山形県で、山に火をともして糸車をとる姿が見え、火を撃つと大判小判が散っていたという老婆。

京浜にけ (Keihin Nike) 「最上峡(山形県最上郡戸沢村)」 2006年 / CC BY-SA 3.0 出典
糸とり姥とはどんな妖怪か
糸とり姥はひとことで言えば、山で糸を紡ぐ火です。山形県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、武田正・大友義助「最上川物語」(『季刊民話』通巻2号、一声社、1975年、27頁)を典拠に、村の東山に毎晩火がともり糸車をとっている老婆の姿が見える。老婆めがけて鉄砲を撃ったが効果はなく、火をねらって撃つと止んだ。火のあった辺りには大判小判が散らばっていた。大判小判が世に出たかったためか、狸が集めた金を見せるためだともいうと記します。
当てどころが変わっています。
姿を撃っても効きませんでした。 効いたのは、火のほうを撃ったときです。
糸とり姥の漢字表記と読み方
読みは「いととりうば」です。
「糸とり」は、繭や綿から糸を紡ぐ仕事のことです。 夜なべの仕事でした。
姿ではなく火が本体だったことになります。
この図鑑には姥ヶ火(各地)も収めています。どちらも老婆の形をした火です。
糸とり姥(いととりうば)
日文研データベースが示す呼称。
糸取り姥(いととりうば)
「とり」を漢字で書く形もあります。
糸とり姥の姿と特徴
糸とり姥の姿は、記録に短く書かれています。
出る場所 … 村の東山。
出る時 … 毎晩。
見えるもの … 火と、糸車をとっている老婆の姿。
撃ったとき(姿) … 効果がない。
撃ったとき(火) … 止んだ。
あとに残ったもの … 大判小判。
老婆の顔つきは書かれていません。
糸とり姥の伝承記録
毎晩ともる火
村の東山に毎晩火がともり、糸車をとっている老婆の姿が見えました。
一度きりではなく毎晩でした。
姿は撃てない
老婆めがけて鉄砲を撃ちましたが効果はなく、火をねらって撃つと止みました。
当たるのは火のほうだけです。
散らばっていた金
火のあった辺りには大判小判が散らばっていました。大判小判が世に出たかったためか、狸が集めた金を見せるためだともいいます。
言い分は二つ並べられています。
糸とり姥の伝承地域
公的データベースの地域欄は山形県までで、市郡までは示されていません。
典拠が最上川物語なので、川ぞいの村の話と考えられます。
糸とり姥の正体と考えられているもの
糸とり姥は、火として現れたとされる老婆です。
撃って効いたのは火のほうでした。 姿は当たらず、火が本体だったことになります。
あとに残ったのは大判小判で、狸のしわざとも語られます。
この図鑑には姥ヶ火(各地)も収めています。
糸とり姥が登場する作品
糸とり姥を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは民話の雑誌です。
老婆の形をした火の話は各地にあり、姥ヶ火の名で知られます。この図鑑には姥ヶ火(各地)も収めています。
糸とり姥が登場する雑誌
季刊民話
一声社が出した民話の雑誌です。1975年の号に最上川物語が載ります。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
糸とり姥についてよくある質問
糸とり姥とは何ですか。
山形県で、山に火をともして糸車をとる姿が見えたと語られた老婆です。
鉄砲は効きましたか。
姿をねらっても効果はなく、火をねらって撃つと止んだと記録されています。
あとに何が残りましたか。
火のあった辺りに大判小判が散らばっていたといいます。
正体は何ですか。
金が世に出たかったためとも、狸が集めた金を見せるためともいわれます。
糸とり姥と併せて覚えたい言葉・用語
糸車(いとぐるま)
繭や綿から糸を紡ぐための道具です。
大判小判(おおばんこばん)
江戸時代の金貨のことです。
姥(うば)
年老いた女性を指す古い言い方です。
糸とり姥の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。