で行方不明になった妻と遇った。ふくつの貝を食っているため年を取らず、毎日生血一合や生肉を食っているというと続き、夫が帰って来ると攫われるから早く帰れと勧め、お庚申の夜にお歯黒をすると攫われると教えたと結ばれます。
この図鑑には隅の婆様(山形)も収めています。
母ちゃんの漢字表記と読み方
読みは「かあちゃん」です。
「お庚申さん」は庚申の日のことで、その夜を慎む習わしがあります。
「お歯黒」は、歯を黒く染める化粧です。
「一合」は、約180ミリリットルにあたります。
この図鑑には隅の婆様(山形)も収めています。
母ちゃん(かあちゃん)
データベースの呼称欄は「母ちゃん,おれえ(家)の人」と示します。
お庚申さん(おこうしんさん)
記録が示す日です。庚申の夜を慎む習わしがあります。
ふくつの貝(ふくつのかい)
記録が示す食べもので、年を取らなくなるとされます。
母ちゃんの姿と特徴
母ちゃんの話は、記録に順を追って書かれています。
もとの姿 … 幸せに暮らす夫婦の妻。
したこと … お庚申さんの日にお歯黒を付けた。
その次の日 … 山に入ったまま帰ってこなくなった。
再会した人 … 村人たち。
その場所 … 山。
食べているもの(一) … ふくつの貝。
そのはたらき … 年を取らない。
食べているもの(二) … 毎日生血一合や生肉。
言ったこと(一) … 夫が帰って来ると攫われるから早く帰れ。
言ったこと(二) … お庚申の夜にお歯黒をすると攫われる。
母ちゃんの伝承記録
幸せな夫婦
昔あるところに幸せに暮らす夫婦がいました。
始まりは何ごともない暮らしです。
庚申のお歯黒
お庚申さんの日にお歯黒を付けました。
したのは慎む夜にです。
帰らぬ妻
次の日に山に入ったまま帰ってこなくなりました。
消えたのは山です。
山で遇う
ある時村人達が山で行方不明になった妻と遇いました。
会ったのは山の中です。
年を取らない体
ふくつの貝を食っているため年を取らず、毎日生血一合や生肉を食っているといいます。
変わったのは食べものです。
早く帰れ
夫が帰って来ると攫われるから早く帰れと勧め、お庚申の夜にお歯黒をすると攫われると教えました。
告げたのは攫われる理由です。
母ちゃんの伝承地域
公的データベースの地域欄は山形県、市郡名の欄は最上郡を示します。
話者として近岡キノの名が記録に挙がっています。
母ちゃんの正体と考えられているもの
母ちゃんは、山で行方知れずになった妻です。
祟る話ではありません。 語られているのは、年を取らなくなった体と、村人に早く帰れと勧めたことです。
攫われる理由が庚申の夜のお歯黒だと名指しされている点が、この話の要です。
この図鑑には隅の婆様(山形)も収めています。
母ちゃんが登場する作品
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは語り手から聞き取った昔話の連載です。
山に入って帰らない女の話は東北に多く、年を取らない体になって現れる筋で語られます。
母ちゃんが登場する雑誌
芸能
芸能発行所が出した雑誌です。1968年の号に最上の昔話が載ります。
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母ちゃんについてよくある質問
この話は何ですか。
山形県最上郡の昔話で、庚申の夜にお歯黒をつけて山へ入り帰らなくなった妻の話です。
なぜ攫われたのですか。
お庚申の夜にお歯黒をすると攫われると、本人が村人に教えたと記されています。
どうなっていましたか。
ふくつの貝を食べているため年を取らず、毎日生血や生肉を食べているといいます。
どこで語られていますか。
山形県最上郡です。
母ちゃんと併せて覚えたい言葉・用語
庚申(こうしん)
干支の組み合わせの一つで、その夜を慎む習わしがあります。
お歯黒(おはぐろ)
歯を黒く染める化粧です。
最上郡(もがみぐん)
山形県の北部にある山あいの郡です。
母ちゃんの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。